月一度の提出が事実上義務付けられている創意工夫提案用紙。何度も書き直され、ライン外で考え続けて記述する。
その時間は明らかに業務だが、社員のボランティア活動とされ、ほとんど残業代にカウントされない
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トヨタ営業利益2兆円の原泉ともいえる「カイゼン」の1つ「QCサークル活動」は、これまで社員による時間外の“自主的”業務とされてきたが、6月からは残業代が支払われるという。今回の方針転換に決定的な影響を与えた過労死裁判遺族の内野博子さんと、闘う少数派労組・全トユニオンの若月忠夫委員長に聞くと、持ち帰り仕事をはじめ、まだまだ対象外の強制的“自主活動”が多く、労基署の職務放棄など根本的な問題は放置されたままであることが見えてきた。
◇残業代支払が画期的と評される異常さ
トヨタに巨大な利益をもたらすのは、カイゼンといわれる独自の業務である。社員に対し、創意工夫・改善案・その他細かな作業を行わせ、無駄を省き効率化を徹底追及するやり方だ。トヨタは数ある活動の中でQC(品質管理)サークル活動については、それまで月2時間の上限があった残業代を全額支払うことを決め、2008年6月1日から実施した。
残業したら残業代を支払うという当り前の決定が、朝日新聞一面をかざり、ほぼ全部の新聞、NHK,民放各局が、画期的な出来事かのように大々的に報じたのは、異様だった。
トヨタを支える社員の業務は様々だ。創意工夫提案・QCサークル活動・交通安全活動・EX(班長)会活動・社内弁論大会・・・。自動車組み立てのラインの仕事が現場社員の本来の仕事で、いま列記した一連の仕事はすべてライン外の残業である。
これらは「自主活動」とされ、正式な業務と会社は認めず、残業代は原則として支払われてこなかった。なにしろ、労働組合(トヨタ自動車労働組合)が「自主活動」を認め会社の方針を支持していたのだから、残業代が支払われるはずはなかった。その会社がとつぜん方針を変えたのは、昨年11月30日、トヨタで過労死した内野健一さん(当時30歳)の妻・内野博子さんが、労災認定を求めた裁判で原告の内野さんが全面勝訴したことだ。2週間後にこの判決は確定している。
この過労死裁判などをまとめた『トヨタの闇~利益2兆円の「犠牲」になる人々』のあとがきでは、内野さんをはじめトヨタ社内で声を上げた人の行動により、多少なりとも会社も動きはじめた、と書いたが、今回の残業代支払いもその効果であるのは、間違いない。
◇残業代支払はQCサークル活動のみ
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小グループ話し合いシート。これも明らかに業務だが、残業代はつかない
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過労死裁判で勝訴した内野博子さんに今回の動きについて聞いた。
「会社が(QCサークルの)残業代を支払うという情報を聞いた時、夫への労災支給が認められた判決を聞いた時より、うれしかったです。判決のときは控訴されやしないかと不安だったし(2週間後に確定)、判決で残業時間106時間分が認められたのに、豊田労基署は、残業45時間分しか認めないと言ってきたのですから」
内野さんのこの発言については説明を要するだろう。この裁判の重要なポイントは、トヨタが言う "自主活動"が業務であるか否かだった。判決では、創意工夫提案書作成、QCサークル活動、EX(班長)会でも役員として行っていることは業務として認定された。交通安全活動も同様.....この続きの文章、および全ての拡大画像は、会員のみに提供されております。
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刈谷労基署宛て要請文。全トユニオンは、これまで3回にわたる団体交渉の席で「カイゼン活動」に残業代を支払うように申し入れ、さらに労働基準監督署に対しても、自主活動についてトヨタ系各社を指導してほしいと文書で要請していた |
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創意工夫提案は、上司の指示で休日出勤して書き直すなど明らかに業務としてやっている
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