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インバウンド・ツアーガイド「全国通訳案内士」は70代後半でも年収1200万円稼ぐ

《生きがい》と《稼ぎ》の両立①――80歳まで食える仕事

情報提供
サムネ用1枚目keisai
既に今年のスケジュールも1年前から必要十分なだけ埋まっている

医療の進歩で「人生100年時代」が目前に迫るなか、我が国の少子化は政府が想定する以上の速度で進行しており、老後を支える年金・医療の財政は逼迫している。できる限り多くの人たちが国に頼らず80歳くらいまで現役で働き続けねばならない状況は、もはや避けられない。体が元気なうちは生涯現役――が、否応なく求められている。すでに少子化で人手不足が深刻なため、高齢でも求人案件には困らなくなった。たとえば、タクシーやバスの運転士、配送、警備、清掃、外食小売のスタッフ、介護職員などだ。いずれも社会基盤を支える重要なエッセンシャルワークで、もとより職業に貴賤はない。

Digest
  • 〝生涯現役社会〟を生き抜くために
  • 数少ない成長産業インバウンド「これからは有望です」
  • 請負単価が上がった
  • ツアー1回70万円×年11本
  • 月30万「余裕で稼げます」
  • 現状の主力は60代で、70代、80代も
  • 30~40代は秘境探検モノなど体力系にチャンス
  • 「10年続けられる人は1割だけ」
  • 別れを惜しんで泣く客もいる〝草の根外交官〟
  • 外語大卒から3社で磨いたキャリアを活かす
  • 刃物、プラント資材、ハイテク部品を売って29年
  • 「通訳案内士、受けてみたら?」2回目58歳で合格
  • 旅行業界の政治力で〝無免ガイド〟を合法化
  • 楽しませる!エンターテナーが向いている
  • もてなす!語学より「おもてなし」力が必須
  • トラブル対応力は必須「よく使う単語はGout Attack」
  • 小田原→名古屋の新幹線がゴールデンチケット化

〝生涯現役社会〟を生き抜くために

だが、すぐに始められる仕事、誰でもできる仕事は、市場原理にもとづき賃金は安くなりがち。参入障壁が低い、つまり「自分の代わりはいくらでもいる」という点で、やりがいも感じにくい。どうせ働くなら、若い頃からの経験やノウハウの蓄積を強みとして活かし、生きがいをもって自分らしく働き、しっかり稼ぎたいだろう。

他者との差別化や工夫によって、やりがいある仕事を見出し、なるべく少ない負荷で高い収入を得て、高齢になっても日本のGDPに貢献する――そんな、いきいきとした高齢者たちであふれる、活力ある社会が理想的だ。

そこで本連載では、実際に50~80代で、40~50代までに蓄積してきた経験や強みをもとに、一般の人たちには簡単にマネできない仕事内容で、月30万円以上(金融・不動産所得をのぞく)を稼ぎだしているかたがたを取材し、どのようなキャリアを積んで辿り着いたのか(能力面)、どんなやりがいがあるのか(動機面)、どのくらい稼げているのか(市場面)、その仕事の本質を伝えていく。

先達の実例が、中高年を迎えつつある40~50代サラリーマンの人生後半に向けた仕事の準備やキャリア構築の参考になれば幸いだ。将来不安な学生、その指導者から若手社員まで、幅広く有益な情報となるだろう。

・真実の報道を最優先とするため、匿名を原則とします
・上記主旨に取材協力者を募集しています(薄謝進呈)→情報提供フォーム

数少ない成長産業インバウンド「これからは有望です」

30年もの停滞が続く日本経済において、数少ない成長市場がインバウンド、すなわち訪日外国人向け市場である。訪日客数は2024年、3687万人で過去最高を更新し、政府は5年後の2030年に6000万人の目標を描く。これは国連データによると世界4位の水準で、遠からず、トップのフランス(1億人)も見えてくる。

浅草や京都の観光地は外国人でごった返す。その先頭で外国人を案内しているのが、「全国通訳案内士」(国家資格)たちだ。資格保有者でなくても案内して対価を得ることは可能だが、ないと大手旅行代理店の仕事は請負えないのが実態である。

今回、取材に応じてくれたMさん(今年77歳)は、この仕事に就いて19年目になるベテランで、コロナ禍をのぞいて年間180日以上の稼働を続けてきた。その8割がたは、国内最大手JTBとの委託契約によるものだ。

請負単価が上がった

「コロナ後、インバウンド需要増にガイドの供給が追い付かず、日当の相場が1日あたり1万円くらい上がりました。実はコロナ前まで、ずーっと3万円台だったのですが、いまではJTBが約4.5万円/日。別の会社の少人数ツアーでは、5万円/日の仕事も定期的に請けています」(Mさん、以下同)

驚くべきことに、評価の高い人でも普通の人でも、ベテランでも新人でも、JTBの時間単価は同一料金。ランク設定がないのだという。では現実的に、何で差がつくのかというと、チップの多寡である。

米国はチップ文化が根付いている。Mさんが主に担っている米国人富裕層30人の横断ツアー(全13日のうち前半9日間を担当)では、どのくらいになるのか。

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13日間の日本縦断コースで1人1万5千ドル(約225万円=航空運賃は別)。ホテルはTAUCKがグローバルで契約するハイアットやフォーシーズンズがメインで、日本らしさは下呂温泉の高級旅館だけ。

Mさんの2025年ガイドスケジュール

一斉配信されるラストミニッツ案件。前日14時まで応募可能。

通訳ガイド料金表(JFG)

派遣は時間の柔軟性が高い一方、賃金を4割抜かれることも

動機・能力モデルによる「生きがい」分析:インバウンドツアーガイド編

3社を渡り歩いたMさんのキャリア年表

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