新聞で包装されて破棄される水増しされた折込チラシ。折込チラシの破棄は、「押し紙」の破棄とセットになっている。(本文と写真は関係ありません)
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このほど入手した宮崎県における朝日新聞の実配部数を示す「増紙計画表」なる内部資料によれば、ASA宮崎大塚、ASA延岡中央、ASA都城、ASA日南の「押し紙」率は、19~32%だった。最も多いASA都城では、仕入れ数9,345に対し発証部数6,365と、お金が払われている部数は全体の68%だけ。このような情報が明らかになることは稀で、不信感を募らせる広告主は、新聞広告に価値を見出さなくなっている。実際、2009年の新聞広告費は2007年に比べ29%も減った。新聞社は正直に実配部数を明らかにすべきである。
【Digest】
◇「目標部数」=「仕入数」
◇「押し紙」データの公開
◇ABC部数の固定化
◇読売・朝日のABC変遷
◇「押し紙」否定が裏目に
◇ビジネスモデルは崩壊する
◇大新聞社の本当の危機とは
広告主
が新聞広告の出稿を検討するとき、もっとも知りたい情報は、新聞の実配部数がどの程度あるのかということである。これに関する正確なデータを入手しない限り、合理的な広報戦略が立案できないからだ。
広告代理店が読売1000万部、朝日800万部、毎日400万部などと漠然とした数字を提示しても、実配部数はそれとはかけ離れているというのが広告主たちの一般的な見方である。
実配部数を隠している新聞社に対する不信感。これが高じると、宣伝媒体が多様化している現在の情況下では、紙面広告の需要が落ちて媒体価値も低下する。
それを裏付けるデータを示そう。
電通が公表している企業の広告宣伝費のうち新聞を対象とした額である。
2007年 |
9462億円 |
2008年 |
8276億円 |
2009年 |
6739億円 |
凄まじいスピードで広告費が減少している。
一方、
広告の出稿量は、電通の調査によると、09年の場合、前年の92.1%である。
広告費は激減しているが、広告出稿量は微減だ。これは広告そのものの媒体価値が下がっていることを意味する。
◇「目標部数」=「仕入数」
このほどわたしは宮崎県における朝日新聞の実配部数を示す内部資料をいくつか入手した。広域地区における朝日新聞の実配部数を推測する上で、格好のデータになりそうだ。広告主にとっては朗報である。
ASA(朝日新聞・販売店)の実配部数を示す資料が外部に漏れるのはまれだ。わたしが直接入手したケースとしては、ASA宮崎大塚(宮崎県)の次の例があるにすぎない。
目標数 |
4,770部 |
仕入数1 |
4,770部 |
実配部数 |
3,782部 |
発証部数 |
3,301部 |
(2008年1月)
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『SAPIO』(08年11月12日号)で公表したASA宮崎大塚の内部資料。 |
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このデータは増紙検討表と呼ばれる書類から拾ったもので、『SAPIO』(08年11月12日号)で公表した
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人目を避けるために、コンテナ型のトラックで「押し紙」を回収する手口も一般化している。(写真と本文は関係ありません) |
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駅頭などの即売部数に関して読売は、部数を急増させている。07年1月は約3万部1000部だったが、10年6月には約13万7000部に。結果、読売「1000万部」を堅持したことになっている。 |
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