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『憚りながら』最後のヤクザ議員としての小沢一郎

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著者が本人なので、どうやってカネを作ってるか、といったヤバい話は出てこないが、日本の文化としてのヤクザについて考えさせられる

今回の参院選では、小沢が2人区で民主の候補者2人目を擁立したわけだが、1人目は労組や県連の組織票まみれなオッサン候補。で、2人目がそれとは対照的な小沢ガールズ系の新人(静岡の中本奈緒子とか)で、浮動票を狙った。その2人目の選挙戦では、常に小沢事務所の私設秘書が裏でつきっきりの指導にあたっている風景が報道されていた。

今回の選挙で一番気になったのが、そこだ。全国各地に私設秘書が送り込まれているのだから、いったい、この人件費はどこから出ているのだ、と考えてしまう。「小沢は私設秘書が60人くらいはいるから、その人件費だけで年間3億円くらいは必要」と田原総一朗氏が言っていたが、実際、そのくらいは軽く使っているのだろう。

そんななか、山口組直参・後藤組元組長の『憚りながら』(宝島社、インタビュアーは元『噂真』西岡さん)を読んで、久しぶりに面白いノンフィクションだと思ったが、その感想として、ああ小沢はヤクザなんだな、と納得した。

西岡氏インタビューはこちら

 後藤氏は祖父の土地の権利関係を地道に解決して名義変更し、処分して作ったカネで若い衆を養っていた。

 「おい、お前、こっち来い」と、「俺が面倒見てやるから」と言って連れてきて、1ヶ月くらいメシを食わせるんだ。1ヶ月も連れて歩けば、だいたいそいつがどんな奴かぐらい分かってくるから、「よし、お前は真面目だから、俺の舎弟になれ」とか言って。若い頃はそうやって組織を増やしていったんだ。
 (中略)そりゃ、若い衆食べさせていくのは大変だよ。若い衆が増えれば増えるほど、金は出て行くわけだから。だから当時は若い衆食べさせるために、懲役行ってたようなもんだ。

カネを作るためにはグレーゾーンに手を出す。後藤氏は、なんと7回(!)も懲役に行っている。そして、小沢一郎もカネを作るために明らかにヤバい土地取引などをやっていて(遺産相続と議員の給料だけで年3億円続くわけないし)、検察と戦い続けている。構造は同じだな、と。

 この本では、
極道の世界にはまだ『主君のために命を捨てる』といったサムライの精神が生きているんだよ
極道の世界じゃ、いったん親子の盃を受けたからには、その親分に一生忠誠を尽くすというのが最低限の掟だ
といった「ヤクザ道」論が出てくる。

たしかに“小沢組”の石川議員も、逮捕はされたが、口は割らなかった。さすが小沢組。鉄の結束。親分を裏切らない。まさに極道の世界である。

だが、暴対法の強化でヤクザの時代は終わりつつあるようだ。2004年の暴対法の改正で「使用者責任」が加わり、「ある事業のために他人を使用する者は、被用者がその事業の執行について第3者に加えた損害を賠償する責任を負う」という民法715条に規定ができた。

つまり、政治の世界でいえば「秘書がやりました」は通用しない、ということだ。現状ではヤクザにしか適用されないアンフェアな法律だが、世の流れとしては、使用者責任の強化に向かっていくのは、間違いない。

ヤクザだけ使用者責任で逮捕して、一国の首相が脱税しているのに使用者責任が問われないのは、明らかに法の下の平等に反する。鳩山氏は当然、脱税で逮捕されねばならないし、小沢組の誰かが政治資金規正法違反を犯したら、組長の小沢が「使用者責任」を問われ有罪になる時代になっていくはずだ。

 コンプライアンス強化の時代の流れで、ヤクザにとって不自由な世の中になっているのと同様、小沢一郎のようなヤクザ的議員も生きにくい世の中になりつつある(これはいいことだ)。小沢は、ほとんど最後の「ヤクザの組長型議員」として、歴史に名を刻むことになるだろう。

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読者コメント

2019/02/23 00:13
徳72502010/07/29 12:50
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