Ba普通の企業 【生活犠牲型】
(仕事4.5、生活1.3、対価4.4)
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社員1,764人の平均年収が1398万円(平均年齢32歳、2008年3月)と、上場企業の高賃金ランキング常連となったFAメーカー、キーエンス。テレビ局のように国の排他的な電波政策によって高賃金が作り出されているわけでもないため、実力での高賃金ナンバーワン企業だ。なぜ社員にそんなに報いてもなお、経常利益率52%という驚異的な利益を残せるのか。その秘密は、1000人近くの営業マンを1日14時間拘束し、カロリーメイトだけの夕食で毎晩21時45分まで分単位で仕事をさせるといった、北朝鮮もビックリの「超管理営業」にあった。
【Digest】
◇分単位の営業日報
◇虚偽記載で降格も
◇朝礼で目標宣言、昼礼で経過報告
◇非常識を一般常識化する「隔離」と「教育」
◇キーエンス「百獣の王」の理由
◇接待禁止「人間関係で売るわけじゃないから」
◇50歳のヒラ社員も
◇3年目に全員1000万円超の営業
◇『月収が激減している』『引っ越さないといけなくなった』
◇「成果4:アクション6」の評価指標
◇「向いていないんじゃないか」でリストラ
◇営業マン「カロリーメイトだけで21:45まで」の1日
◇「30で家が建つ、40で墓が建つ」の時代
◇ストレスに耐えられる人が残る
◇分単位の営業日報
「自分がいた会社ながら恥ずかしいのですが…」。辞めて間もない元社員が、同社の強さの最大の秘密ともいえる、社員の半数以上を占める営業マンがどのような日々を送っているのかを詳細に語りだした。『営業を科学している』と言われる同社だが、そのやり方は、確かに半端ないものだ。
まず、1000人近くにのぼる外勤営業担当者のうち、女性は1人だけしかいない(2009年3月時点)。中途採用も、開発者は採っても、営業職は採らない。つまり、ほぼ新卒の男性だけの組織で営業1000人弱が固められている。これは、外の世界を知ってしまっている人は“洗脳”が難しく、また、女性は少数を採るが体力的・精神的にキツすぎて辞めてしまうためだ。
もっともキツいのは、厳しい管理によるストレス。営業マンは「外報」と呼ばれる紙ベースの営業日報を、毎日書く。通常の日報と異なるのは、それを分単位で正確に書かねばならないことと、虚偽記載が降格を含む重い罪に問われることだ。
たとえば、営業車で客先に着いた時刻、客先に入った時刻、プレゼンを終えて営業車に戻った時刻、営業車で移動を始めた時刻…を分単位で正確に記入する。
「これがストレスになるんです」(元社員)。なぜかというと、たとえば、会社から支給されるETC付きの高速道路カードを利用した際、高速道路に入った時刻、出た時刻が自動的に記録され、本社に伝達され、外報と突き合わせられて、整合性が取れているかをチェックされるからだ。
そのETCチェックをはじめ、出社から退社までの営業マンの動きを抜き打ち的にチェックしているのが、社員から「監査」と呼ばれ恐れられている、本社の専門部署である。
◇虚偽記載で降格も
外報が正しいかのチェックを日常的に行うのは、一義的には、機責(一般企業における課長)の重要な仕事とされている。
たとえば「いつも○○君がお世話になっています」と電話をかけ、客の反応を見る。「それで、ぜんぜん訪問していないことが分かってしまった例があります。虚偽記載は絶対にダメで、降格対象。実際、クラスダウンした人が、普通にいます」(同)
営業の中身も厳しく管理される。キーエンスでは機種ごとに画一化された営業トークが定められており、本社の人間(販促部門)が営業同行にやってきて、末端の営業マンはチェックを受ける。事業部によっては「ベストデモ」が一言一句、細かく決められ、そのとおり読み上げているかまでチェックされる。
「営業マンが機械のように正確に動けば一番売れる、全体の営業力をボトムアップできる、という考え方なんです。どんな人でも、マニュアルに従って説明さえできれば一定の確率で売れ、ロスを生まない」(元社員)。実際、その手法で50%超の経常利益率を保ちながら増収増益を達成してきたのだから、企業としては大成功だ。
◇朝礼で目標宣言、昼礼で経過報告
電話営業についても、電話件数、一電話あたりの分数ともに、管理している。1人1番号の固定電話が与えられ、1日に自分から何件、何分の営業電話をかけたか、が自動的に記録されるのだ.....この続きの文章、および全ての拡大画像は、会員のみに提供されております。
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キーエンスの現場組織 |
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キーエンスのキャリアパス |
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キーエンスの報酬(ランク「4B」)。「支払い金額が2000万円を超えている場合」について、わざわざ注意書きがあるのが、この会社ならでは。 |
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