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やってみたら地獄だったドイツ現地就活――MBA卒、200社超応募も半年以上無職
ドイツ選考プロセスの概要図。ドイツでは、候補者の選考を厳密に行うので、一社の会社が選考が完結するまでにおよそ2ヶ月〜3ヶ月はかかる。

 筆者は、2019年2月にドイツMBA課程を修了した。卒業後は学生ビザの延長措置として求職者ビザ(滞在法16条5項を適用)を取得し、ドイツ現地で就職活動を行っている。2019年10月現在、200社以上に応募しても数社しか面接・電話面談しか進めず、さらに内定を一つも取れていない。日本に戻ればチャンスがあるにもかかわらず、ドイツ現地で「アジア出身の外国人」として就活すると、MBAホルダーであっても現実は過酷だ。筆者の場合、転職回数が多いこともドイツでは不利となっている。ドイツでの就職活動がどのようなものか、日本で就職活動・転職活動を経験した筆者が、日独を比較しつつ、厳しい現実をお伝えしたい。

【Digest】
◇200社以上受けても内定無し
◇ドイツと日本の就活全体プロセスの違い
◇ドイツと日本の就職活動の違い
◇300社受けても無い内定のケースも
◇卒業後半年で同級生の内定は8割ぐらい
◇LinkedIn、Indeed、人材紹介会社、コネ等々あらゆる手段を使う
◇現地ドイツ人のコネを使っても落とされる理不尽さ
◇人事側の連絡ミスで落とされることも
◇内定を取った同級生「正直言うとこのMBAに失望した。」
◇ドイツ就活の補助金詐取メールに注意
◇ドイツ版LinkedInのXingからの詐欺メールも
◇マッキンゼー日本支社からのスカウトメール
◇日本に帰れば、年収1,000万円のマネージャーのオファー
◇ヘッドハンター「正直、海外就職はオススメしません。」
◇「ドイツ人でも大学卒業後1年無職は普通です。」

◇200社以上受けても内定無し
 筆者はドイツMBAについて「金はないがやる気はある人向け」のプログラムとして以下記事にてお伝えした。

留学準備編
授業内容と、その付加価値
インターン、卒業、そして就活の、しんどい現実

 今回は、ややネガティブな内容になってしまうが、卒業後のドイツ現地就職の厳しい現実をありのままお伝えしたい。正直、筆者はここまで就職に苦労するとは思っていなかった。

 筆者は200社以上、主にWebサイトのLinkedIn(ビジネス特化型SNS))、Indeedなどを駆使して応募をした。たまにMonsterやStep Stoneなども使い、ドイツ人・日本人による人材紹介会社からの紹介で履歴書を送ったり、面接を設定してもらったりもした。さらに、ドイツ人の知人のコネを使って紹介を受けて面接も受けたりした。

 結果は、全て不採用、お断りであった。ドイツでも「お祈りメール」というものが存在する。ドイツ語で"Leider(残念ながら)"という単語があったらほぼ不採用の文章となり、結びは色々種類があるが"Wir wünschen dir alles Gute und viel Erfolg(我々はあなたのご成功をお祈りします)"みたいな、英語で言う所のwish(願う)と同等の表現を使って「お祈り」をされる。これは、日本の「お祈りメール」と同じである。

 日本のある大学生が「祈られすぎて神になった気分だ。」と揶揄したツイートが話題となったが、筆者もなんども祈られているため、同じような気分となった。ドイツ語でも「祈り」の表現が何パターンもあることを知ることができた。

 そもそも、MBAを修了してドイツ語も学習しているのに、なんでそんなに現地で苦労しているのか?と思われるかもしれない。ドイツ現地での苦労を思い出しながら、その問いに対して、筆者は仮説的なブレイン・ストーミングを試みた。重要そうな要因を上から並べてみた。

ドイツ現地就職で苦労するポイント:

1. ピュアなエンジニアでない:ドイツではエンジニア不足が言われており、外国人労働者に対してはMINT(Mathematik Informatik Naturwissenschaften Technik:数学・情報工学・自然科学・技術)分野の人材が来て欲しいと言う需要がある(特にIT分野)。

 ドイツでエンジニア以外はあまり必要とされていない風潮がある。経済学、商学、人文学などの文系学問はドイツ人でもかなり苦労するとのこと。行政学を学んだドイツ人は公務員職を得るのに一年強もの時間がかかったり、美術史を専攻したドイツ人は職が決まらずレジ打ちをしているという話を聞いた。

 一方、ロボット工学や情報工学などの工学分野の人はインターン先でそのままフルタイムで採用という事になるパターンがある。筆者の大学院の他の専攻(ASM(自動車ソフトウェア工学修士)、DDM(自動車・機械デザイン・開発修士))の同級生は、FacebookやLinkedInや同窓会での会話から、順調に職を得られているようであった。

2. ドイツ語が不十分:通信・IT関連のコンサルティング職や営業職となると、ドイツ語がネイティブレベルと十分にコミュニケーションが取れるレベルでないと入り込めない。

 コンサルティング職、ビジネスディベロップメント職、プロジェクトマネジメント職となると最低でもC1かC2(欧州言語共通参照枠(CEFR)の「熟達した言語使用者」のレベル、C1で英検1級超ぐらい)という要項を掲げる企業が数多くある。中には、「C3」とCEFRで存在しない基準を要項で堂々と掲げるドイツ企業もあるぐらいであった(ネイティブ以外お断りを仄めかしている)。

3. 経歴・学歴の厳密な一貫性:「ドイツでは会社に2年以上いない者にはあまりいい印象が無い。」とMBAの授業内で教授が言っていた。筆者の場合、転職しすぎという印象があり、それがマイナスに判断されている。

 日本でよく見られる「総合職でなんでもやります」的な「便利屋」はドイツではいい印象はない。実際に、筆者のために色々動いてくれているドイツ人の知り合いから"HR von meiner Agentur hat geschrieben und sagt, du bist ein bunter Vogel (私の所属するエージェントの人事がいうには、あなたは「カラフルな鳥」である。)"とメールをもらった。

 「なんでもやります・できます」的な人間は、ドイツでは「中途半端なやつ」として見られてしまう。筆者の場合、通信の営業、ITコンサル、プロマネ等、情報通信業界にて幅広い経験をし、モンゴルやインドIT企業との開発など国際的なプロマネの経験もあることをアピールしているが、ドイツでは「一体何が専門なのか?一貫性が掴めない奴だな。」と判断され、断られ続けている。

4. 就職氷河期に突入しつつある:筆者の後輩および近所の人から、空気圧・電気制御機器メーカーのFestoおよびプラントエンジニアリング企業のDürr(ドュアー)などの製造メーカーは採用を凍結したと聞いた。実際、以下記事でも見られるようにFesto社は1週間あたりの労働時間を最大3時間短縮すると発表している。

記事:Konjunkturflaute Festo reduziert die wöchentliche Arbeitszeit (景気減速 Festo週労働時間を削減)

 ドイツでは景気が悪くなると、企業は人員解雇は基本行わず、労働時間を短縮したり採用を抑えることで乗り切ろうとする。あるドイツ人キャリアコンサルタントから電話で聞いた話であるが、ボッシュ、ポルシェ、ダイムラーなどの自動車業界が採用を抑えているとのことであった。

5. 学歴・経歴がドイツ基準では不十分:ドイツでITコンサルティング職や通信関係でのポジションを得ようとすると、Wirtschaftinformatik(経営工学)という学問を修めていないと厳しい。また、筆者の日本の経歴(NTT西日本、アビーム、PwC Japan等)で業界の大手企業に勤めた経歴であっても、ドイツ人からすると評価しにくいというのがある。ドイツの「就業証明書」となると、上司からの評価コメントも記載された公式文書を求められる。筆者が持っている「退職証明書」は別物だと言われたことがあった。

6. 年齢・国籍によるフィルターの可能性:ドイツでは履歴書に顔写真、生年月日、国籍、家族構成(独身か既婚か)などを記載することが基本的に必須とされている(少数であるがそれの記載を禁止するところもある)。

 米国・英国ではその記載は差別に繋がる恐れがあるため原則禁止であるが、ドイツは保守的なので、特別に指定がない限りはそれらの個人情報は履歴書に記載すべきとされている。20年ぐらい前のドイツの履歴書では両親の職業まで書かせる物もあったらしい。

 米国や南米諸国出身の同級生は差別に繋がりそうな個人情報の記載について強く批判していた。またドイツでは建前上、採用の際、ドイツ人のみ優遇をすることはしてはならないという規則があるものの、それはあくまで企業努力であり、守られているかは現場に依る。断られる場合「他の候補者が条件にあっていた。」もしくは「条件が適さない。」と言われるのみで、具体的な理由は不明である。

 日本の感覚で行くと、文系であってもMBAであれば付加価値があって就職がしやすい、と思ったがドイツでは全く違うようであった。「『金はないがやる気はある』人向け ドイツMBA」と記事を過去に記載したが、ドイツで就職を考えるとなると、MBAはアピールにならないと言えてしまう。

 もちろん、日本に帰ることを前提とすると、就職ではスカウトを受けることもあるので、それについては後ほどお伝えしたい。

 そもそも、日本とドイツの違いは何か?筆者は日本での新卒の就活、さらに転職活動の経験も豊富にあってドイツで就活しているので、それを説明したい。

◇ドイツと日本の就活全体プロセスの違い
 ドイツでは新卒一括採用というのはほぼない。雰囲気的に近いものとして、Job Messeと呼ばれる合同説明会がある.....この続きの文章、および全ての拡大画像は、会員のみに提供されております。



筆者のMBAの卒業生進路調査 (2019年10月23日時点)のまとめ。21名中、企業派遣5名を抜かした就活生16名のうち、内定者と非内定者に分けて、各項目(年齢区分、出身学部区分、ドイツ語習熟度、経験会社数)の切り口から内定者の傾向を探った。エンジニアの専門性があり、かつ転職回数の少ない比較的若手であると内定が取りやすい、という傾向が見出せた。
ドイツ就活には詐欺メールにも注意。Indeedなどコンサル職を探して、応募してみると、失業者のバウチャーを狙った詐欺みたいなメールが来たことも・・・。メールは要約すると「雇用庁のバウチャーをこっちによこせ。」と言う内容であった。この紹介者の名前と会社を検索すると、Googleで星一つの怪しいものであった。ドイツ就活では、雇用主のファクト・チェックが欠かせないこともある。
Xingというドイツ版LinkedIn(ビジネス特化型SNS)にて、明らかに詐欺と見られるメールが届く。
LinkedIn経由で来たマッキンゼーからスカウトのメール(氏名や所属は伏せておいた)。このメールを含めると、筆者は実にマッキンゼーとは4回も縁がある。公表されている情報でも「『IoT Center Japan』を開設」とあり、デジタル領域に強い人材を欲しがっているようである。MBAホルダーでIoT分野に明るい人は受けてみると良いかと思われる。
LinkedInでの応募者の競争度合いを見る機能。どれだけの応募者がどの地域から応募してきているがわかる。あるフランクフルトの地元IT企業のものであるが、中小企業でも141名の応募者があると表示されていた。競争の中で戦わなければならないのが可視化される。

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中澤康人  19:06 10/30 2019
会員
>和田様 コメントありがとうございます。これからも事実に基づいたわかりやすく記事を書いていきたいと思います。次回記事でもご期待に沿えるよう頑張ります。
和田勘 64歳です  03:06 10/29 2019
記事が わかりやすくて、理詰めで、素晴らしい。有難う御座いました。
   22:37 10/25 2019
むしろドイツよりも今の日本国の方が雇用が流動化しているように思える。働き方改革でドイツの生産性が高い、一人あたりGDPが高いと連呼されるが・・これを見ていると果たして日本が全く駄目と言えるだろうか。もちろん米英が正解でも無い。私達が理想に向かい地道に努力していく事であろう。
   22:30 10/25 2019
うーん。なんということだろう。中澤さんは日本に戻ってきて活躍すれば良いんじゃないかと。ドイツ、欧州に無理して拘る必要なんてない。無意識下でアジア人を差別しているのだろうか。ジョブホッパーには厳しいのは日本もそうだが、ドイツはそれ以上ではないのか。ホワイトカラーにとっては・・・。