民主党の経済ジリ貧決定政策
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今秋からの民主党政権で最大の問題が、経済や経営のことが分かっていそうな人が1人も幹部クラスに見当たらないことだ。
高速道路が無料になったり月2万6千円の子供手当がもらえたら内需が拡大して経済成長??という、ありえないロジックを真顔で言っているから怖い。貯蓄に回るだけだって。増税が待ってるのはみんな知っていることだから。
しかも、民主党の政策立案部門のトップ、政調会長は、トヨタ労組出身の直嶋氏だから、ますます怪しい。労組出身者というのは最も視野が狭く、経済に疎い人たちだからだ。まったく適材適所でない。モルガンMD出身の大久保氏とか、企業経営者出身の馬渕氏とか、若手には結構デキそうな人がいるのに。
経済成長のために必要な施策は分かりきっている。主なものは下記だ。
①聖域なき構造改革、経済的規制の撤廃。既得権者にムチを打ち、新規参入を促して経済を活性化する。②金融資産課税+贈与減税。約1400兆円の個人金融資産の7割を持ちながら貯め込んで使わない60代以上の高齢者層から、40代以下のお金が必要でかつ活発に使う世代への移転を進める。
③投資減税。国内だけでなく、圧倒的に少ない海外からの国内投資を活性化する。
このように、過保護で金持ちの年寄りからカネを巻き上げ、若い人や外国企業にチャンスを与えてガンガン働いて貰い、カネを遣って貰うようモチベーションを与えない限り、雇用も生まれないし、経済はよくならない。単純な減税や家計へのバラマキは貯蓄に回るだけだからダメで、「経済活動を積極化する行動」に対してお金をつけるのがポイントである。
今の若い人の多くは、守りに入っている。学生の就職希望を見ても、大企業志向、お役所志向が鮮明だ。若い人が守りに入るような国は衰退あるのみである。
だが民主党は、高齢者ばかり優遇して世代間格差を埋めることに関心がなく、既得権者(正社員、規制業種)の改革どころか、逆に保護に走る始末だ。既得権が守られている様を見れば、自分もそこに入るしかない、という発想になる。
経済成長のために既得権者や高齢者に与えるべきなのはムチであって、アメではない。
民主党が改革すると言っている既得権者は、なんと官僚機構だけだ。官僚だけ改革しても経済成長にはつながらないし、時間もかかりすぎる。
その点、小泉氏はよく分かっていたから竹中氏を起用した。今の民主党に竹中氏のようなアドバイザーは見当たらない。まるで「学生社長」がトヨタを経営する、みたいなイメージである。
それでも経営不在で後世からの借金をバラまくだけの絶望的な自民党よりは、官僚機構に切り込む意志があるだけはるかにマシではある。マイナス1万点対マイナス50点で民主党、みたいな寒い対決である。
外需はリーマン破綻時より回復して当然なので若干持ち直すだろうが、内需はジリ貧だから、残念ながら景気は秋からも底ばいを続けつつ、ジリジリと水準を切り下げて行き、鳩山政権に耐えられなくなった国民の支持率低下→2010年後半から政界再編へ、構造改革政権の樹立となるのがベストシナリオだ。よって、うまくいけば最短で2011年後半から景気は回復期待から上昇に向かう。
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読者コメント
パッと見で恐縮ですが、投資減税と金融資産課税は矛盾しませんか?
通常投資対象となる株式や債券は金融資産の一種なわけですから、これだと株式や債券を"持て"といっているのか"手放せ"といっているのかがわからないのですが・・・。
このあたりのロジックをもう少し分かりやすく解説していただければ幸甚です。
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