ワタミ過労死「すべて私の責任」と認めていた 渡邉会長、死亡4日後の遺族への直筆手紙で
提訴後に厚生労働省で記者会見する森夫妻 |
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- 便箋7枚に毛筆で直筆、日付は死亡4日後
便箋7枚に毛筆で直筆、日付は死亡4日後
神奈川県内の居酒屋「和民」で調理場の非加熱部門を担当していた森美菜さん(当時26)が入社2カ月後の2008年6月に過労自殺した問題で、当時ワタミグループCEOだった渡邉美樹氏(現参院議員)が、美菜さんが死亡した4日後、「今回のことはすべて私の責任」と遺族に伝えていたことがわかった。手紙は、美菜さんの両親が今月9日、計約1億5300万円の損害賠償を求めて渡邉氏らを提訴したときに、証拠提出された。
渡邉美樹氏が森夫妻に宛てた手紙。「こんなにいい子を天が召したことを恨みます」など他人事のようなことも書いている。 |
「ワタミグループの代表の渡邉美樹です」で始まるこの手紙は、便箋7枚に毛筆で直筆され、結びにある日付は、美菜さんが死亡した4日後の6月16日。
内定式や研修での美菜さんの姿を述懐した後、「全社員一人一人の心の痛み、体の痛みのすべてに寄り添ってこその『会社』」「今回のことはすべて私の責任と受けとめています」と述べ、次のような言葉で結ばれている。
「流れる時がお父様、お母様の心の痛みを癒してくれること、美菜さんが天国へ行かれること、そして、落ちられたときに痛くなかったこと、毎日、毎日、お祈りしております」
「御両親におかれましては、くれぐれもお力落としのあまりおからだをそこなわれませぬようにお願い申し上げます」
落ちられたときと書いているのは、美菜さんが社宅近くのマンションから飛降りたためだ。
一度は責任を認めた渡邉氏だが、美菜さんの死亡が12年2月に労災認定されると、その1週間後、ツイッターで「労務管理できていなかったとの認識は、ありません」と発言して責任を否定。これ以降、ワタミ側が責任を認めなかったことが、今回の提訴につながった。
裁判の概要を記した記者会見配付資料。弁護団作成。 |
訴えられたのは、当時会長だった渡邉氏(現参議院議員)のほか、美菜さんと直接の雇用契約を結んだワタミフードサービス株式会社、親会社でグループを統括するワタミ株式会社、栗原聡ワタミフードサービス代表取締役、小林典史ワタミ人材開発本部人事部統括本部長の2社3名。(肩書きはいずれも美菜さんの入社当時)
父の豪さん(65)は提訴後に厚生労働省で記者会見し、渡邉氏個人を被告にして責任追及する理由として、「異常な労働実態を生んだ人が問題。究極的には渡邉美樹元会長になるが、そういうところに根本の問題があると思い至った」と述べ、「会社だけでなく経営者そのものを問いつめ(美菜さんが死に至った)実態を明らかにする」と話した。
母の祐子さん(59)も、「労災認定を受けるために調べ、あまりにもひどい労働状況におかれていたことがわかった。親として企業の実態をもっと調べ、なんとしても就職させるべきではなかった
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美菜さんの勤務状況をまとめた訴状別紙。
渡邉美樹氏の個人責任を追及する。訴状から。
美菜さんの内定通知書と店舗配属の辞令。通知書は渡邉氏単独で、辞令はフード社代表取締役と渡邉氏の連名で出ている。
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毛筆の手紙の通りにしておけば、ここまでこじれなかったろうに。/他のブコメのように、刑事責任の恐れがあるなら、保身に回るのも理解はできる。それでも許せないが。
『それ以降、ワタミ側は一貫して責任を認めず、民事調停でも「責任はないが賠償金は払う」』
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読者コメント
2030年の働くを考えるというサイトに渡辺編集長も寄稿している。その中にブラックなりに将来の夢を持てるかどうかが重要とあった。とても納得感のある指摘。ワタミやユニクロにはブラックなだけで従業員に夢が持てないのが最大の問題。やはりトップが糞過ぎるとどうしようもない。
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