売れ筋のスケッチャーズ社の「シェイプアップス」とリーボック社の「イージートーン」。どちらも虚偽広告でアメリカでは返金してもらえる
|
「履いて歩くだけで普通の靴より筋肉を使いシェイプアップ効果がある」と宣伝されているトーニングシューズ。リーボック社のイージートーンや、スケッチャーズ社のシェイプアップスなどが売れ筋だ。しかしアメリカでは虚偽広告ではないかと消費者団体、エクササイズ協会、連邦政府、裁判所まで巻き込んだ大騒動になり、結局、メーカーは、宣伝した効果はウソであることを認め、罰金を払い、商品代金の返金に応じる事態に発展した。一方、マスコミぐるみの虚偽宣伝によって偽物を売りつけられ、だまされたままになっている日本の消費者は、いたっておとなしい。日本で消費者団体を名乗る人たち、および消費者庁は、いったい何をしているのか。
【Digest】
◇履いて歩くだけ筋肉が引き締まる、脂肪が減る?
◇スケッチャーズ社、虚偽を認め31億円の罰金支払いで和解
◇メーカー幹部の夫が家族ぐるみで行ったデタラメ臨床試験
◇リーボック社も11億円罰金で和解
◇全米エクササイズ協会(ACE)の実験では「普通の靴と差はない」
◇骨折などの事故も多発していた
◇日本での宣伝に問題は無いのか
◇履いて歩くだけ筋肉が引き締まる、脂肪が減る
履いて歩くだけでシェイプアップになるという変な形のシューズを、ご存じだろうか? リーボック社の「イージートーン」、スケッチャーズ社の「シェイプアップス」などが有名なブランドだ。これらは「トーニングシューズ」と呼ばれている。
トーニングとは「筋肉を引き締める」といった意味だ。普通のスポーツシューズと違って靴底の形を変えたり膨らませたりして不安定にしている。その結果バランスをとるために余計に筋肉を使い、はいて歩くだけで脚やお尻の筋肉が引き締まる、また余計にカロリーを消費することで体脂肪が減るなどの効果があると宣伝されている。
アメリカでは日本より早く火がつき2009年で前年比8.5倍、2010年にもさらに7倍以上の売り上げを出しているという。日本でも2010年から大々的な新聞広告や、日本テレビの「スッキリ」をはじめとしたワイドショーのトレンド紹介などで取り上げられている。
そして4位から1位には、これまで聞きなれない新ジャンルのトレーニングシューズがランクイン。それは…。
岡田さん「こちらがトーニングシューズのコーナーになります」
|
|
ABCマートでは上位独占だった。日本でも、このトーニングシューズのブームは2010年から2011年だったようで、すでに少し流行おくれの感がある。
それをなぜ今取り上げるかというと、アメリカではそうした効果の宣伝にはウソがあると裁判になり、結局、メーカーがウソを認め、購入代金が返金されるようになったからだ。
アメリカはなんでも訴える極端な訴訟社会といわれる。以前、ハンバーガーを食べて太ったといってマクドナルドを訴えた事件があったくらいだ。しかし今回のケースは少し違い、履くだけで痩せると宣伝していて、実はそれがウソだったというのだから、訴えられて当然だろう。
また訴えたのは消費者ではなく、日本の公正取引委員会にあたる政府機関だった。
◇スケッチャーズ社、虚偽を認め31億円の罰金支払いで和解
アメリカ連邦取引委員会(FTC)が、シェイプアップ効果があるという宣伝・広告は虚偽広告にあたるとして、スケッチャーズ社を訴えた。日本だと行政機関の措置に企業は従うだけだが、アメリカでは行政と企業の力関係が拮抗していて、裁判で争われることが日常茶飯事なのだという。
その結果、スケッチャーズ社は、宣伝していた効果には科学的な証拠はなく、消費者をだましていたことを認め、今年の5月16日に、4千万ドルの罰金を払うことで和解した。
連邦取引委員会はこの罰金を元に、スケッチャーズ社のトーニングシューズを購入した消費者への代金の払い戻し措置を開始している。
◇社員の夫が家族ぐるみで行ったデタラメ臨床試験
では具体的には、どのような虚偽があったのだろうか。
スケッチャーズ社は製品の宣伝の中で、減量効果を証明する臨床試験の結果を紹介していた.....この続きの文章、および全ての拡大画像は、会員のみに提供されております。
|
シェイプアップスの効果の説明。アキレス社HPより |
|
|
アメリカエクササイズ協会の実験データ1.心拍数や酸素消費量、カロリー消費量などで普通のスポーツシューズと差はない |
|
|
アメリカエクササイズ協会のデータ2.日本で宣伝されている筋肉活動量アップ効果も普通の靴と差がない。 |
|
