武田薬品が東洋一のバイオ動物実験研究所を建設、住民が公害調停
JR 東海道線の大船駅から藤沢駅に向かう沿線沿い右手に、高さ4メートル程の白いパネルの塀が、約900メートルにも渡って、線路沿いに連なっている |
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- 新研究所で遺伝子組み換え作業や動物実験
- 「いかなる場合にも誠実にという武田イズム」に疑問
- 遺伝子組み換え実験の排水と死体を1日1.8トン燃やす排気
- バイオ施設の建設に対して法律の無い日本
- 条例を創った吹田市と敗訴した高槻市の日本たばこ産業の事例
- 住民側は公害調整委員会に、公害調停を申請
- 筆者も説明会参加を求めたが、、、
新研究所で遺伝子組み換え作業や動物実験
JR 東海道線の大船駅から藤沢駅に向かう沿線沿い右手に、高さ4メートル程の白いパネルの塀が、約900メートルにも渡って、線路沿いに連なっている。かつて栄養ドリンク「アリナミンA」を造る工場だったという広大な敷地は、ここ最近、すっぽり目隠しされるようになっている。筆者も実際に現場へ行ったが、白い塀は線路沿いだけでなく、敷地を囲むように続いている。この武田薬品工業株式会社の約24万8000平方メートルにも及ぶ敷地には、栄養ドリンク工場を取り壊した跡地に、巨大バイオ動物実験工場が建設されるというのだ。それも来月、2009年4月15日着工予定だと言う。
この工場は、武田薬品がガンなど毒性病原体に対する遺伝子組み換え作業を行なう3つの研究施設棟を含む15の研究棟、また、野球場7面分という広大な延べ床面積を持つ、動物実験工場になるのだ。1日1.8トンの動物を火葬処理する焼却炉を併設する、東洋一、そして、世界でも巨大な部類に入るという、バイオ研究所である。
しかも、新研究所の中には、P3レベルの遺伝子組み替え実験を行なう部屋が3室あるという。P3レベルの病原菌とは、炭疽菌、結核菌、Q熱リケッチア、腸チフス菌、パラチフス菌、HIVエイズウィルス、高病原性鳥インフルエンザ、新型肺炎(SARS)など、感染力が強く、重篤な疾患をもたらす極めて危険性の高い病原体である。武田は、感染症のある病原菌を扱う予定はないと言うが、P3施設は、伝播性の高い病原体の遺伝子組み換え操作ができることから、一般的に危険な施設であるとされている。
新研究所の地域・行政を担当する武田薬品の鈴木氏によれば、武田は今の所、感染症のあるP3レベルの病原菌は扱う予定はなく、今後、国からの要請で研究する事もあるために3室作っただけで、絶対とは言えないがP3レベルの実験は行なう予定はない、と表明している。
◇武田薬品の説明に住民は納得していない
解体工事が始まっている新研究所建設予定地のすぐ向こうに高層マンションが建っている |
当然、研究施設からの排水や排気などによる公害も心配されるし、映画ではないが、地震や火災、または人のミスで病原体が外部に漏出すれば、バイオハザード(生物災害)が起きうる可能性もある。
そういう危険な恐れのある施設を武田は、住民が公害調停を出しているにもかかわらず、強引に着工しようとしている。
2008年8月30日の毎日新聞地方版によると、武田の新研究所建設における住民への工事説明会は、8月28日夜に藤沢市の「高谷会館」で、29日夜には鎌倉市の「グランマークスホール」で行なわれた。
高谷会館で武田は、集まった住民約70人のうち、予定地から50メートル以上離れた住民約30人の入場を拒否。わずか50メートル強しか離れていないところに住んでいるにもかかわらず説明も受けられないという事態に、「説明を聞かせて」などと怒号が飛び交った。
ごく近隣の住民限定で説明を行った事に対し、説明会に出席できなかった住民の中には、反発が渦巻いた。予定地から3キロ下流にある鵠沼藤が谷町内会(830世帯)の国枝健会長らも入場できず、 「これまで通り、江の島の地アジが安心して食べられるか心配で聞きに来た。どう会員に報告したらいいのか」と戸惑い気味だったという
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市民集会にて、武田問題について新研究所の完成予想図をバックに話をするNPO湘南の環境を守る会の斉藤氏
建設予定地での解体工事は、ほとんど終了している
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読者コメント
相当数のウィルスが研究所の外に排出される恐れ
どういう根拠?
HIVが伝染力が高い?勉強不足。
P3で扱われる病原体の基準知ってますか?ただのデマ記事。
最悪!!
武田製薬のものは一切買わない!!
藤沢の武田工場跡地(JR東海道線藤沢~大船の間くらいにあります)。なんか壊してるなぁと思ったらこんなもんを作るんですね。川も海も程近いので環境が心配です。
施設内には、シュレーディンガーの猫が入ることになるのかもしれませんね。
万一の有事が起きなければ、いなかったということになるでしょうし、万一起きれば、中から幻獣バジリスクが飛び出してくることになるとか?
また、妙な物を踏まないように気を付けねば…。クワバラ、クワバラ。
神奈川県と大阪府の間で誘致合戦をしていた件の研究所ですかね?
大手の新聞でも建設地の選定問題が注目されて報道されていました。
形式的には今も発祥地の大阪に本社を置く武田薬品が新研究所の建設地として神奈川県を選んだと、地元では嘆かれていたみたいです。
ポートアイランドにでも建設しておけば、住民と揉めたりせずに済んだでしょうに。
×:堪え、〇:絶え
(また間違えてしまいました。^^;A)
動物実験に関しては、懺悔に堪えませんが、動物保護団体やベジタリアンの方々にのみ抗議する資格がある気もします。生命の威厳を極力尊重した形での処置が望ましいことは言うに及ばず。それなくしては、人間の生命を救う使命を帯びた医薬会社までもが、理念なきただの金儲け主義に陥っているとして断罪せざる終えません…。
問題は、研究所の施設に当たって事前に住民説明等の根回しを十分に行わずに、説明を求められても対象者の取捨選択を行うといった不適切な対応をしている点にあります。そこは適切な対処が望まれて当然でしょう。
バイオ研究は、今後有望な指折りの新技術開拓分野であり、細菌対策もまた時代が要請する必須の研究課題でもあります。
日本の医薬品会社が、企業規模の面で欧米メジャー系企業の後塵を拝している現状の中、そのトップ企業たる武田薬品が本格的に大規模研究所を構えて研究に乗り出したこと自体は当然の企業姿勢として認められるべきでしょう。
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