キーエンス 利益半減で待遇悪化、平均1千万円割れも
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画像1:キーエンス「4B」社員の給与明細。4Bとは→キャリアパス図参照。四半期ごとの営業利益に連動して加算される業績賞与の比率が高いが、これでも大幅ダウン。詳細は本文参照。 |
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- 恐怖モチベーションで動いている会社
- 「監査」が「ありのまま報告」をチェック
- 利益志向が身につく
- 営業利益が半減、業績給も半減
- 「住宅ローンどうしよう」
恐怖モチベーションで動いている会社
自分は給与の高さを重視して会社を選びましたが、2008年度、2009年度は会社全体の業績が急降下しているために、仕事内容のキツさに比べて、若干、期待はずれな感があります。このキャリアパス図の水準は2年前は確かにそうですが、今では年ベースで200万円ほどは下がっている計算になります。
現場の社員は、高い給与を稼ぐことをモチベーションに働いているというよりも、むしろ分単位で監視される「恐怖モチベーション」で動いているという感じのほうが近い。愛社精神はないですね。
たとえば、各自に与えられる固定電話は、通話時間も架電件数も管理されていて、内容もすべて録音されています。内勤の日は、1日140分電話、1日50件がノルマ。50件かけるのは、担当企業が少ない人は大変で、同じ企業の違う部署にかけたりします。
通話時間を稼ぐために自宅の留守電にずっと話していた営業マンがいて、「すごくいい話をしてるな」と思った上司が録音をチェックしたためにバレて検挙されたという話があるくらいです。
「監査」が「ありのまま報告」をチェック
日常的に部下の行動をチェックするのは、「機責」(機種責任者)と呼ばれる30歳前後の現場リーダーです。機責が、顧客に電話を入れて、本当にガイホウ(外出報告書)が「ありのまま報告」になっているのかを確かめます。
一番怖いのは、本部の「監査」。キーエンスで監査というと、怖い言葉なんです。これは営業のエリートが行く部署で、機能としてはメガバンクの監査部門に似ている。1年に1回、抜き打ちで2人やってきて、ガイホウを見て、ETCの通過時刻データやケータイの通話記録と突き合わせたりして虚偽の記載を見抜く。営業のエリートだから、嘘をつく手口も熟知しているわけです。
営業マンは外出の日は、朝、タイムカードを切って出て行く。そして、車の乗車時刻を記録。車のメーターの走行距離も出て行くときと帰ってきたときの1日2回記録。営業先では、まず車を降りた時刻を分単位で記入。営業先での滞在時間は、10分単位で記入。これも「20分~29分までは切り下げで20分と書く」など、ルールが細かく決まっています。そして車に乗る時刻を「9:03乗車」などと記入。この繰り返しです。
訪問時間、訪問件数などが人事評価の対象となるため、ガイホウの虚偽記載はキーエンスでは重い罪に問われます。監査は、顧客先に行ってないのに行ったことにする「カラ外報」を見抜いてくる。同期が検挙されたときは、ガイホウに0分と5分の記述が多かったため、怪しまれました。
ガイホウの嘘がバレて辞めるケースが実際にありますし、降格になるケースもあります。たとえば、虚偽報告がバレた人は、担当会社を減らされ、その結果ノルマが当然のように達成不可能となって自主退社を迫られたり、他部署に飛ばされたり、降格になったり。降格になってもローンがあるから実際には辞めることができない人もいます。
こうした恐怖モチベーションの環境で仕事をしていると、はじめは会社に従順ではなかった人も、だんだん従順になっていきます。社員は性格テストを受けさせられるのですが、入社当時は「夢追い人」タイプと判定されていた人が、数年のうちに変わってゆき、会社人間になっていくのです。
利益志向が身につく
営業のノルマは、営業利益ベースです。売上ではない。この会社で身につくものとしては「利益志向」「客に対する話し方、切り返し方」などでしょう。
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画像2:事業推進部から全営業所へ送られる「成果額日報」。2009年1月7日時点のもの。国内全体で対前年比でマイナス32.8%。「1人1日あたり」にまでブレークダウンされている。![]() |
ノルマは、会社全体→事業部→エリア→営業所→前年度をベースにメンバーに割り当て、12ヶ月で割って1ヶ月分にブレークダウン。機責の数字でいうと
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画像3上:4B社員夏のボーナス下:同冬のボーナス
画像4上:入社1年目の源泉徴収票下:入社2年目の源泉徴収票
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読者コメント
基本給は大卒で20.4万、院卒で22.4万と公表されているのですが、末尾の人事制度のPDFでは3B(新卒)で18.4万円となっていますね。この違いは何が原因なんでしょうか
良い会社と言う人もいますが、すでに崩壊が始まっています。気付いていないのは上層部だけ。もう未来はない会社です。
そこまで管理する時間があるなら、もっと別の事に費やすべきなんじゃないかと。。キーエンスが一流企業と思われないのには、その辺に原因があるような気がします。
↓ですので、役員たちの報酬の変化について知りたいです。
役員報酬が激減であれば、納得感はでる。
ここまで管理され、管理者の期待どおりに動いているのであれば、責任は営業にはないはずですね。
であれば、現場営業へのしわ寄せが最も後回しになるべきで、まず経営層の報酬が大きく削減されるべきでしょう
この会社の現場はさぞ凄い集中力、体力、精神力の求められる状況なんでしょう。どこも厳しいだろうがここまで監査等の厳しい職場は銀行以上だろう。
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