My News Japan My News Japan ニュースの現場にいる誰もが発信者のメディアです

ニュースの現場にいる誰もが発信者のメディアです

“子供人間”量産政策の必然的結果

情報提供
BlogsIMG_A20090426011731.jpg

「若者は社内で正社員のポジションにしがみつき、できれば一生いまの会社に勤めて、社内出世を目指したい。そのためには良心に反する手段でも指示通りの仕事をするしかない。起業なんてしたくない。」

生産性本部が新入社員に対して継続的に行っている調査で、上記のような傾向を示す指標が出ている(有効回答数2348通)。はっきりいって、絶望的である。

サラリーマン(=正社員)というのは将来、自分でやりがいのある仕事で独り立ちするための、20代のキャリアステップ、研修期間にすぎない、というのが私の持論なので、間違った意識を持っていることに非常に残念だ。

BlogsIMG_B20090426021408.jpg
「良心に反する手段でも指示通りの仕事をする」が過去20回で最高となった(40.6%)

これでは、個人も国も不幸になるばかりだ。日本のサラリーマンなど、独立した大人でさえない。自分で住むところも選べず、仕事内容も選べず、2週間連続で休むのもほぼ無理。自分の頭で正しいと思ったことを押し殺し、ストレスを溜めてでも良心に反する仕事をさせられる。その代償として、毎月一定額の小遣い(給与)を貰う。

ようは、それまで親の扶養下に置かれていた学生が、会社の扶養下に移るだけであって、本質的には子供だ。自分の頭で考えず、親の命令だから、と良心に反する指示にも従う。そういう“子供人間”でいいや、と若者に思わせているのだから深刻である。

その先に何があるかというと、まず個人のモラルは崩壊する。仮に人事部に配属されたとして、悪質なリストラや偽物の成果主義を推し進める担当になっても、会社の指示だから、と大人しく従う。「エノラゲイに乗って原爆落してこい」と言われたら躊躇なく従う。告発本を書いたり、私のようにウェブで会社を批判するなど、もってのほか。つまり、言論の自由がない社会になるということだ。

国についていえば、新規産業が生まれないわけだから、日本の経済社会は、長期縮小・停滞へと、ただただ向かう。グーグル、アマゾン、マイクロソフトといったIT産業は日本では起きず、日本人はそのプラットフォームに組み込まれて搾取され続けるのみである。

BlogsIMG_C20090426011021.jpg

なぜこうなるのかといえば、政府が「正社員になって会社に人生を預けるのが一番のお得だよ」というメッセージを発し続けているからだ。

正社員を過剰保護し、非正規との格差をこれだけ見せ付けられれば、正社員のイスをエグジットしたアウトサイダーになろうと思う人が減って当然。退職金優遇税制を残している限り、リアルタイムに実力で稼ぐよりも会社に定年までしがみついたほうがいい、と思って当然。

 あらゆる政策が、正社員としてひとつの会社にしがみつく人間が一番有利になるようにできてしまっていて、それを政府が全く改めようとしない。秋に生まれる民主党中心の新政権では、日本で新産業を起こし育てる、という確固とした理念を打ち出し、ゼロベースで政策を作り直してほしい。

はてなブックマークコメント

もっと見る
閉じる

facebookコメント

読者コメント

taku2009/05/06 18:10
渡邉正裕2009/04/27 00:43
一般人2009/04/26 19:46
松本孝行2009/04/26 11:25
※. コメントは会員ユーザのみ受け付けております。
もっと見る
閉じる
※注意事項

記者からの追加情報