「テレビ、よく映らないんですよ。ここだけの話…」

「？？」

取り扱われている中でもっとも機種変更料が安かった『V402SH』をカタログと見比べていたら、店員が声をひそめて教えてくれた。彼は入社したばかりなのだという。おそらく、携帯に無知な客（僕のことだ）を気の毒に思い、助け舟を出してくれたのだろう。

vodafoneの総合カタログ2005年5月号関東甲信版には、オリジナル機能「地方アナログテレビチューナー」を搭載した機種が『V603SH』『V603T』『V402SH』の3種類、掲載されている。たしかテレビのCMでも携帯でテレビが見られると謳っていたはずだ。それが見られないとはどういうことなのか。『V603SH』と『V603T』には録画機能まで付いているではないか。

以前、5インチくらいの小型テレビを買ったことがある。持ち運びに便利でどこでも見られる、気がした。けれど実際に使ってみると使い勝手は最悪だった。伸ばすと50センチほどになるアンテナを右に振り左に振りして、もっとも鮮明な画像を得られるポイントを探す。多くの場合、テレビを持って自分も室内を徘徊することになる。

やっと程よい画像が映るようになると電池切れである。アルカリ電池4本で30分持たなかった記憶がある。仕方がないので室内の端子からケーブルをつなぎ、ACアダプターを使って電源を確保した。こうして移動式携帯テレビは据え置き5インチテレビへと成り下がったのだった。中古で14インチくらいのテレビを買えば良かったと、本当に後悔した。

テレビのアンテナに近づけると画像が映るが…。（埼玉県でのテスト）

で、vodafoneである。僕の経験によれば、確かに携帯のあんなに小さなアンテナと端末でテレビの電波が拾えるのかは微妙なところだ。というか多分ムリ。だが日本の技術水準は素人の想定の範囲を超えているかもしれない。

「お客様はメールと電話の利用が主、ということでしたので、ふつうにこちら（V402SH）を使っていただければ」

なるほどなるほど。たしかにそう言いました…って、おい。使えない機能でCM流すのはありですか。

「ですから、この機能は店頭ではあまりアピールしていないのです。そのうちお客様からクレームが殺到するのでは、と心配で…