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犬を呼ぶように受講者を扱う免許センターの講師

情報提供
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SDカードのチラシ。自動車安全運転センター埼玉県事務所発行。 700円の手数料で「安全運転者の『誇り』」SDカードを手に入れることができる。無事故・無違反の期間に応じてカードの色が異なる。 若草色(1年以上)、水色(2・3年)、銀色(4~9年)、金色(10年以上)
 ゴールデンウィークの狭間にあたる5月2日、期限が迫っていた免許証の更新に行った。連休期間中ということもあり、更新場所に指定されている鴻巣免許センターは普段の4倍という混雑ぶり。それは仕方ないとしても、我々の立場はいかにも弱い。天下り官僚を利するカードへの入会を「誇り」だと押し付けられても…。  

免許更新にかかる手続きは流れ作業で進められる。

申請書に貼付する免許証のコピー、更新手数料の証紙購入、申請書の作成と、ここまでの作業で自分でおこなうのは氏名と生年月日の記入のみ。ただしこれは住所変更等がない場合で、記載事項に変更がある場合はもう少し複雑な手続きが必要なようだ。

申請書の作成が終わると、次に視力検査がある。

「はい、覗いて」「これは?」「次、これは?」「いいですよ」

淡白ともぶっきらぼうとも取れる担当者。接客業ではあまり見ないタイプの人物だ。

検査が終わると写真撮影、そして講習へと移動する。学校の教室ほどの講習室に入って来る受講者を、座席に割り振っていくのは初老の講師だ。

「あなたそこの中ほど」「左の前の方ね」

さすがに慣れたもので手際が良い。と思っていたら、指定された座席が分からないらしい一人の受講者がウロウロし始めた。すかさず手を叩く講師。

パン!パン!「あなた、そこ」と座席を指さす。

これには驚いた。犬を呼んでいるのではないのである。手馴れた様子を見ると、たぶん、いつもやっていることなのだろう。身内にそれを注意してくれる人もいないのだろう。

講師の話を小耳にはさみながら、もらった資料を斜め読みしていく。資料は5種類。『人にやさしい安全運転』『安全運転のみちしるべ』『安全運転自己診断』『交通の教則』そしてSD(SAFE DRIVER)カードのチラシ。

これがけっこうおもしろい。突っ込みどころ満載なのだ。

例えばSDカードのちらし。

「このおめでたい機会に『SDカード』を申請されますことをおすすめ」し、「この『SDカード』には、あなたの無事故・無違反の期間が記入してありますので、安全運転者の『誇り』としてください」という。ちなみに申請には手数料が700円かかる。

SDカードとは、特殊法人・自動車安全運転センターが発行するカードで、これを持っていると、ガソリン代などを優遇してくれる店が増えている。たとえば東京健康ランド(東京・江戸川区)では入浴料が大人2250円→1800円に。東京ボーリング場協会加入のボーリング場では1ゲームあたり50円引きだ。

このように、カードを使える店は、車の安全とは何ら関係がない民間のレジャー施設も多い。要するに、官営のポイントカード事業なのだ。この特殊法人は、もちろん天下り先になっており、2004年10月時点の常勤役員名簿によると、6人中3人が警察庁、残りは自治省、運輸省、大蔵省から1人ずつの縄張りとなっている。

次は『交通の教則』全97ページ。登場するキャラクターは「ちびまるこちゃん」である。それにしては漢字が多く、内容も、読まなくても分かることか、読んでもよく分からないことのどちらか。

それでも第8章「交通事故、故障、災害などのとき」では、「武力攻撃事態等における国民の保護のための措置に関する法律等による交通の規制が行われたとき」(一読では意味不明)

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