写真1:日本生命でリクルーターとの待ち合わせが行われるJR東京駅丸の内北口
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私は、今年3月卒業予定の慶應義塾大学生で、2007年4月入社組として就職活動を行った。前年11月から2006年4月の内定まで、OB訪問は計16人、業界も金融、コンサル、メーカー、通信と多岐に渡った。就活と言っても理系と文系、東京と地方では状況が異なるが、自身の体験を基に、今の東京の文系大学生の就活の実態を、企業側との攻防および後輩へのアドバイスを中心に綴ったので、参考にしていただきたい。
【Digest】
◇「エントリーシートは見ていない」リクルーター
◇実は選考されていた!OB訪問
◇偏差値で集合場所が異なる第一生命
◇倫理憲章は守られない
◇こっそり大学限定の会社説明会を開催
◇「抽選」名目で特定大学の学生を集める
◇偏差値の低い大学の学生はどうすべきか
◇みん就とは、ほどよい距離で
◇囲い込み工作への対処法
◇「内定ブルー」にかかる学生たち
◇譲れないことは何か
◇会う人の影響、説明会で分かること
◇ネガティブ基準で決定
◇超高級ホテルの客室でOB・OG訪問
◇わざわざ私服で来させて、拘束する
◇就活を終わらせたい誘惑にまどわされるな
2006年3月の平日、夜8時。JR東京駅丸の内北口改札前。リクルートスーツを着た何人もの大学生が、一人で立っている。誰かを待っている模様だ。ほどなくして、比較的若いサラリーマンが一人ずつ迎えにやってきて、丸の内の闇夜に消えていく。これは、日本生命保険相互会社(ニッセイ)が伝統的に行っている「リクルーター制」の風景だ(写真1)。
◇「エントリーシートは見ていない」リクルーター
リクルーター制とは、リクルーターと呼ばれる若手社員が、入社を希望する同じ大学の後輩と社外で非公式な面接を繰り返して採否を決める制度。翌年4月入社の大学生のリクルーター選考は、3月頃にピークを迎える。
一般の公募と異なり、偏差値の高い有名大学の学生だけに開かれたルートだ。一昔前に比べれば、リクルーター制を採用している企業は減ってきたが、未だ多くの大企業で残存する。特に、金融やインフラといった業種では多く見られる。表向きは一般公募を実施するものの、採用人数の大部分をリクルーター制で埋めてしまうため、一般公募が有名無実化している企業もある。
ニッセイも、そのひとつだ。私自身、就職活動中の2006年2月に、2回ほど日本生命のリクルーターと接触した。
自分が最初に会ったリクルーターは「採用枠のほとんどがリクルーターで埋まる。自分もこのルートで入社した」と言っていた。同社の総合職採用では、3月に、学生とリクルーターとの接触が非常に多くなる。ニッセイ東京本部(丸の内オアゾ)では20時前後にオフィスが消灯し帰宅が促されるため、上述の時刻にリクルーターがやってくるようである。
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写真2:エントリーシート対策や筆記試験対策の本、面接対策本も人気を集めている(筆者所有物を撮影)
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同社
採用ホームページの「募集情報」によると、「エントリーシート(志望動機や自己PRを書く履歴書のようなもの)にて書類選考を行う」と述べられているが、私の接触したリクルーターは「学生のエントリーシートは基本的に見ていない」と語っていた。エントリーシートの内容よりも、学歴が重視されているのである。
◇実は選考されていた!OB訪問
1回目の接触では、入社3年目の大学のサークルOBとお会いした。サークルOB名簿から先輩と連絡を取り、日本生命に関心を持っている同じサークルの同期4人と「OB訪問」という名目で、サークルのOBの方に仕事についてのお話を伺うという趣旨で食事会を行った。
OBは、「選考とは関係ない」と私たちに説明し、私たちもそのような解釈でリラックスして、食事を楽しんだ。しかし、5人のうち私を含めた3人だけに、次の「OB訪問」の案内が来たのである。この時点で、連絡が来なかった2人は、日本生命の選考から外れたことになるのだ。
このように日本生命は、事前に選考を行っているという趣旨を伝えずに、不透明な選考基準で採用を行っている。私は幸運にも連絡が来たが、連絡が来なかった2人は、激しい憤りを感じていた。
人生の選択そのものといってもよい職業選択の時期に、学生も自分にあった企業を見極めようと必死になっている。本気で日本生命に入社したいと思っている学生からすれば、このような選考で入社への道が閉ざされてしまったら、不条理さを感じずにはいられないであろう。
同社のこうした不透明な選考方法は、採用HPにも反映されている。「採用スケジュール」には、最も重要であるはずのエントリーシート受付後のプロセスが全く示されておらず、「採用実績」には、採用実績大学の名前や、女性の採用人数実績といった情報も掲載されていない。また、「学部・学科不問」とあるが、「学歴不問」という記述はない。
◇偏差値で集合場所が異なる第一生命
生保業界トップの日本生命に次いで、第2位の規模を持つ第一生命相互保険会社も、リクルーターによる選考が盛んに実施されている。
私の場合、エントリーシートを提出後、第一生命の人事から「今後の選考を受けるためにあたって重要な『個別セミナー』のご案内です」という電話がかかってきた。これが、事実上の第一次リクルーター選考であり、私は2006年3月9日に参加した。
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写真3:第一生命のリクルーターと待ち合わせが行われた帝国劇場チケット売場前。第一生命本社の目の前である。 |
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この時の待ち合わせ場所は、第一生命本社の目の前にあたる、帝国劇場であった(写真3)。私以外にも多くの学生が、その場でリクルーターの面談を待っていたのだが、不思議なことに、そこに居合わせたのは慶應と早稲田の学生のみであった。
明治大学の友人に聞くと、「俺はニッポン放送前で待ち合わせだったけど、そこにはMARCH(明治・青山学院・立教・中央・法政)の学生しかいなかった。早慶とMARCHで、きっとリクルーター選考の待ち合わせ場所も、通過率も異なるんだよ」。
その「個別セミナー」は、社員1人対学生2人で、「生命保険業界以外にどういった業界を志望しているのか」「なぜ第一生命に興味を持っているのか」「他に選考が進んでいる企業はあるか」等の質問を、約40分間にわたって浴びせられた。
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写真4:第一生命のリクルーター選考が行われた喫茶店
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会場となった新有楽町ビル地下の喫茶店(写真4)は、第一生命の「個別セミナー」の学生と、第一生命の社員で、ほぼ満席となっていた。
◇倫理憲章は守られない
日本経団連は、就職・採用時の混乱を避けるための「倫理憲章」を掲げており、周知徹底し実効性を高めることを目的に、2004年度からは賛同企業連名による「倫理憲章の趣旨実現をめざす共同宣言」を公表している。2007年度は844社(前年度888社)が賛同しており、そこには日本生命の名も記載されている。
倫理憲章では、「採用選考活動の早期開始は自粛する。まして卒業学年(4年制大学の場合4年)に達しない学生に対して、面接など実質的な選考活動を行うことは厳に慎む。」というルールが掲げられているが、日本生命や第一生命のように、こっそりフライングしている企業は多い。その他の賛同企業の中では、JR東海は学生が3年生であるうちにリクルーターによる面談(事実上の選考活動)が実施されていた。私自身が参加したのだから、間違いない。
こういった企業は、3月末までは社外の喫茶店・ホテルの一室等でリクルーター面談を繰り返し、ある程度学生を絞る。そして4月に入ってから会場を会社内に移し、公式の面接を実施する。あるいは、リクルーター選考での結果だけで判断し、4月1日に内々定を出してしまう企業も多い。
このように、「個別面談」「公式OB訪問」といった名目で実施されるリクルーター制は、「自分が選考を受けているかどうか分からない」「自分が選考のどのステップにいるのかが不明」といった不安を学生に与える。学生からみると、いつ合否がくるのかわからず、それを聞いてはいけない空気もあって、聞けない。そうなると、他企業の選考状況との兼ね合いもあるため、たいへん困る。
その企業の内定が近いのならば、日程が重なった場合、他企業の選考を辞退してでも行くかもしれないし、そうでないのならば、他企業のほうを選ぶかも知れない。選考状況が不透明だと、そういった判断ができないのだ。
しかし、企業側にもそれなりの言い分がある。団塊の世代が定年を迎えることによる労働人口の減少や、経験値の低い20代30代のニートやフリーターの増加などを受け、2005年頃から、未経験者である学生の採用環境が、「買い手市場」から「売り手市場」へと変化した。
そのため、各企業とも高学歴で有能な学生を早いうちに囲い込もうという意図があり、内密でリクルーター採用を実施せざるを得ない背景もある。就職活動の早期化はとどまることを知らない。今や、倫理憲章の呪縛が解けた4月に入ると、すぐに公式面接はピークを迎える。
特に金融系は採用数が多いこともあり、早めに人数を確保したいようだった。正直、金融ならば、そう苦労せずどこかに入れるんじゃないか、と思ったほどだ。
◇こっそり大学限定の会社説明会を開催
高学歴の学生のみに開かれたルートであるリクルーター制と似たケースで、学歴による待遇の違いを実感した出来事があった。それは、特定の大学生向けにこっそり開催される会社説明会だ。
私が把握しているだけでも、みずほフィナンシャルグループ(2006年3月12日・みずほ銀行本店講堂にて)、トヨタ自動車(2006年2月28日・笹川記念会館にて)、富士通(2006年3月13日~17日・大井町NTビルにて)、JR東海(2006年3月2日~3日・JR東海品川ビルにて)の4社が、「慶應義塾大学生限定・会社説明会」を開催しており、私自身も参加した。もちろん、こういったセミナーの開催は大々的に告知されるものではなく、該当する学生のみに参加が呼びかけられる。
選別を容易にしているのが、就職ポータルサイトの存在だ。「リクナビ」とは、株式会社リクルートが提供する就職ポータルで、非常に多くの企業の求人情報が掲載されており、選考を受けるにはリクナビへの登録が必須という企業も多い。新卒で就職を希望する学生であれば、ほとんどが登録している。
リクナビには、登録の際に大学名を記入する欄があり、企業は特定の大学の学生のみにメッセージを送ることが可能だ。そのため、所属する大学によって、企業から送られてくるメッセージの数も大きく異なる。おそらく、一番メッセージの数が多いのは東京大学の学生なのであろう。
企業は、採用したい大学の学生のみに、会社説明会の告知をする。エントリーすると、直接、電話がかかってくることも多い。
◇「抽選」名目で特定大学の学生を集める
あるいは、説明会へ参加する学生を、「抽選」という名目で、実質は裏で大学名によって選んでいると思われる企業もある。私自身、抽選方式のセミナーに10社近く応募した。NTTドコモ(2回の説明会が両方とも抽選方式)、住友商事、丸紅、JR東日本、読売新聞社などが「抽選」と表記していた。だが、不思議なことに1度も抽選にもれたことはなかった。ただ単に幸運であったとは考えにくく、「慶應」というブランドが有利に働いたのだと思う。
抽選のセミナーに申し込んだ後、単に「セミナーに参加いただけます」という連絡が来る場合は、申し込み人数に満たなかったため全員参加なのか、それとも抽選が行われたのかが、不明だった。
私はほかにも、就職活動支援サイト「ジョブウェブ」が主催した以下のセミナーにも当選した。
・「ジョブウェブフォーラムRound3 メーカー編」(NEC、シャープ、リコー、ミキハウスが参加)
・「ジョブウェブフォーラムRound4 かっこいい大人編」(ジョンソン・エンド・ジョンソン、富士写真フイルム、東京エレクトロン、ベネッセコーポレーションが参加)
ジョブウェブは、「慶應生の人事と語る少人数セミナー『業界研究と人事の本音』」(日本IBM、野村総研、大和総研、キヤノン販売が参加)という大学限定のセミナーを2005年12月15日に密かに開催しており、私も参加している。
◇偏差値の低い大学の学生はどうすべきか
これらすべてのセミナーは、事実上の選考プロセスに入っている場合もあれば、まったく関係ない場合もある。企業としては、あえて個別のセミナーを開く大学については、そこの学生をより多く採用したいという気持ちがあることだけは、確かだ。選考の場合は、出席後、次のステップについての連絡が来るのが一般的である。
しかし、必ずしも、偏差値の高い大学からのみ採用するとは限らない。密かに特定の大学生向けの会社説明会を開いている企業でも、たいていの場合は一般の就職活動生向けの説明会(オープンセミナー)も開催しているので、まずはそれに応募することである。
抽選方式のセミナーの場合は、同じ大学の就職活動生で、そのセミナーに申し込んで当選している人がいるかどうかを調べ、申込者は多数いるのに当選者が全くいなかった場合は、残念ながら内定の望みはかなり薄いと考えるのが妥当だ。大学別に最初から枠を決めている企業もあるため、自分の大学の就職課に出向き、自分の大学からその企業へ入社した人が過去にどれだけいるかをチェックすることも重要だ。その会社にどれだけ入りやすいか、がわかる。Marchクラスでは、特に要チェックだ。
セミナーの抽選に漏れても内定をもらっている人がいるのも事実で、抽選に漏れたからといって「自分はセミナーへの参加さえ断られたのだからダメだ」などと思い込まず、とりあえず選考を受けてみることをお薦めする。
雇用環境も改善され、採用人数も軒並み増加しているので、以前より門戸は開かれている。後悔しないよう、積極的にチャレンジすべきだ。たとえば学歴を重視することで有名なJR東海の総合職事務系(いわゆる、キャリア組)でも、2007年度卒業の内定者の中には、数年ぶりに明治大学の学生がいたという。
◇みん就とは、ほどよい距離で
こうした選考プロセスの情報を得るうえで、掲示板サイトを使う人は多い。「みんなの就職活動日記」は、就職活動に関する情報交換用掲示板サービス等を提供する、就職活動生の間で有名なサイトだ。就活生の間では、すっかり「みん就」という呼び名で定着している。ここで、2006年の2月に開催された高島屋のジョブセミナー(会社説明会)のネット予約に関しては、以下のような書き込みがされ、物議を醸し出していた。
「高島屋のジョブセミナーの案内が、(1月)21日夜中の0時ごろきました。気付いたのが2時くらいで、すぐにマイページにログインしたのですが、満席とのこと。何度やっても登録できません。あまりにも早すぎる…と思って、早稲田の友達に見てもらったら全部あいてると言うのです。ちなみに私は東女(東京女子大学生)です。噂にはきいてましたが、本当にあるとは思いませんでした。私は高島屋を第1志望で考えていたのに、学歴で差別するなんて、はっきりいってがっかりしました。」
「みん就」にも嘘が書かれることもあるので、情報を鵜呑みにせず、自分で正しい情報を見極めることは重要だ(これは就職活動全般に言えることだが)。書き込まれた情報のソースや、具体性を確かめるようにしたほうがよい。
私自身も、「みん就」をかなり参考にしていた。自分より先に選考を受けた学生の書き込みを参考に、面接で聞かれることを調べたり、周囲の学生は選考がどの程度進んでいるのかという比較で活用したり、という具合だった。
ただ、頻繁に掲示板を覗きすぎて「こんなにたくさんの人に次の面接の案内が来ているのに自分はまだだから、もうダメだ」というふうに悲観的な考え方に陥ることもあった(結局、その後、次の面接の案内が来て、無駄な嘆きであった…)。「みん就」とは、ほどよく距離を置いて、上手に活用すべきである。内定者日記や、志望動機は参考になるので、気になっている企業があったら、どのように書かれているかを見るとよい。
あと、企業の人事は、「みん就」をチェックしていることが多いようなので、決して個人が特定されるような書き込みはしないことだ。志望企業の選考方法などを知りたい場合には、「考働主義」というサイトも参考になる。
◇囲い込み工作への対処法
選考の最後のほうになると、「売り手市場」となっている今、学生も、複数の企業から内々定をもらった上で、どこへ入社するかの選択を迫られるケースが増えている。その分、企業としては内々定を辞退されるケースが多くなるジレンマが生じ、各企業の人事も優秀な学生を囲い込もうと必死になる。
内々定を出す際にも、「今から他の企業の選考を辞退するか」と学生に尋ね、「辞退する」と答えた学生のみに内々定を出す企業も存在する。私が2007年4月から入社する企業も、そのような方式を採用していた。私はとりあえず「辞退する」と回答して内々定をもらい、その後も、こっそり他企業の選考を進めた。
社会人と違い、学生はピュアで嘘をつけない人が比較的、多い。だが、そこはバカ正直に従う必要はない。某人事部の人に聞いてみたところ、「あれは一応の約束だから、会社としても、みんな止めているとは思っていない」。社会に出る一歩だと思って嘘をつくのもいいし、とりあえず他は辞退すると言っておいて、活動は続け、他に決めることにしたら、「あのとき、その場ではそう思ったけど、あとで考えたらやっぱり違った」と言えばよい。
口約束だけの拘束なら、まだ良心的である。確証はないので企業名は伏せるが、某大手鉄道会社に内定した友人は、「最終面接を終えて内々定を出されたけど、その後『今すぐここで、他社の選考を辞退する電話をかけて』と脅迫された」と語っていた。その場で、他企業に断りの電話を入れさせるのは、外資金融など、プライドが高い会社が多いようだ。
早い時期に内定を出す企業は、学生を他企業に内々定させないために、他企業の選考がピークの時期に、食事会や旅行といった方法で学生をいちいち呼び出すケースもあるという。
◇「内定ブルー」にかかる学生たち
今年、私の周囲の就職活動を終えた学生からは、「内定ブルー」という言葉をよく聞いた。これは、内々定を得て就職活動を終えたものの、「自分は本当にこの会社でいいのか」と思い悩む状態を指す。「マリッジブルー」の就職活動版であると理解していただければよい。
「就職氷河期」と言われた時代に就職した世代からすれば、贅沢な悩みかもしれない。「内定ブルー」という用語が認知度を上げ、この症状にかかる学生が増えているのには、大きく分けて2つの要因がある。
第一に、「売り手市場」となり、比較的自分の意思で企業を選べるという時代背景である。数年前は、1社から内々定をもらうだけで十分喜ばしく、他に選択の余地がないケースも多かったようだが、現在は複数の企業から内々定を得るのはいたって普通であり、「選考を受けなかった企業の中にも、自分と合う企業があって、選考を受ければ内々定をもらえたのではないか」という思考に陥りがちになっているのである。
第二に、就活が早期化し、内々定が出る時期も早まっていることである。早い時期に希望の企業に内定をもらい、「就職活動を止めなさい」という人事の言葉に従ってリクルートスーツを脱いでしまうが、後になって「他に可能性があったのでは?」と自問自答してしまうパターンである。就活を終える時期が早まれば、入社までの期間も長くなり、自由な時間がたっぷりあるため、「このままこの会社に入社していいのか」と悩みこんでしまうケースが増えているようである。
完璧な会社はないので、企業のいいところだけを考えて内定をもらい、その後、マイナスの情報が入ってくると、ブルーになりやすい。そうなると、冷静な判断ができなくなり、いったんは活動を止めたものの、内定者懇親会に出席して、もう一回、就活を再開した人もいる。最近は、秋採用なども行われており、活動は続けやすい。
◇譲れないことは何か
対策としては、就活を通して、実際の社員に会い、自分が大事と思うことの優先順位を明確に決めていくことだ。自分の場合は、活動全体で16人のOBにお会いした。どうやって探すのかというと、まずは、ゼミなどのコネと、友人関係から探す。あとは、就職課に専用のパソコンがあり、卒業生の住所と名前と勤め先を検索できるので、その住所に手紙を出す(個人情報保護で、電話番号はない)。
自分の場合、はじめは、野村総研の戦略グループなどの経営コンサル関係をまわった。説明会に参加したり、OB訪問をしたり。だが、実際に入社できた後のことを考えたら、どこもハードワーク過ぎる。実際に会った社員も疲れていた様子で、そこまでは働けない、そこまで労力を注ぎたくないな、と思った。アクセンチュアでも、面接のあとの質問コーナーなどで現役社員に聞いたら、やはり仕事がハード過ぎて、生き残るのが大変で、自分はやっていく自信を持てなかった。
そこで、逆に、比較的ラクそうなメーカーを見てみよう、と思った。モノづくりは、最終製品が形で見えて分かりやすいのも魅力だった。だが、キヤノン、松下、ソニーなどの選考を受けるなかで、やはりメーカーは理系が主役だな、と思うようになった。文系は、ほとんど営業になるという。キヤノンについては興味を持ってOB訪問も行い、辞めた元社員にも会ったが、その人が言うには「文系は理系のサポート的な仕事で面白くなかった」と。
金融については、説明会やOB訪問は行ったが、あまりピンと来なかった。みんな疲れているようだったし、メーカーに比べて老けた印象の人が多く、自分には合わないな、と思った。
◇会う人の影響、説明会で分かること
考えてみると、会う人の影響は、やはり大きいものだ。.....この続きの文章、および全ての拡大画像は、会員のみに提供されております。
