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ホテルオークラ
Caa:不良企業
(仕事2.5、生活2.7、対価2.2)

 「通期で黒字化したのに、0.2ヶ月分の追加ボーナスが出ないのはおかしい」。労組からそんな声が挙がっているが、結局、同社の昨年度のボーナスは年間1.8ヶ月分(30歳モデルで手取り年33万円前後)で確定。今夏のボーナスは前代未聞の0.7ヶ月で「内定」の状態で、現場のモチベーションは下降の一途をたどっている。
(2.2 :悪い)
 ホテルオークラは2004年3月期の連結決算で、3期ぶりに最終黒字(1億7千万円)に転換した。赤字だった昨年度よりも売上高が約3%下がっているのに黒字化できたのは、それ以上にコストを無理やり下げたからだ。なかでも、退職金を含めた人件費のカットに大ナタを振るったことが大きく寄与している。

 「和の精神」を社是に掲げる同社では大幅な人員削減が難しいため、頭数ではなく全体の給与水準を下げるしかない。そこで、まずは従業員の給与を5%カット。ボーナスについては、昨夏が半減の1ヶ月、冬は半減以下の0.8ヶ月。春(翌3月)に慣習的に支給してきたインセンティブ賞与1.2ヶ月分も、ゼロにした。これで、通常(12ヶ月に加え、夏2、冬2、翌春1.2=17.2が労使の了解事項だった)に比べ、社員の年収は3割以上減ったことになる。

「旗艦」東京の深刻な状況
 さらに、退職金規定の強引な変更で、退職金まで成果主義に転換し、大幅に総額を圧縮した。従来は、本給(=勤続給)と職能給の比率が2:1だったが、1:2に逆転させたのである。もはや、勤続年数が長いだけでは、従来どおりの退職金を貰えなくなった。昇進できる社員は限られているため、退職金総額は当然、減った。これに伴い、退職金の引当額を減らせたことが、黒字決算に大きく寄与した。

 昨夏には、正社員だけでなく、契約社員のボーナスまでカットしようと試みている。2003年7月、ホテルオークラ東京の宴会場「平安の間」に約2百人の「専門職社員」(=契約社員)が集まり、米谷雅彦社長(当時)自らが説明する事態となった。支給日2日前での突然のボーナスカット公表に社員が怒り、直接、釈明せざるを得ない事態に追い込まれたのだ。

 契約社員は、契約形態は異なるが業務内容は社員とほぼ同様で、第一線の現場を支えている。1年更新の契約書に条件が明記されているため、経営側が一方的にボーナスカットを行うことは明白な契約違反。契約社員にも正社員同様の「痛み」を半ば強引に求めようとした一幕だった訳であるが、結局、反発を受け、法的にも勝ち目のない米谷社長はカットを見送ったが「今後は専門職社員の方々にも協力を求めたい」と表明した。

 メインバンクの1つである東京三菱銀行は、グループ内で旗艦の位置づけである「ホテルオークラ東京」が2004年3月期に、2期連続となる赤字になったら融資を引き上げる(前期は7億1千4百万円の最終赤字)と通告したといわれ、同社は崖っぷちに立たされていたのだ。

30歳前後の明細。20万を割り込み、ボランティア精神が求められる水準に。
 退職金や翌年度(つまり今期)ボーナスの引当額を減らすといった苦し紛れの“経理操作”を行い、強引に決算を黒字化することには成功した。しかし、業績の裏づけが伴っているわけではない。経営側は「黒字決算だったら、0.2ヶ月分を追加支給する」としていたものの、結局、追加支給はできなかった。今期も引き続き苦しい台所事情に変わりはなく、それどころではないのだ。

 既に今夏のボーナスは、現時点で昨年の1ヶ月を更に下回る「0.7ヶ月」というのが「内定」の状態。急回復でもしない限り、この線が濃厚だ。現状でも、既に30歳前後の大卒社員の年収が400万円を切っている。残業代については、出退勤をIDカードで管理しているものの、課長がシステム上で残業時間を少なめに調整してしまっているのだという。実際には月に5時間程度しか残業代が支払われないような状態で、サービス残業も横行している。

    ◇    ◇    ◇
 同社では今年4月1日、グループ売上高のほぼ半分を占める旗艦「ホテルオークラ東京」の米谷社長が副会長に退き、小川矩良氏が新しい社長に就任。小川氏は千葉県浦安市の「ホテルオークラ東京ベイ」(旧第一ホテル東京ベイ)を常務兼総支配人として建て直した人物であり、その実績を引っさげての社長昇格だ。

 米谷氏は「大人し過ぎてあまり社長としての素質が無い」との意見が社内にあり、副会長へは、表面的には昇進としているが、実際は小川社長と松井会長の間に挟まれた存在感の無いものとなった。米谷氏が就いた副会長ポストはそれまでになかったもので、実質的な降格人事に近い。

 小川氏は就任以来、現場の風紀が乱れていることを問題視し、「社員は会社の悪口をいわないように」といった指示を出した。業績悪化はみなが知っているので、「今度はボーナス出るかね?」といった会話が、挨拶代わりになってしまっていたのだ。

 タイムカードについても、規定で決まっている以上、部長など管理職であってもカードを通すようにと指示したり、規律を厳しくした。こうしたトップダウンの指示は、週1回、火曜日に、部課連絡会議で報告会があるが、その議事録が一般社員にも回覧されるようになり、情報共有も進められている。

 とはいえ、小川氏が立て直しを任された旗艦「ホテルオークラ東京」の業績の悪化は深刻だ。2004年3月期の通期の客室稼働率(全858室)は、ついに60%を切ってしまった。業界では70%が最低ラインといわれる。その分、平均の客室単価が上がっていれば問題はないが、単価も3年前に比べ7.8%下がり、25,077円にまで下がっている。この結果、宿泊による売上高は4年前に比べ、25.9%も下がってしまったことになる。宿泊施設など膨大な固定費を抱えるホテル業界では採算ラインを割っているのは明らかである。

 テロ(2001年9月)やSARS(2003年春)の影響が薄まってはいるものの、2003年4月の「グランドハイアット東京」(六本木ヒルズ内)オープンなど外資の進出によって、限られたパイを奪い合う競争が激化。2003年度は、ほとんどの主要ホテルの売上高が前年割れとなった。中でもオークラの凋落は最も際立ったものとなり、一人負けの様相を呈している。

ボーナスカットの影響は大きい
    ◇    ◇    ◇
 そもそもホテル業界は、他業界と比べ、相対的に報酬水準が低い。名門・オークラといえども、課長レベルの年収が満額で約750万円とそれほど高くはない(ただ、現在は業績悪化で3割程度は下がっている)。一方で、長年続いた年功序列制度の結果、役付きでない社員でも50歳前後で900万円になるといった現象も起きており、これを問題視した経営陣は、低い水準のなかでも若手にやる気を持たせるため、成果主義を取り入れた新しい人事報酬制度を2002年10月に導入、運用を開始した。

 同社では従来より、課長以上の役付きになるか否かで報酬格差が大きくなる仕組みとなっている。このため30代前半までは同年代で全く格差がない。従って、課長になる年齢が重要となる。通常、課長昇進は37~38歳であるが、近年は、実力とキャリア次第でもう少し早い段階で権限の大きいポストにつける抜擢人事も増え始めている。

 コーネル大修士(ホテル経営)の経歴を持つ「事業部長」は30代後半に現ポストに就任.....この続きの文章、および全ての拡大画像は、会員のみに提供されております。



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姉さん大変です(笑)  23:13 05/22 2007
ここではありませんが、元HNなところにいました。競争が激しいので、人件費は勿論、最近はBPOで中国などの更に安い人を利用して回してる。幹部と言えども、労働に対する報酬は圧倒的に低い。ただでさえ客前では良い顔しなければならないので、裏はドロドロ。更に労働基準法はないに等しいと平気で口にする管理職が多いので、労働環境は劣悪。
ホテルオークラを担当  10:11 10/16 2005
していた某メーカーの営業ですが、何十回の打ち合わせて一度もお茶が出なかったところはホテルオークラくらいです。

そこまで経費節減するか、と呆れました。
(別にお茶が飲みたいわけじゃない(笑))