新聞の偽装部数問題 「押し紙」そのものの損害を司法が認定 岡山地裁、376万円賠償命じる
全国で初めて「押し紙」による損害賠償訴訟で勝訴した原渕茂浩氏。 |
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- 司法が「押し紙」を初認定
- チラシ詐欺の内部告発から4年
- 山陽、「押し紙」処理に段ボールを提供
- 1日に90部を押し売り
- 虚偽報告という屁理屈
- 「押し紙」47%の解釈
- 平山夫妻に1300万円を請求
- 真村氏完全敗訴の不思議
- 「押し紙」を内部告発しない新聞記者
3月に判決が下された3件の裁判結果は、次の通りである。
1、真村裁判(YC広川の元店主・真村氏久三VS読売新聞社等)
真村氏の敗訴(地位保全)
2、山陽新聞「押し紙」裁判
原渕氏の勝訴(「押し紙」の損害賠償)
3、平山裁判(YC久留米文化センター前の元店主・平山春夫氏VS読売新聞社)
平山氏の敗訴(地位保全)
(真村裁判と平山裁判の判決文は、末尾でPDFダウンロード可)
司法が「押し紙」を初認定
山陽新聞社の豪華な社屋。 |
2011年3月15、岡山地裁の山口浩司裁判長は、山陽新聞の販売会社に対して「押し紙」により販売店が被った376万円の賠償を命じる判決を下した。「押し紙」裁判で、販売店が勝訴したのは初めてである。
真村裁判のケースのように、店主としての地位を保全するための裁判で、「押し紙」問題が争点になり、店主が勝った前例はあるが、「押し紙」そのものの損害賠償を判決で勝ち取ったのは初めてだ。(和解による金銭解決の例はある。)
新聞産業の衰退に加え、一般市民のあいだでも「押し紙」問題が認知されはじめた時期だけに、今後の新聞各社の販売政策に有形無形の影響を及ぼしそうだ。
「押し紙」とは、新聞社が販売店に搬入する過剰な新聞のことで、新聞社による部数の偽造である。部数を偽造して実際よりも多く見せることにより、広告料を過大にだましとったり、折込チラシを水増しできる。
たとえば1000人の読者しかいない販売店は、新聞を1000部(+2%程度の予備紙)注文すればそれで足りる。ところが新聞社が1500部の新聞を送りつけて、卸代金を請求したとする。この場合、過剰になった500部が「押し紙」である。
「押し紙」問題の本質は、大相撲における八百長の構図と比較すると分かりやすい。警視庁が今年2月に八百長の証拠として力士らの携帯メールを公表した後、大相撲に対する不信感が広がり日本相撲協会は存亡の危機に立たされた。が、相撲関係者のあいだで八百長は、ほとんど周知の事実になっていたらしい。しかも、かなり以前から行われていたようだ。
力士相互の上下関係が厳しい事情や、1年6場所という過酷なスケジュールが組まれている事情などがその背景にあるようだ。しかし、関係者のだれも絶対に八百長を口にしなかった。知っていながら、「八百長は絶対にあり得ない」と繰り返してきたのである。八百長を報じた『週刊現代』は、相撲協会から高額訴訟を提起され、約5000万円の損害賠償を命じられた。
新聞社の「押し紙」問題も関係者のあいだでは昔から周知の事実だった。「押し紙」回収業が一大産業として成り立っている事実が、「押し紙」の存在を物語っている。
しかし、日本新聞協会は、絶対に「押し紙」の存在を認めない。この問題を追及されると苦し紛れに「押し紙」を「残紙」と言い換えたりする。「押し紙」政策を認めれば広告主から「詐欺」の疑いでバッシングされるだけではなく、新聞ジャーナリズムの信用が地に墜ち、新聞社が存亡の危機に立たされかねないからだ。
ところが山陽新聞を被告とする裁判で、「押し紙」の存在を認定する判決が下されたのだ。
チラシ詐欺の内部告発から4年
2007年2月、販売店経営に見切りをつけて上京した山陽新聞・岡輝販売センターの原渕所長から、わたしは内部告発を受けた
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平成22年2月のデータ。販売会社が目標部数を指示して、同じ部数が「5日」の時点で、搬入されていることを示している。表の左欄は販売店名。
平山夫妻に読売に対して1300万円の支払いを命じる判決。「夫妻から金銭を身ぐるみはぎ取るのか?」との批判が上がっている。
販売店が入っているビルの外階段に放置された「押し紙」と水増しされた折込みチラシ。
対読売裁判で初めて敗訴した真村久三氏。
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マスコミが100%報道できない裁判
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読者コメント
「昔からやっているので何がいけないのか?」と開き直る山陽新聞 マスコミの横暴さだ。 山陽新聞が負けて当たり前だ。
全面勝訴まで頑張って。
山陽新聞の販売部数水増しは断じて許されない
読売が1000万部きりましたね。995万部(前月比7万部減)だそうです。1000万部きるとズルズル減っていきそうな気がします。
確かに少なくなっている、推測だが黒薮氏に関心を持ったり支持する発言を行うと立場が悪くなる。このサイトを知っているだけでもあぶない。
だが、現実は、メディア黒書のさらなる活躍を期待する者が増えている。この先、このようなサイトが増えて行けば、必ず業界は変わる。
「新聞」や「新聞業界」についてのコメントがめっきり減って久しい。 多くの人々が新聞や発行本社のうさん臭さが分かってきたので、興味が無くなったのが原因だろう。 このまま先細りで終わってしまうのか。
真村さん、負けちゃったのは残念だったなぁ。
新聞に勝てる日は来るのかなぁ・・・。
顧客に逃げられたのに正しく申告しない部分が架空部数となっているので、基本的に折り込み料詐欺は販売店の犯罪。
発行部数の変動を見ていれば、無理やり押し付ける大量の新聞なんて存在しないことは明白。それともナベツネがこっそり500万部の印刷工場を隠し持ってるとでもいうのかな?
これまで架空部数は店の損になるから新聞社の押し付けだと言い張っていたが、あの店主の蓄財情報でその論理は破綻したね。
販売店も折り込みチラシを水増し請求しているのでは?詳しく解説していただきたい。
共同や時事通信から記事を買ってどの新聞も横並びの内容。金を払って新聞を読む気にはなれない。
新聞社が店主に要求しているのは広告料につながる実配数の話、能力のない店主は改廃か超高コストのセールス受け入れで追い込まれていた。
自力再生が可能なら無代紙投入で水準まで戻すことが生き残りの条件で、儲けが減るがそれがいやなら無代比率を下げる努力をすればよい。
ところが新聞を積み、配達・集金の人件費や拡材含むセールス経費など負担せず折り込み料や補助を詐取した方が儲かる、これが積み紙。
黒薮氏と一緒に読売の中傷をしてたら復帰話が潰れました。
読者情報を渡さない嫌がらせをしたらその分支払い命令がきました。
かわいそうな被害者という設定にしたのに巨額蓄財がばれました。
昨日更新調整中だったのかこんな判決文を見たのですがエイプリルフール用のネタですかねぇ?
それに岡山案件も他所では新聞社側の主張が概ね認められた判決という評価らしいんだけど。
おめでとうございます。本当にご苦労さまでした。
新聞は衰退するしかないし、最近の中身も物理的にも薄っぺらい新聞なんか読もうと思わない
新聞のビジネスモデルは完全に崩れた
記者からの追加情報
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