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リストラを“輸出”するJAL 台湾でCA半減、整理解雇の7人が職場復帰求め提訴

情報提供
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日航台湾を整理解雇されたCAの林佩彗さん(右)と朱岩蘭さん
 東京地裁に更生計画案が認可された日本航空(JAL)は、かつて“世界の翼”と呼ばれていた。そのため「敗戦処理」の場も世界各地に広がり、国内と同様、早期退職者を募った。ところが台湾では、女性客室乗務員(CA)18人がすでに整理解雇された。うち後に早期退職扱いに同意した11人を除く7人がこのほど、職場復帰と逸失賃金計約2300万台湾元(約6400万円)の支払いを求め、台北市の裁判所に提訴した。この7人には労組委員長も含まれる。提訴したCAのうち、林さんと呉さんから話を聞いた。
Digest
  • 国内の身代わりでリストラ
  • 当局には虚偽説明
  • 韓国、ドイツで減らさない理由
  • 「日本アジア航空の時代はよかった」
  • 解雇理由は、退職金減らしと組合つぶしだ
  • 「一番コストがかかっているのは日本人社員のはず」

国内の身代わりでリストラ

JALは、グループ人員の約3割にあたる1万6千人を2010年度中に削減する計画。日航台湾では、CAを半分に減らした上で、今月中に地上職も3割減らそうとしている。台湾線は黒字で便数も減らしていないこと、台湾人の人件費が安いことを考えると、JAL更生のためには、国内のCAを減らすほうが合理的だが、国内のCA削減は約2割にとどまっているとみられ、日本人の身代わりにリストラされた構図だ。倒錯した経営が依然、続いている。

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10月31日に羽田~台北(松山空港)便の就航に合わせ、松山空港で日航に抗議する労働組合の関係者

訴えた7人はいずれも42歳以上のCA。社内の労働組合幹部3人も含まれている。後に早期退職扱いに同意した別の11人のCAには日航台湾の前身である日本アジア航空(JAA)の一期生(入社歴35年)もいた。

整理解雇されたCAによると、今回の提訴に至るまでの経緯は次のようになる。日航台湾は6月中旬、台北、台中、高雄の3都市の支店に所属する計286人(地上職144人、CA142人)の台湾人社員のうちCAを対象に半分に当たる70人の早期退職者を募集した。

1カ月後の締め切りまでに応じたのは52人だけ。すると、7人を含む18人には7月27日付で、日航台湾の多田利郎支店長名義の解雇通知書が一方的に送られてきた。

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一方的に送られてきた解雇通知

その主な内容は【日本航空は可能な限り早く経営難から抜け出すために、赤字路線の運休や小型機の採用による事業縮小に取り組んでいます。これを機に経営体質を徹底的に変えたいと考えています。しかし、今に至るも光明は見えず、毎日のように赤字が続いています。当社は時間的な切迫性のため、再生の最後の機会として経営コスト、とりわけ余剰人員の削減を積極的に進めることにしました】といったものだ。

しかし、整理解雇に際して日航台湾は、【1】最近の日台路線の業績や搭乗率などのデータ【2】なぜ70人削減する必要があるのか【3】18人を選んだ理由や基準――についてはまったく説明しなかったという。

日航台湾の労働組合は解雇を避けるため「業績が上向くまでCAは1カ月ごとに勤務と待機を繰り返す」「最大50%の減給」といった妥協案も提示したが、社側は聞く耳を持たなかった。

台湾の労働基準法に則れば、こうした行為はもちろん違法で

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佐藤裕一2010/12/14 14:58会員
築72502010/12/13 16:33
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