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(仕事5.0、生活4.7、対価4.2)
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成果主義を徹底すると個人の生活が犠牲になりがちだが、IBMは「Work-Lifeバランス」を実現する様々な仕掛けで、かなり高い水準で両立させている珍しい会社だ。たとえば富士通は完全に生活犠牲型であり、逆にNECは生活重視だが成果主義が弱い。
【Digest】
◇機能する360度評価
◇部下からの評価が「オール1」
◇休日を確実にとらせる仕掛け
◇裁量労働制を違法に運用
◇会長の息子もIBMer
◇フレックスな働き方でlifeとのバランスを模索
◇宣伝塔としての内永専務
◇「富士通だったらやるんだろうな」
◇嫌煙権の徹底保護
◇あるIBMerの1日
◇機能する360度評価
生活防衛上、IBMで特筆すべきは、中間管理職の暴走を止める仕組みとして機能する「Business Effectiveness Survey」であろう。360度評価を導入しても機能していないケースがほとんどであるなか、IBMは数少ない成功例といえる。
昨年の、ある営業系SE部隊での話だ。その所属長(1stライン長)は、上には弱いが、下に対してはめっぽう強い、という体育会系のタイプだった。年度方針がAP(Asia Pacific)から降りてきて、事業部長を経てライン長に降りてきた。そのなかに、「カスタマー・フェイスタイム(顧客に会う時間)を週8時間持て」というものがあった。
顧客に会う時間は通常、1日1時間なので8回になる。しかし、実際の業務内容を考えると、顧客ごとにデモの準備や事前資料作成の時間がかかり、担当地域の広さと移動時間を計算すれば、物理的に無理な数字であることは明らか。しかしライン長は、上(2ndライン長以上)と交渉せず、現場からは当然、不満の声があがった。
しかし、精神論でノルマをこなすことを部下に押し付けてくる。SEの経験がなく、SEならではの仕事の進め方を説明しても、無理だということを理解できない人物だった。年功序列、男尊女卑、上ばかり見ていて下のことを考えない、という猪突猛進の戦後日本型企業ならどこにでもいる中間管理職。
日本IBMは、グローバル規定に基づき「Business Effectiveness Survey」を運用している。これは「会社や各職場のビジネスが効果的に運営されているか、組織が健全に機能しているかということについて、社員の声を聞いて問題を発見し改善する」のが目的で、日本では1967年より運用。米IBMでは1950年からという歴史がある。全ライン長・全社員が対象だ。
これは要するに、部下が自分のライン長を評価する仕組み。ワード文書をイントラからダウンロードし、項目に沿って、上司を評価していく。チームワークや上司のリーダーシップ、ワーク/ライフバランスなどについて約60の質問に答え、フリーコメントも書ける。「上司は話を聞いてくれるか?」「改善してもらいたいことは?」「理由はどうしてか?」といったものがずらりと並び、5段階評価を下す。A4サイズで3枚くらいの分量だ。PCで回答を入力し、プリントアウトして人事部門に社内便で送る。イントラやノーツ経由ではないため、匿名性は完全に守られる。
◇部下からの評価が「オール1」
しかも、その結果は、事業部ごとに全ライン長の平均点が公表され、ライン長は、部下に対して、自分の評価結果を公開したうえで、ミーティングを開かなければならない。そのミーティングは、評価が低ければ、反省会の様相を呈す。
そのライン長は、「オール1」だった。部下全員がダメ出し。ミーティングでは深く反省し、.....この続きの文章、および全ての拡大画像は、会員のみに提供されております。
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