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新聞の部数偽装、読売元販売員が告発「私は1億円の口止め料を提示された」

情報提供
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 偽装部数の新聞と一緒に破棄されていた東京・江東区の『江東区報』。偽装部数に相応する折込類は、料金だけ徴収され、配達されないまま、破棄される。
 かつて4年間、読売の販売会社「ユース」の店舗で新聞セールスを担当した森敏行氏は、その経験をもとに、新聞の部数偽装を調べ上げ、その調査結果データを、役所、業界団体、それにメディアなどに提供した。だが誠意ある対応を見せたのは、一部の出版社系の週刊誌と月刊誌だけ。森氏が調査を進める途中、中小企業経営研究会なる組織から1億円の口止め料を提示され、断ったこともあったという。

わたしは「桜友政経研究会」という民族運動団体の会長を務める森敏行氏から、かつて調査した情報をもとに、新聞の偽装部数(いわゆる押し紙)についての告発を受けた。

「重大な犯罪ですよ。今も昔も実態は同じではないですか。おそらく体質は何も変わっていません」

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(上)東京・中央区にあるユースの本部。(下)包装されているものは、破棄されるチラシ。包装されていないものは、偽装部数にあたる新聞。
 1998年に、森氏らは読売新聞の販売会社・ユースの店舗を対象として、新聞の偽装部数を調査した。その過程で配達されない新聞が、店舗から回収される場面を次々とカメラに納めた。さらに内部資料などを入手する。これら一連のプロセスは、 前回の記事で紹介 したとおりである。

店舗数が約100店もあるとなれば、たとえ調査対象が関東一円の店舗に限られていても、全社的にかなり膨大な虚偽部数がある可能性も生じる。販売会社の場合、通常、店舗により販売政策が大きく異なることはあり得ないからだ。

が、調査データを隠そうとする力が働き、時の経過と共に、森氏らが集めたデータの大半は、水面下に埋もれてしまったのである。

森氏らは集めたデータを根拠に、役所や業界団体、政治家、それにメディアなどにユースにおける偽装部数の問題を告発した。

改めて言うまでもなく、告発を受けた側の反応は2つに分類できる。偽装部数の問題を解決する方向で動いたグループと黙殺したグループである。

結論を先に言えば、森氏が突きつけた事実に正面から向き合った団体は、出版社を除いて皆無に近かった。役所も業界団体も「知らぬ、存ぜぬ」で押し通したのである。良心的に思えた人々も、新聞社が問題の核心で、しかも重大な告発の内容を知ると、最後は態度をひるがえしたのである。

◇誠意ある対応をした『噂の真相』
 まず、偽装部数の告発を受けてアクションを起こした少数グループを先に紹介
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森氏が『噂の真相』の岡留編集長へ送った書簡
しよう。月刊誌と週刊誌は、森氏の告発に対して前向きに対処した。特に熱心だったのは、『噂の真相』である。森氏が回想する。

「記者が何度も取材して、2回にわたって残紙問題を取り上げてくれました」

『噂の真相』の他には、『週刊現代』もこの問題を取り上げた。他誌も精力的に取材をしたが、先行した2誌の報道でスクープ性が薄れたことが原因なのか、記事にはしなかった。

『噂の真相』(1999年9月)には、ユース側から森氏に“功労金”として100万円が支払われたとの記述がある。それによると、1998年の8月、森氏は東京・大手町にあるパレスホテルで、読売新聞・販売局部長の樋口(仮名)氏ら3名と面談した。その席上でユース側が100万円の支払いを呈示してきたという。

100万円と引き替えに、調査によって得たデータを読売側へ手渡すことや、残紙問題を告発しない旨の念書に捺印するように求められたらしい。

森氏は金を受け取ったが、後日、『噂の真相』の取材に対して、

「今考えると、やはり金を受けとったのは失敗でした」

と、答えている。

このような経緯があったので、別のルートから2度目の「口止め料」の話が提案されたときは断った。提示額は1億円だった

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東京地検特捜部が捜査を断った後、森氏が送付した抗議文。

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カン五郎2009/02/04 20:54
黒薮です2008/12/04 00:49
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広告主2008/11/21 23:28会員
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記者からの追加情報

1、森メモは原文の意味を変えない範囲で、文章を整理した箇所がある。

2、「押し紙」という言葉に変わって、本稿で初めて、より実態に近い「偽装部数」という表現を採用した。


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