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自民・公明都議ら、政務活動費で新年会・懇親会やりまくりーー年間3200回・2200万円のあきれた公金感覚

情報提供
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月額上限60万円という日本一高額な政務活動費を払っている東京都議会。2017年度からは50万円に減り、大阪府議会の59万円についで全国2位。
■政務活動費から支出の「意見交換会」東京都議70人データは末尾よりダウンロード可
 上限月額60万円、年間720万円と日本で一番高額の政務活動費(※)を受け取っている東京都議会議員は、使途の不透明さも日本一だ。数万枚もの領収書が一応は公開されている。しかし出納簿が公開されておらず、調査をきわめて困難な状況にしている。そして、非常識というほかないのが「懇親会」「新年会」関連支出だ。2015年度だけで、自民党・公明党と単独会派1人の70議員が、3000件、2200万円以上をこれらの会費に支出していることが領収書の徹底調査でわかった。議員らは「意見交換会」だと説明するものの、領収書の但し書きを見る限り、ただの宴会だ。日に何件も「はしご」する例も多く、顔をだして金を置いてきただけの可能性もある。当選した議員が税金をどう使うのか、有権者はしっかりと考えて投票する必要がある。(※ 2017年度から月額50万円、年間600万円に減額、金額では大阪府議会の59万円についで全国2位)
Digest
  • 出納簿をわざとださない嫌がらせ
  • 疑惑の「意見交換会」を徹底調査
  • 1年分だけで4万件の領収書
  • 2015年度「懇親会」王座は自民・堀宏道氏
  • 町会と業界団体の「新年会」が大半
  • 「税金で選挙活動」の疑いも

出納簿をわざとださない嫌がらせ

都議選のさなかなので、人物の肩書きは支出当時のものとする。

兵庫県議会や富山市議会の政務活動費がマスコミの批判の的になる一方で、月額60万円と、日本一高額な東京都議会の政務活動費が槍玉になることは比較的少ない。問題がないのではない。膨大な領収書を山積みにするような公開の仕方しかしていないので、調査がきわめて困難なためである。

127人(定数)の議員(会派)から提出された領収書は1年あたり4万件を越す。この大量の領収書に対して、おそるべきことに、支出の費目や日時、金額を一覧にした出納簿が公開されていないのだ。

 出納簿が作成されていないからではない。都議会事務局によれば出納簿は存在する。しかし、それは会派の持ち物であって「公文書ではない」という奇妙な解釈がされている。議会事務局が借りることはあるが、用が済めば返してしまうのだという。共産党だけは自主的に公開しているが、自公を含む残りの会派は出そうとしない。したがって「一般人」は、出納簿のないまま領収書を一枚一枚調べなければならない。

相当の時間と労力をかける覚悟がいる。そんなことができる余裕のある人がはたして東京都にどれだけいるだろうか。

なかでもひどいのは最大会派の自民党(58人)で、1年あたり40冊以上のファイルにとじられた領収書2万枚以上の整理の仕方が、めちゃくちゃなのだ。交通費、人件費、文書費、広報費といった費目の順が、入り乱れている。共産党以外の議員たちは、痛い腹を探られたくないので意図的に出納簿を公開しないのではないか。そう考えるより理解のしようがない。

疑惑の「意見交換会」を徹底調査

出納簿を公開しないといういやがらせの壁にはばまれて、筆者は気になりながらも取材を躊躇していた。しかし、腐敗が急速に進む政治状況を目の当たりにして覚悟をきめ、調査することにした。

約4万件にのぼるすべての領収書を集計したいところだが、それをひとりでやるには、かかりきりで1ヶ月はゆうにかかるだろう。無理をせず、ひとまず「意見交換会」という費目に絞った。

なぜ「意見交換会」か。

領収書の山にざっと目を通してみたところ、やたらと目についたのがこの「意見交換会」だった。支払い先は自治会や消防団、業界団体といった任意団体や社団法人などで、飲食店やホテルではない。金額は一回が1万円、7000円、3000円…。自民党と公明党議員に集中している。

議員の説明書きには「意見交換会」とあるのだが、提出された領収書の但し書きはこうだ。

「懇親会」「新年会」「総会費」「賀詞交歓会」――

要はただの宴会の類である疑いが濃いのだ。また、1日に何件も「はしご」している例も多数ある。懇親会の会費というより、会費に名を借りた有権者に対するカンパが横行している可能性もぬぐえない。ひととおり調べて、全容を一度把握する必要があると考えたのだ。

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都議会事務局で公開されている政務活動費の領収書。年間4万件以上の領収書が出納簿なしでファイルにつっこまれている。自民党の1月分だけで分厚いファイルに7冊ある。とても一般の市民が閲覧できる状況ではない。

1年分だけで4万件の領収書

今月はじめ、筆者は都議会事務局にある政務活動費の閲覧室を訪ねた。500枚以上閉じられる大型ファイルで40冊を超す2015年度分の領収書ファイルを、順番に開いては一枚ずつ点検し、「意見交換会」のものがあるとデジタルカメラで撮影していった。

3000件以上の領収書を写真に写しとるだけで丸3日、それをもとに集計するのにさらに1週間以上かかった。紙のめくりすぎと長時間のパソコン作業で疲労困憊の挙句、算出した結果は以下のとおりである(ただし年間の「意見交換会」支出が2万円未満のものは省いた)。

※回数・金額は、誤差を含んでいる可能性があるので概算とした。

・自民党(現在58人)=49人・2200回・計1560万円

・公明党(現在23人)=20人・950回・計650万円

・単独会派(深呼吸のできる東京)=55回・計29万円

総計 70人=3200回・2200万円

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政務活動費による人件費の支出は、金額も支払い先も墨塗りにするという非常識がまかりとおっている東京都議会。

「新年会」の類が圧倒的に多いことに驚かされた。1月と2月の支出で7割から8割を占める。

自民党(現在58人)=48人・1700回(77%)計1240万円(80%)

公明党(現在23人)=20人・690回(72%)計490万円(75%)

単独会派(深呼吸のできる東京)=40回(72%)計22万円(76%)

総計 69人=2430回(76%)1750万円(78%)

数万件という領収書の数の多さから、見落としや計算ちがいがあり得ることをおことわりしておくが、3000回以上、2200万円以上であることは確かだ。なお民進党など自公と「深呼吸」以外の会派は支出が見つからなかった。

2015年度「懇親会」王座は自民・堀宏道氏

自民党会派の都議で、2015年度に年間2万円以上の「意見交換会」費を政務活動費から支出したのは48人。うち、30万円以上は24人、50万円以上9人、70万円以上が4人という結果になった。

同様に公明党についてみると、年間2万円以上の支出があった20人のうち、30万円以上を支出した議員は12人、50万円以上が2人だった。

支出を行った議員だけに限って平均値を出すと、一人当たり31万円、45回。一件あたりの金額は7000円である。庶民感覚からすれば贅沢な宴会だが、それを週1回、しかも税金でやっている計算だ。

金額で最高だったのは、豊島選挙区の堀宏道都議(肩書きは支出当時)である。84万9000円・125回を数えた。2位は、やはり豊島選挙区選出議員で、公明党・長橋桂一都議(同)の72万8000円、回数は108回だった。3位は自民党の来代勝彦議員(同)の72万2000円(88回)。

総合ランキングの上位12位は以下のとおり。なお、4位以下は、1万円以下を切り捨てた(議員名、選挙区、合計額、回数――の順、敬称略)。

1 堀 宏道(自)豊島=¥849000・125回(¥739000・109回)

2 長橋桂一(公)豊島=¥728000・108回(¥526500・ 73回)

3 来代勝彦(自)港 =¥722000・ 88回(¥664000・ 81回)

4 山内 晃(自)品川=¥700000・ 92回(¥600000・ 80回)

5 高木 啓(自)北 =¥610000・ 96回(¥540000・ 86回)

6 菅野弘一(自)港 =¥560000・ 69回(¥510000・ 63回)

7 清水孝治(自)立川=¥550000・ 80回(¥390000・ 53回)

8 桜井浩之(自)墨田=¥540000・ 77回(¥460000・67回)

 野上純子(公)葛飾=¥540000・86回(¥340000・53回)

10崎山知尚(自)荒川=¥530000・64回(¥480000・58回)

11早坂義弘(自)杉並=¥490000・82回(¥350000・56回)

 吉倉正美(公)新宿=¥480000・58回(¥350000・42回)

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2015年度の「意見交換会」の支出が80万円以上と、最高額だった自民党の堀宏道都議(肩書きは支出当時)。

町会と業界団体の「新年会」が大半

 政務活動費で「意見交換」2015年度チャンピオンの堀宏道都議(肩書きは支出当時、現在は候補)について詳しくみてみよう。125回にわたる支出先は、町内会と業界団体が多く、それぞれれ50回くらいだ。

町内会は金額で計約30万円

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公明党・長橋桂一都議(肩書きは支出当時)の2015年度の「意見交換会」関連支出は70万円を超え、金額の高さで2位となった。

3位は自民党の来代勝彦都議(肩書きは支出当時)。

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sarutoru2017/07/02 11:38

> デジタルカメラで撮影していった ←政活費領収書は撮影可

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読者コメント

 2017/07/02 11:58
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