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ヒト余りトヨタ、2ヶ月で24日間も休みに 「出勤義務はあるが有休とれ」と談合

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2月と3月の稼動停止日
 急激な減産でヒマになったトヨタ自動車が、2月と3月の2ヶ月間で、事実上、計9日間も全員で一斉に有給休暇を強制消化する労使協定を結んだことが分かった。1月にも2日間の有休を一斉消化したため、年初の3ヶ月間だけで計11日間も強制休暇となり有休の過半を使わねばならない。問題は、労基法上問題と思われる、トヨタらしい『計画停止日』の運用方法だ。「出勤義務がある日なのに、全員が有休をとるようミーティングで指導されました。誰かが出社すると管理者も出社しなければならないからです」(社員)
Digest
  • 稼ぎ頭の米国市場で36%減
  • 2ヶ月間で24日も休みが
  • グループリーダーが指示
  • 希望退職はありうる
  • 国内生産6割、海外販売比率74%
  • なぜか4千円賃上げ要求、一時金は前年比55万マイナス

トヨタは既に国内工場で働く4500人の非正規社員(期間工)を全員解雇する方針を表明しているが、急激な販売不振による減産で、正社員もヒマを持て余している。2009年度内の、中高年の希望退職者募集によるリストラも視野に入ってきた。

稼ぎ頭の米国市場で36%減

2008年12月の国内販売は、前年比18%減の7万7千台、海外販売も前年比22%減となり、主力の米国市場では何と前年比36%減の14万2千台に激減したトヨタ。これだけ売れなければ生産を減らさざるをえない。

 トヨタ労組は1月29日の評議会で、「会社休業に関する労使協定の締結」を採決した。これによって確定した2月と3月の臨時の休日は、以下のとおりである。
①一斉年休日 2月14日、21日、3月14日、20日、21日
②会社休業日 2月13日、3月2日
③計画停止日 2月5日、6日、20日、3月13日

①「一斉年休日」とは、年次有給休暇の計画的付与のことだ。つまり、一斉にみんなで有休を消化する日である。1月にも2日間設定された。

②「会社休業日」は、減産にともなう臨時の休日。休業手当として、基本給の80%が支給される。

③問題は「計画停止日」である。建前上、出勤義務はあるが、生産はしない日。だが出社してもやることがないので、全員で空気を読んで有給休暇を自発的にとりましょう、というトヨタらしい日である。

労働基準法 第三十九条第四項(4)に「使用者は、前三項の規定による年次有給休暇を労働者の請求する時季に与えなければならない」とあるとおり、このような過度の有休強制は労基法の趣旨に反するものだ。

社員が解説する。「組合の執行部は、もともと要求していたとおり、稼動停止日あたりの支給率90%を確保したいんです。だから80%しか支給されない『会社休業日』を設定する際は『計画停止日』とセットにする協定を結んだ。計画停止日は出社義務があるので確かに100%支給だが、結局、ラインは止まっているから、みんなが有休をとるよう促され、ミーティングで意思確認までされて、全員が休むんです」

つまり、ラインが止まっているときでも基本給の平均90%は貰える、というところに組合がこだわったのだ。減産でとにかくラインは動かせないが、いたずらに80%しか貰えない「会社休業日」を増やさないための苦肉の策であり、組合員の有休を犠牲にしたアクロバチックな技である。もちろんこれによって有休日数が増えるわけではない。

社員から見れば、本来は自由にスケジューリングして休めるはずの有休を一斉に消化させられるのだから、いい迷惑だ。自由な休暇よりカネを優先する高度成長期の発想である。

2ヶ月間で24日も休みが

この結果、トヨタ社員は2月と3月、とてつもなくヒマになった。もともとの休日がいわゆる「トヨタカレンダー」(上記)で15日間あり、有休の一斉消化が9日間、そして賃金80%保証の「会社休業日」が2日間設定されたため、2ヶ月間で、どのシフトでも最低、計24日間もの休日がある。毎週のように3連休、4連休である。

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「会社休業に関する労使協定」の内容を伝えるトヨタ労組の「評議会ニュース」

現場社員に話を聞いた。

--どのくらい暇になりましたか?

「もとは7時間35分勤務でしたが、今は、5~6時間しかラインは回っておらず、残りの時間は、『4S』活動とか、ミーティングで時間を潰しています。今後、暇な時間はもっと増えるでしょう。会社側は、人材育成に時間を使うと言っていますが」

--給与への影響は?

「もともと、トヨタの給与においては手当てが多かった。交代勤務の2直体制(=社内では「連2」と呼ぶ)だったから、1直(=6時半~15時15分まで)でも2直(=16時15分~深夜1時まで)でも、早朝か夜勤の手当が必ずついて、残業代もあった。これが昼のみの1直シフト(=「常1」と呼ぶ)になって残業代もゼロになったため、中堅社員の私の場合、月5万円くらいは手取りが減りました」

右記資料にも「連2から常昼への勤務態様の変更、総残ゼロでも対応により該当する組合員の月当たりの収入は、大きく減額しており」とある。ようは夜中に生産したり残業したりすることによる手当てがなくなった。

 あの昼夜を問わぬ不規則長時間労働が当り前で、過労死 認定実績もあるトヨタで、残業がない。しかも「常昼」つまり、夜間も連続で生産し続けないで昼だけラインを動かして働くという、人間らしい生活ぶり。今の環境ならば、過労死は起きなかったわけだ。

グループリーダーが指示

--計画停止日については、どういう説明を受けましたか?

「グループリーダーから、その日は有休をとるように、という説明がありました。一覧表を紙で持っていて、有休でいいな、という感じで、全員に○をつけていましたね。有休をとらないで出社するとどうなるのか、運用がおかしいのではないか、と組合に質問しましたが、無視されています

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4千円の賃上げ要求案と一時金要求案

2010年3月まで、出張交通費削減のため、4時間以上のフライトでもエコノミークラスに。米国出張はエコノミーとなる。

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fazz06112009/02/05 09:30

マツダのように、会社都合休日にしてその日は6割給与、の方式とどっちがいいいんだろうか。広島のほうは部品メーカーも会社都合休日にしてるところいくつかあるね。

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