“ギャップ企業”の低評価な面は…
|
「人気企業の割に評価が低い会社」には、それなりの理由がある。今回、これまでの取材結果をもとに、それなりの人気を保っている割に、期待を裏切りがちな企業を選び出し、その原因別に分類した。その多くは、外部から特に見えにくい「生活面への影響」にあることが分かった。
【Digest】
◇トヨタ自動車
◇三井物産、日経新聞社
◇楽天
◇JTB
◇ソニー
◇富士通
◇ベネッセ
◇野村證券
◇東京三菱銀行・みずほ銀行
◇なぜギャップは生まれるのか?
人気企業というのは、まず期待値が高い。「みんなが志望する会社なんだから、間違いはないだろう」という意識がある。しかし、その「みんな」のレベルが低いのが問題で、特に学生は企業の実態など知るはずもなくメディアを通して知ることが多いが、そのくせメディアリテラシーが低い。だから入社後にギャップを感じる。
筆者は2003年後半から、年間50~70人ペースで大企業・人気企業の社員を取材し続け、自身が運営するニュースサイト「MyNewsJapan」で「企業ミシュラン」と題して連載しつつ、幻冬舎から同名の本も出ている。良いことも悪いこともフラットに話してもらえるように、企業の広報を通さずに直接、人脈をたどって社員を取材するのが特徴だ。
これまで約200人に取材して改めて思ったのは、現場社員の情報量と社外に公表される情報量は圧倒的に違うということだ。たとえば、社内で起きた過労死・自殺などは、先輩・後輩、同期や寮のコネクションで噂が一気に広まり、社内ではかなり正確な情報が行き渡る。これは、「絶対に広報取材では出てこないが、社員取材では出てくる情報」の典型である。
連載では、各企業を「仕事」「生活」「対価」の各視点から、同じ評価基準で格付けし、比べられるようにしている。今回、評価が低い企業のなかで、特に、入社前後のギャップが大きいと思われる企業をピックアップして解説する。単に評価が低いというだけでなく、「人気企業の割に……」という点を重視し、チョイスした。
その結果、特に原因が集中したのは、生活面。労働時間の長さや強すぎるプレッシャーによる「負荷」や、選べない勤務地・自由度のない仕事時間などの「勤務環境」、そしてパワハラや硬直した上司との関係などの「人間関係」だ。給与水準などは公表データでそれなりに見えるが、生活面は不透明感が強いだけに、ギャップが大きくなりがちなのである。
とはいえ、あくまでこれは「MyNewsJapan」の評価基準であって、万人に通用するものでは全くない。たとえば、お金に全く興味がなくボランティア精神旺盛な人にとっては給与がゼロでも全く気にならないだろうし、仕事が趣味で24時間働きたい人にとっては休みがない会社のほうがむしろ望ましい。弊社の基準は、サイトに詳述してある。→仕事/生活/対価
◇トヨタ自動車
利益一兆円超の日本一企業、トヨタ自動車は、マスコミが良い話しか書けないために、社内に入ってぶち当たるネガティブな事象は、すべてがギャップになる。
「東海大地震が来るのを待っているんじゃないか、という噂があるくらいです」。トヨタの若手社員がそう説明するのは、ほとんどの新人が入るオンボロ独身寮のことだ。
広さは4畳半で「窓の隙間が空いて風が吹き込んでくるので、ガムテープを貼っている」という。風呂トイレ共同、キッチンもなし。これが標準だ。5棟以上ある独身男性寮のうち、2棟だけは比較的新しく6畳と広めだが、今でも新入社員のマジョリティーは、4畳半の寮に月額約6千円の負担で入る。6畳の寮も9千円前後だが、「会社が振り分けるので、自分では選べない」という。
寮は概ね本社から6キロ程度の場所。本社がある豊田市トヨタ町は、名古屋市まで車でも1時間ほどかかる田舎なので、平日は名古屋に出る時間をとれない。「思ったより田舎だ、と聞いてはいたが、聞いていた以上にさらに田舎でした」(若手社員)。
アフターファイブは、寮にキッチンがないため、4畳半の部屋で、スーパーで買って来た出来合いの弁当を食べることが多い。
会社側は、学生の「いい会社のはずイメージ」を破壊しないように、トヨタ町の本社周辺には学生を連れて来ない。「自分は、面接は東京、内定後の懇談会も名古屋市内のホテルで、トヨタ町には一度も行く必要がなかった。なかには、内定までずっと東京だけ、という同期もいました。だから、入社して初めてトヨタ町を訪れる人も多い」(同)。
こうして生活範囲を限定され、会社が生活を拘束する訳だが、仕事面での満足度もそう高くない。年功序列、終身雇用を未だに維持しているため、若手は責任ある仕事を任されずスキルが身に付かない。
「もっと最初からバリバリやらせてくれるかと思ったら、そうでもなかった。リクナビネクストに登録.....この続きの文章、および全ての拡大画像は、会員のみに提供されております。
