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現役東大特進スタッフが解説 “デキる生徒のためにデキない生徒がカネを払う”東進の低偏差値生搾取のカラクリ――「塾としてどうなのか?と、正直思います」

情報提供
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東大の学生証を提示するEさん(仮名)。東進東大特進スタッフ(担任助手)には、現役の東大生しかなれない。時給が最初から高く仕事はラクなため競争率が高いという。(※東大特進スタッフは人数が少なく、取材源を秘匿するため、画像にボカしと黒塗りを入れています)

「東大現役合格者数日本一」を自称する東進だが、他の予備校は東大現役合格者数を公表しておらず「何を根拠にナンバーワンと言っているのか不明」との声は東進スタッフからも出ている。とはいえ、東進が「東大合格」にこだわっているのは確かで、特別対策講座「東大特進コース」では、模試等の成績に応じ授業料無料で受講できる「特待生制度」が充実。現代文の林修氏をはじめ有名講師の貴重なライブ授業も受けられるため、進学校や他塾の在籍者が続々と集まる。しかし、無料受講者が多くを占め、単体事業としては大幅赤字のはずで、サービスの受益者と費用負担者は全くバランスしない。今回、受験生時代に東大特進に通い、現在はそのスタッフとして働く現役東大生Eさんに話を聞いた。見えてきたのは、「デキる生徒のためにデキない生徒がカネを払う」という、本来なら生徒を公平に扱うべき教育機関の建前を無視した、低偏差値生を食い物にするかのようなカラクリだった。

Digest
  • 特待生は有名講師の授業料もタダに
  • “赤字事業”を支える「通常校舎のデキない生徒たち」
  • 現役東大生スタッフの時給は1400円
  • 積極的な営業はせず収益度外視
  • スタッフは生徒の「つなぎとめ」役
  • 東進は「デキる人」以外が損する塾

特待生は有名講師の授業料もタダに

私は「東進東大特進コース」で働く現役の東大生スタッフです。アルバイトという立場ですが、私の知っている範囲内で、東大特進の内情をお話することで、受験生の皆さんに自分にあった塾選びの参考にしていただければと思います。

東大特進は、土日や長期休暇中に集中講座形式で開講されています。高3生には、年間を通して通期で授業があり、2月、春、5~6月の土日、夏、秋、冬、直前という感じです。1回の集中講座で、最低でも各科目2~3コマはありますね。

東大を目指す生徒にとっては、いい環境だと思います。私たちのような現役東大生のスタッフもいますので、学習相談なども気軽にできます。受講生は、東京に2か所(お茶の水、渋谷)と大阪の梅田にあるリーダー塾の自習室が使い放題で、この自習室をフル活用する生徒も少なくないです。

校舎としては、本部機能のあるお茶の水がもっとも大きく、2フロアあります。お茶の水の自習室のブース数は50席くらいでしょうか。渋谷と梅田は、それぞれ30~40席ずつ、といった感じです。

特筆すべきは、模試の成績に応じた「特待生制度」の充実具合です。「全額免除」を受ければ、入会金の8000円と各回の講座ごとに払う1200~2200円の教材費のみで、有名講師の授業が受けられます。ライブもあります。

高3の早い時期に全額免除を取り、地歴とテストゼミを中心に受講した場合、年間を通して東大特進に払う費用は10万に満たず、下手すれば、6万円程度かもしれません。私自身の高3時代を振り返っても、周囲の特進コース生と同様、金銭的な負担感はありませんでした。東大特進コースは、単体事業としての利益は出ていないでしょう。

一方で、東進ハイスクールや東進衛星予備校の通常校舎の生徒たちは、ライブではない映像授業に、1人あたり年間70~100万円を支払うのが一般的で、それだけ払っても、第一志望合格率が1割未満という校舎も普通にある。


科目でいうと、多くの東大受験生にとって、あまり時間をかけたくない地理や歴史が人気です。ただ、昨年の2月だったと思いますが、新年度プレ講座の前後に、日本史の看板講師だった野島博之先生が突然退任し、講座が開講できなくなったという“事件”がありました。

野島先生は生徒にすごく親身だという評判でしたし、東大日本史対策の需要も大きかったので、生徒数の落ち込みが心配されていました。日本史の講座が開講できないぶん、現役東大生スタッフが頑張って質問対応するように、という社員からの指令が出ていました。

優遇された環境のおかげで、東大特進には、普段は通常校舎(東進ハイスクールや東進衛星予備校)に通っていない優秀な生徒も集まっています。男子校なら開成や灘、女子校であれば桜蔭や女子学院といった、東大合格者がたくさん出る進学校の生徒が多いです。

平日は、東大合格実績で定評のある「鉄緑会」などの塾に通っている人もいます。通常校舎に籍を置きながら特進コースに通っている生徒は、半数程度という印象です。

最近は、受講生の母数が増えています。あくまで概算ですが、昨年は1500~1800名ほどの生徒が、東大特進の授業に参加していました。もちろん、一度参加しただけという生徒も含めてです。いまや人気タレントとなった現代文の林修先生の授業を受けてみたい、という興味本位の学生もいます。

まわりをみても、特進生から東大合格者がかなり出ているのは確かですが、マイニュースジャパンで報道されていた通り、東進の「東大現役合格者数日本一」という主張は、いったい何を根拠にしているかわかりません。他塾は、東大現役合格者数を一切公表していないわけですからね。そういう話は、現役スタッフの間でもしていましたよ(笑)。

“赤字事業”を支える「通常校舎のデキない生徒たち」

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Eさん(仮名)の東大特進スタッフとしての給与明細。時給は高いが、労働時間が短かったため、月収はせいぜい5万円程度。

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充実する東大特進の「特待生制度」。成績優秀層は、ほとんど金銭的負担なく受講できる

優遇された環境をウリに、東大を目指すデキる生徒を集客する、対東大特進コース(画像は公式ホームページ)

東大特進を担当するナガセの社員から、東大生スタッフに送られたメール

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caatsuman2017/05/27 11:27

“東大の学生証を提示するEさん(仮名)。東進東大特進スタッフ(担任助手)には、現役の東大生しかなれない。時給が最初から高く仕事はラクなため競争率が高いという。”

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デキない側だった2017/05/21 16:45
 2017/04/30 17:58
2017/04/30 17:57
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