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JTB巨額詐欺事件 社員が顧客から10億円集め失踪 「ドル両替で逆に手数料4%払い元本も保証する」――被害者らが返金求めJTB等を提訴
10億円持ち逃げしたJTB関東の社員Tと、彼が当時もってきた約6000万円の現金(実際の写真)。胸の前に見える赤いストラップには、JTBの社員証が下げられていた。元金を返してくれと言う人には、ちゃんと現金を持ってきたため、皆が信用した。円からドルに替えれば手数料を払うのが普通だが、逆にJTB側から手数料分4%が支払われ元本も保証された。超円高時に割安で為替予約していれば、ありえないことはない話だった。奇妙なやりとりは4年ほど続けられたが…。

 JTBの社用車に乗り、JTBの名刺と社員証、公式パンフを持つJTB関東の社員Tは、顧客に「元本に手数料4~5%を乗せて返す」という奇妙なドル両替取引を持ち掛け、当初3~4年は約束通り手数料を支払っていた。だが昨年5月、自殺予告メールを送り、翌6月、約10億円を返さぬまま失踪の後、栃木県警足利署に出頭。10か月を経た現在も任意捜査中で逮捕もされていない。把握されているだけで被害者は31人、1人で5500万円を持ち逃げされた客もおり、10億円の行方は不明だ。被害者たちは資金返還を求め今年3月、JTB関東、JTB、Tの三者を相手取り東京地裁に提訴、4月21日から口頭弁論が始まった。JTB側は昨年7月8日付でTを懲戒解雇し「Tの行動は、原告らとの間で行われた個人取引にすぎず、被告らの業務とは無関係」と無責任な対応に終始。だが、JTBから外貨を購入した提携業者に対しJTBが手数料を支払う契約書が存在する。被害はどこまで拡大するのか。騙しの経緯や手口詳細について被害者らに聞いた。

【Digest】
◇予期せぬ訪問者~事件のはじまり
◇ドルを買う購買者が逆に手数料をもらう
◇被害者たちが語る“素晴らしき営業マンT”
◇Tから自殺予告メール、そして警察へ出頭
◇外貨購入手数料をJTBが支払う業務

(※記事末尾で事件の構図を示す準備書面をダウンロード可)
※JTB関係者、あるいは同様の被害者からの、情報提供をお待ちしています。(2011年~2016年くらいの社内表彰が掲載されたJTB社内報をお持ちの方など)→情報提供フォーム

◇予期せぬ訪問者~事件のはじまり
 東日本大震災の混乱もさめやらぬ2011年7月27日、北関東にある社会福祉法人の事務所に、長年取り引きのある地元銀行支店長が、理事長を訪ねてきた。そのとき、支店長は見知らぬ男を連れていた。

Tの名刺には「JTB関東 法人事業チームグループリーダー」とあり、地元銀行支店長の紹介とあれば、その人物を疑う余地はなかった
 その男とは、JTB関東(JTBの100%子会社)社員のT(当時42歳、中途入社)。

※JTBは国内の旅行業界トップで、就職先としても常に上位にランクインする人気企業だ。 持株会社制に移行し、2006年4月に地域とマーケットごとに分社化、「JTB関東」は関東・甲越6県の営業エリアを管轄する中核企業である。

 この日をきっかけに“10億円詐欺事件”は始まった。支店長は、理事長の古川卓司(仮名)氏に、「TはJTB関東の社員です。彼を助けてやってほしい」と紹介した。

 古川理事長が「助けるとはいったい何のことか」と問いかけると、支店長の代わりにT本人が、名刺と社員証を見せたうえで、外貨両替のパンフレットを取り出して、「あの、JTBギフト券かドルを買ってもらえませんか」と、突然口にしたという。古川理事長によると、Tはさらにこう続けたという。

「JTBは毎月営業マンにノルマを課していて、売上を上げないと手取り月19万円で、生活やっていけません。外貨に両替してくれれば私の成績になるんです。外貨両替してくれれば1か月後に、元本と手数料をつけて持ってきます。ノルマを果たせないと、本当にクビなんです。初めて来て言うのもなんなんですが、300万円くらいなんとかお願いできないでしょうか」

 東北訛りで実直な感じのTは、このように懇願したという。しかし、妙な話である。日本円からドルに両替すれば、ドルの購入者が手数料をはらうはずなのに、なぜ反対に手数料をもらえるのか。古川氏は、腑に落ちなかった。

◇ドルを買う購買者が逆に手数料をもらう
 そこで、さらに次のような会話が続いたという。

古川 でも俺がドルを買うなら手数料は俺が支払うんじゃないの?それに、パンフレットには1回、ひと月で100万円相当額までの両替、って書いてあるけど。なんで300万円もできるの?

JTBのT 一口100万円という意味なので、それ以上預けられます。集めた日本円を運用して儲けてますから、数%の手数料を、元本の円に加えてお返しできるんです。

古川 でも、こんないい話が、なぜ世間に伝わっていないんだね?

JTBのT 理事長を法人(旅行代理店)として登録しないとできないんです。JTBが古川卓司を法人扱いすれば出来るんです。

 この話を聞いたとき、古川理事長は自身の経験を思い出した。というのは、以前事業を拡大したときに大量の製品を購入したことがある。全く別の事業所も一緒に大量購入した。つまり古川理事長を窓口に大量の製品が売れたことになり、メーカーから古川理事長は代理店扱いされたのだ。その影響で、そのメーカーの製品を仕入値で買えるなどのメリットがあった。

「それと同じようなものかな、と思ったんですよ」(古川氏)

 長年のつきあいで信用がある銀行支店長が、さらに背中を押したという。

「実は、私の女房も300万円分のドルを買ったんです。たくさん預けると、もっと手数料は高くなり、5%もらっていたこともありました」

 さらに銀行支店長は、  
「古川さん、俺の顔を立てる意味でも、なんとかTのために助けてやってください。行員の私が言うのもなんだけれど、これは絶対安心だから」と続けた。

 Tも、理事長に懇願した。

「あと500万円集められれば、社内のコンテストで1位になれます。今日、理事長に300万円都合してもらえれば、あと200万円は、他の法人にお願いに行ってこようと思っています」

 それを聞いた古川理事長は、「じゃあ、500万円持って行っていいよ。今日、会社に入れればトップになれるんだろう?」と、その日のうちに500万円を拠出したのだった。「とにかく、社内の競争とノルマが大変だ、とTが言っていたし、支店長の顔をたてなければならない、と思ったのです」と古川氏は振り返る。

内部資料。キャンペーンの目的は「~外貨増売によるTRS収入の拡大」と記載されている。このTRS商品とは、トラベラーズチェック等の商品を指し、5枚目の画像に示した提携業者とJTBとの契約書によれば、取扱い商品には「外貨」も含まれ、業者が外貨を顧客に売ると、手数料がJTBから入ることになっている。
 それからしばらくして、Tは、500万円分のドルと手数料5%を持って、古川理事長を訪ねてきた。しかし、理事長は、ドルで貰っても困るので、Tが銀行を回って日本円に替え、3回目に訪れたときに、日本円で、元本と手数料を理事長に支払ったという。5%は金利ではなく手数料だ。ほんの1ヵ月で、500×1.05=525万円に増えたことになる。

 なお、手数料はその後、4%に下がったという。

 こうして、いま振り返れば奇妙な、“手数料を貰えるドル替え”が始まったのだった。

◇被害者ら語る“素晴らしき営業マンT”
 古川理事長は事業を広く行い、多趣味な人物でもあるため、しょっちゅう訪ねてくる人が多い。そこへ大量の現金を持ったTが来るので、一体、何ごとか、と知人たちが興味を持ったのは当然だろう。

 聞いてみると、にわかには信じがたい話ではあるものの、実際に日本円でドルを買ったことで、元本に加えて手数料まで加えられた現金が届けられてくるのを目の当たりにして、参加者は増えて行った。

 原則として、3か月に1回、ドル購入者各自に対する手数料分の現金を持って、Tが理事長室を訪ねてくる。元本は、そのまま拠出を続けると、また3か月後に手数料分を受け取れた。「現金を持ち歩くのは危ないから」という顧客側の要請で、Tは、手数料分のみを持って訪ねてきた。

 求めれば、元本も持ってきた。そんなことが4年ほども続いていたので、みんな、信用していた。しかし結果的には、2016年の終わりごろから手数料の支払いが遅延し、最終的には元本も返さないまま、Tは姿を消してしまった。


 今年4月、前述の理事長への取材とは別に、4人の被害者にも集まってもらい、筆者はじっくり話を聞いた。(※以下、氏名は、すべて仮名)

 首都圏に住む、元銀行員の田端弘さんが語る。

「理事長のところに出入りする人たちは、理事長にお金を預け、理事長が窓口になってTと契約を結んでいました。だから、我々は直接、JTBとは取引をしないで、窓口である古川理事長のところにお金を預けることになったのです。

 そして、手数料の支払日に、お金を出した人たちが理事長のところに集まって、受け取っていたわけです。3か月ごとに4%の手数料が支払われ、僕が聞く範囲では、500万円くらいの元本を出していた人が多いです」

外貨販売のJTBキャンペーン。3億2700万円の被害を受けた原告らも、この種のパンフレットを見せられた。(上)両替上限が月100万円などと書かれていても、実際に被害者らはそれ以上の両替をしていた。(下)「別途手数料無料」「お店・空港・自宅で外貨をお受け取り」と示してある。被害者は、自身が運営する事業所の事務室で日本円で元本に加え手数料を受け取っていた。
 したがって、預かり証は、すべて古川理事長宛てで、その預かり証に、Aさん、Bさん…と実際にお金を出した人の名を、JTB関東社員であるTが、ボールペンで記入する方式であった。

 この田端さんも、かつては銀行員だったこともあり、顧客の自宅を訪ねて多額の現金と通帳と印鑑を預かって、会社に戻って処理することを実際にしていたために、Tが多額の現金を持ち歩くことを、不審には思わなかったのだという。

 いったい、このTとは、どのような人物なのだろうか。ある企業の管理職を務める事件の被害者・小森明宏さんがいう。

「Tは、ちょっと東北訛りがあって、素朴で悪い奴には見えないんだよね」

 首都圏に住み、子供の留学時にドルを大量に購入したことのある被害者・清水菜穂子さんは.....この続きの文章、および全ての拡大画像は、会員のみに提供されております。



被害者作成のチャート図。(上)の右側は、提携業者を相手にやり取りする構図が描かれている。(下)が、今回の訴訟で原告側が主張している構図だ。つまり、(上)の業者に当たる位置に、大口のドル購入者が宛てられていたのではないかという疑問である。実際JTB関東の社員Tは、そのように説明していた。
最重要書類。JTBと提携業者で交わす「TRS商品取扱委託契約書」。提携業者がJTBからドルを預かって自己の顧客たちにドルを売り、その代金(日本円)をJTBに支払うときに、自分がもらうべき所定の手数料を差し引いた額を支払えばよい。大口のドル購入者個人が提携行者に置き換えられたか否かも裁判のポイントだ。
5500万円の損害を受けた被害者の領収証。このときはドルを買うために1000万円を出したが、送られてきたJTBの領収証の但し書きは「ナイスギフト代金として」。この人物はギフト券は一切受け取っていない。領収証が届いたあと、Tから手数料を付けた元金が返還された。

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   12:00 05/06 2017
ノルマがあるから助けてやって欲しいと・・・いったいどんな営業やと。顧客の為にこういうメリットがあるとかいう視点がまるでない。それでもって助けてやるつもりでその契約している理事長も冷静になって欲しい所。
   11:58 05/06 2017
なんという詐欺だろう。地銀の支店長も罪に問われるべき案件。ふざけている。JTB関東と地銀は責任追うべきでしょう。まあ、そんな錬金樹tのような詐欺にかかった理事長達も同情に値しないが・・・だいたい豊かになる為には働く必要がある。その大前提を無視した楽して儲けようなどという事そのものが間違っている。