東大本郷キャンパスの赤門。学生たちは、どのような進路を選択していくのか
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私の周りには「公務員だけは絶対に嫌だ、なりたくない」と言う友人が何人もいる。2008年現在、東京大学の学生である筆者が東大生の最新の進路および過去10年の流れを調べたところ、キャリア官僚は今年208人と、過去5年で最低だった。逆に外資コンサル・外資証券の人気は一貫して高まっており、2008年は主要9社だけで93人に上り、総数では官僚を近々、上回るのではと思わせる勢い。東大生の間では、仕事のやりがい・自己成長において「外資>日系企業>公務員」の構図が出来上がっているようなのだ。
【Digest】
◇10年前に迫る官僚不人気
◇氷河期終盤に2極化現象
◇売り手市場で公務員を捨てる
◇外資への潮流止まらず
◇外資のコンサルと証券の4~5割は理系院卒
◇自己成長重視派は公務員にならない
◇いまだ断然多いメガバンク・商社・メーカー
◇能力に自信のある学生にとって魅力ある官庁に変われ
おそらく多くの方が、東大は霞ヶ関や、大手の日本企業に多くの人材を輩出している、というイメージをもたれているだろう。その進路動向を見ることで、日本のいわゆるエリートたち(このような言い方には議論があるが、深くは触れない)が将来に何を求め、どう動いているのか、その一端が見えると思い、このほど調査・分析を行った。進路データは、民間企業は東京大学公認の『東京大学新聞』、公務員は『公務員試験受験ジャーナル』を利用した。
◇10年前に迫る官僚不人気
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東京大学卒業生の進路変遷(1998年、2003年、2008年)。学部卒・院卒以上の統合データ。キャリア官僚はいったん増えてから戻り、外資コンサル・証券が一貫して増えた
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東大生といえば国家公務員、国家公務員といえば東大生、というイメージをもたれている方も多いと思う。実際、1980年代までは、国家公務員Ⅰ種合格者の9割が東大生だったという話も耳にする。
だが、2008年に官公庁に就職した東大生は、学部・大学院合わせて208人で、過去5年間では最低だった。特に学部卒の不人気が顕著で、3年前の2005年には160人近くいたが、今年は120人強しかいなかった。とはいえ、9年前(97年)と10年前(98年)は、ともに全体で190人だったため、一直線で低下傾向という単純な話ではない。
◇氷河期終盤に2極化現象
2003年(249人)、2004年(229人)、2005年(247人)の「後期就職氷河期」は、長引く不況で民間企業が採用を絞っていたことから、一時、学生全体の「公務員志向」が強まり、東大生も保守化した。98年より2003年のほうが59人も多い。
しかし、全体が保守化したのではなく、もう1つの傾向が生れた。この時期、一部の学生は先鋭化しだし、外資系企業を目指しはじめた。2003年からさかのぼること5年前の1998年の時点では、外資に就職する学生は稀だった。日本IBMに26人、アンダーセン・コンサルティング(現アクセンチュア)に9人の学部生が就職してはいる。しかし、マッキンゼー3人、ボスコンは2人のみ。外資証券も、ゴールドマン・サックス4人、メリル・リンチ4人ぐらいだった。当時は外資の日本市場への参入も少なく、認知度も低く、就職先としてメジャーではなかった。
だが、1998年に全体で9人だったアクセンチュアは、2003年には院卒で16位(10人)、学部卒に至っては10位(12人)にまで上りつめ、合計22人になった。これは2008年の人数(21人)とほぼ同じ水準で、すでに2003年には、一部外資が人気化していた。外資証券もゴールドマン・モルガン・メリルの3社合計で、9人(98年)→21人(03年)と、この時期に倍以上に増えている。
つまり、バブル崩壊後の「失われた15年」、長引く不況と就職氷河期が続き、民間企業が激しい買い手市場となるなかで、東大生は、公務員と外資の、両極化の傾向を見せた。一つの群は、実力主義は怖いから、一生安定した身分で仕事をしていこうという学生たち、もう一つの群は、年功序列のレールのない世界を志し、実力主義の世界に飛び込んでいく学生たち。前者が公務員を目指し、後者が外資系企業を目指した。
◇売り手市場で公務員を捨てる
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2008年の進路状況を伝える東京大学公認の『東京大学新聞』(2008年6月24日付)
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そして、小泉政権を経て不況を脱し、売り手市場真っ盛りとなった2008年(採用活動は2007年春)、一方の極である公務員は、その待遇の悪さや度重なる不祥事などから一気に減少し、10年前の低水準に迫る水準に。自分の周りを見ていても、「売り手市場」=「楽に企業から内定を貰える」と考え、試験勉強をしなければいけない公務員の道を捨てた学生もいたと感じている。
実際、民間企業は、みずほだけで06年62人、07年53人という異常な人数が就職しており、08年も40人。学部卒の就職先は、メガバンク3社が08年のトップスリーを独占した。各社が総合職500人規模の採用を行い、かつ根強い学歴主義とリクルーター制度が残っているため、東大生が内定をとるのは楽だった。
◇外資への潮流止まらず
売り手市場になって、もう一方の極である外資はどうなったかというと、外資系企業を目指す潮流はとまらず、ますます人気化を見せ、裾野が広がった。ゴールドマンやアクセンチュアは、2003年も2008年もほぼ同人数であるが、こうした知名度の高い会社だけでなく、一般には知られていない外資証券などへ就職する学生が増え、外資人気は定着したかに見える。
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| 1998年、2003年、2008年の就職先ランキング(院卒・学部卒別)。
院卒は、98年は上位20社中17社がメーカーで技術者志向が強かったが、いまやメガバンクやコンサルがランクイン。
学部卒では98年にランキング上位40のうち13行がランクインしていた都銀天国が、今年も復活。
なお東京大学の発表によると、2007年度の学部卒で就職した者は1071人、院卒以上で就職した者は2508人。
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外資系コンサルティング会社では、ボストン・コンサルティング・グループ(13人)、マッキンゼー・アンド・カンパニー(10人)、アクセンチュア(21人)の3社を合計すると43人になるが、これは学部卒で三菱商事・住友商事・三井物産に就職した学生と同じ人数となり、もはや外資コンサルは、大手商社並みだ。
外資系証券会社へ就職を決めた学生も多い。ゴールドマン・サックス証券(11人)、.....この続きの文章、および全ての拡大画像は、会員のみに提供されております。
