ワタミの過労死裁判(第2回口頭弁論) 遺族主張を全面否認、渡邉元会長が陳述「法的責任に見解の相違」
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裁判後の報告集会で、これまでの過労死遺族の苦労に言及して言葉を詰まらせる森豪さん。 |
遺族は、ワタミの労働実態を事実に基づいて立証するため、現役社員・元社員らの協力を求めています。協力可能な方は遺族代理人弁護士にご連絡を。 東京駿河台法律事務所(玉木一成弁護士、江口智子弁護士) 〒101-0051 東京都千代田区神田神保町2-3-1 岩波書店アネックス7階 電話03-3234-9133 FAX03-3234-9134 これまでの経緯 ・15時間労働で休憩わずか30分! 入社2カ月で過労自殺するワタミ社員のスタンダードな働き方 ・「理論上、ワタミ過労死事件は業務上過失致死の典型例」遺族代理人、堤浩一郎弁護士に聞く ・「殺意をもって娘を労働させた」ワタミ遺族の公認撤回求める訪問に、自民党が「抗議者」扱いで門前払い ・ワタミの調停 過労死遺族をクレーマー扱い、「貴重なご意見として承る」連発 ・ワタミ過労死「すべて私の責任」と認めていた 渡邉会長、死亡4日後の遺族への直筆手紙で |
居酒屋「和民」の新入社員が入社2か月で過労死した問題で、遺族が損害賠償を求めて渡邉美樹元ワタミ会長(現参院議員)らを訴えた裁判の第2回口頭弁論が、3月27日に東京地裁であった。
渡邉氏は初出廷して遺族の前に姿を見せ、社員が死亡したことの道義的責任があるとする意見陳述をして謝罪したが、法的責任は「見解の相違がある」として認めなかった。
渡邉氏が「ご遺族様との争いは一日もはやく終えたい」と述べる一方で、会社側は、遺族の主張を全面的に否認する書面を提出(末尾よりダウンロード可)。残業時間など労災認定された事実も否定しており、遺族側は基本的な事実の立証からやり直すことになる。
遺族代理人の弁護士は「きわめて長い期間、事実のやりとりを続けなければいけない」と話す。裁判の長期化は必至だ。
死亡した社員は、「和民」京急久里浜駅前店の店員だった森美菜さん(当時26歳)。08年4月にワタミフードサービスに入社し、わずか2か月後の6月12日、社宅近くのビルから墜落死した。労災認定は12年2月。
遺族は、原因解明のために渡邉氏らとの面談を希望してきたが、交渉決裂したため、昨年12月に提訴した。
◇「だからブラック企業だと言われるんだ!」 入場妨害に抗議
この日の裁判は始まる前から異常だった。午後1時30分の開廷予定より20分ほど前、東京地裁705号法廷の入口では、双方の関係者が揉み合いになっていた。「これがワタミのやり方なのか!」などの強い抗議の声も上がっていた。
傍聴に来ていた支援者によれば、午後1時過ぎに法廷前に到着したところ、大勢のワタミ社員が法廷の入口を半円形に取り囲み、支援者らが入れないように妨害したのだという。
実際に、入口スペースを狭めるようにしてドア横に立っている男性もいた。筆者がその脇を強引に抜けて法廷に入ると、スーツ姿の男性十数人が、最前列付近の席にまとまって座り、前を向いて沈黙していた。遺族支援者によれば、それがワタミ社員なのだという。
法廷内では、「だからブラック企業だと言われるんだ!」「これが報道されて社会問題になるんだよ!」「何が一生悔いていくだよ!」「列をつくって並んでいるならいい!入口を囲んで塞いでいたんだよ!」といった激しい抗議がしばらく続いていた。
705号法廷は傍聴席が42席あり、ワタミ社員とみられる傍聴者を筆者が数えたところ20人だった。24人という別の記者のカウントもあった
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渡邉美樹氏の意見陳述書。美菜さんの死亡が労災認定されていることが抜けている。
会社側の準備書面の冒頭部分。事実を争う箇所で、遺族主張をことごとく否認している。全面対決の構えだ。
会社側の準備書面の一部。渡邉氏の責任を否定している。
会社側の準備書面の一部。慰謝料の算定をめぐって差別的な記載や遺族感情を逆撫でする記述がみられる。
裁判後の報告集会の様子。
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