経済産業省が所管する健康経営優良企業に大東建託は2年連続で選ばれた。表向きの姿と社員らが口にする実態は大きくかけ離れている。
(経済産業省のHPより)
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経済産業省が所管する「健康経営優良法人 ホワイト500」というのがある。従業員の労働環境や健康に配慮しているという観点での模範企業のリストだ。ここに大東建託は2017年と2018年の2年連続で選ばれた。表向き従業員に優しい企業ということだが、社員らの口から聞こえてくるのは、過酷で陰惨で暗い職場を嘆く声ばかりだ。連日罵声を浴び、長時間のサービス残業を強いられるなど、パワーハラスメントにさらされていた女性社員のAさんは、直属男性上司の性的嫌がらせも受けていた。証言によれば、この男性上司は、「注文とってやるからやらせろ」などと性行為を迫る言動を繰り返した挙句に、社用車の中でズボンと下着を脱ぎ、自慰を行って見せつけるという異常行動を取るに至ったという。前回に続き、女性が目撃した「絶望の大東建託」のおぞましき実態を報告する。
【Digest】
◇近づいてきて「セックスしたい」
◇車の中でズボンを脱いだ
◇女性を見下した職場文化
◇性交渉を断ると態度を一変させた課長
◇残業代の過少申告を指示された
◇求人内容は嘘だった
◇契約をとったら辞められなくなった
【前回までのあらすじ】
◇「注文とってやるからやらせろ」
――セクハラ事件のことを教えてください。
A セクハラをやったのは直属のB課長です。年齢は50歳過ぎぐらい。最初は、午前中の初訪に※行った帰り、男性営業社員数人と課長と私の乗った8人乗りの車の中のなかで、自分が女好きだという話とかをしていたんです。キャバクラ行った話とか、フィリピン人が好きだとか、そういう女性の話ばかりだったんです。すごくフィリピン人の彼女にお金をつぎ込んだとか、自慢げに話していました。だらしない人だなと思いながら聞いていました。
※初訪=午前中、支店の建築営業課員数人を車に乗せてある地区まで運び、次々に降ろしていく。各人飛び込み営業をした後、昼時になると車で拾って一緒に支店にもどる。大東建託の伝統的な営業手法。
A で、私は部下ですので当然同行することがあるんです。同行というのは、個々のお客様のところに訪問するときに、課長と一緒に行くという意味です。その際に、車のなかで「自分が女性が好きなんだ」とアピールするようになったんです。聞きのがしたり、あいまいにしていたんですが・・・。
――同行の際の車はAさんが運転していたんですね?
A はい。だんだんエスカレートして、「注文とってやるからやらせろ」とか、「Aさんがやらせてくれないから力を発揮できなかった」とか。そういうことを平気で言うようになった。
――「注文とってやるからと」と。それはひどい。
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勤務していた大東建託支店の課長から受けた壮絶なセクハラ被害について証言するAさん。
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◇近づいてきて「セックスしたい」
A そのうち車の中だけではなくなって、支店のなかでも、ちょっと周りに人がいなくなると近づいてきて「セックスしたい」と言ったりするようになったんです。
――職場で、ですか?
A はい。大東建託にはコンプライアンスの相談窓口があるんです。でも相談しませんでした。
――なぜ?
A 以前に上司のパワーハラスメントのことで相談したとき、何も機能していないことがわかったからです。
――どういうことですか?
A パワハラの解決どころか、訴えたことが筒抜けになってしまったんです。あるとき上司が、さんざん怒鳴ったあとで、公然と「コンプラでもどこへでもお前行ってみろ、おれはまちがってねえからな」と言いました。ああ、これでは安心して相談できない、と。
――セクハラ行為を受けた回数は?
A 小さいのをいれると十回以上だと思う。ノー残デー(残業をしない日)に車で帰宅していると、電話がかかってきて「うちに来ないか」とか言われたこともあります。こっちが支店を出るタイミングをみはらかって電話してきたようです。午後6時半ごろでした。「Aさんがやらせてくれないと他の女とやっちゃうぞ」とか。わけがわからない。「うちに来ないか」は2、3回ありました。それも、上司の立場をつかって言い訳っぽいことを言うんです。「きょうの成果の報告がないけど、どうなの」とか。
――仕事は口実。
A はい。
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課長同行で顧客のところに行った帰り、社用車の社内で事件は起きた。(写真は同型の軽自動車。別支店で撮影、本文と直接関係ありません)
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◇車の中でズボンを脱いだ
A じつは・・・車のなかでズボンを脱ぎ始めたこともあったんです。
――え? ズボンを脱いだ?
A お客様のところに課長同行で行った帰りです。ひとの気のない駐車場に誘導して、「車を停めろ」と言われて…。なんだろうと思って車を停めると、ズボンをぬいで.....この続きの文章、および全ての拡大画像は、会員のみに提供されております。
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数ヶ月間契約がとれないと「長期無実績」という烙印を押され、給料の大幅な減額を強いられる。平均で100時間前後の残業をしていたAさんの手取りは10万円台だった。
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「立地審査(同意書)」を獲得するまで帰ってくるな、といった無謀な飛び込み営業を社員に強いた結果、顧客からの苦情は後をたたない。顧客が国土交通省に苦情を訴えたことを伝える社内メール。(社員提供)
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大東建託倉敷支店。大きな人口増加が見込めない地方都市でも猛烈な売り込みが続いている。
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