画像1:IH調理器の至近距離では下図のようにお腹が強い電磁波にさらされる。
(上写真:パナソニックのIH調理器カタログより。下図:体が受ける磁場の影響→詳しくは本文参照)
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新年度で引っ越しを機に、ガスを使わないIH調理器の使用を始める人も多いはずだが、ここにも原発と同様、電力業界の広告宣伝費で懐柔されマスコミが報じてこなかった問題が隠されている。日本よりIHが普及していない欧州でさえ、電磁波リスクに慎重なスイス政府が2007年、IH調理器について「至近距離で使う場合には出力を下げて」など、被ばくを低減する使用法を勧告。実はIH調理器周辺での電磁波ばく露は、人体防護の国際基準を超えており、筆者は独自調査で2002年にこの問題を指摘、その後スイス政府の調査でも事実が確認されたが、2010年12月に国際基準の方が業界寄りに緩和されてしまった。人体防護の基準とは名ばかりで、「事業者側がクリアできる条件」に合わせた実態が明らかになっている。(スイス政府が示したIH調理器を使う際の7つの注意点を本文内に記した)
【Digest】
◇送電線もケータイも発がん可能性あり、IH調理器は?
◇家電の電磁波ばく露ワースト1
◇スイス政府勧告「近くで使うときは出力を下げて」
◇5cmの距離で妊婦や6歳子どもでばく露限度超え
◇ワーストケースでは25cm離れても国際基準超過
◇国際基準の方が緩和へ
◇送電線も携帯電話も発がん可能性あり、IH調理器は?
IH調理器に使用される電磁波の周波数は、20kHz~90kHzという範囲で「中間周波数」と呼ばれている。
まず、私たちが日常的に浴びている電磁波は大きく二つのグループに分けられる。
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電磁波の発がん性は低周波、高周波の両方で発がん可能性を指摘。IH調理器の周波数だけ安全とは考えられない。 |
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ひとつが携帯電話に代表される高周波の電磁波で、昨年国際がん研究機関(IARCI)が
発がんの可能性ありという評価が下されている。もうひとつが発電・送電など電力設備や家電製品から発生している低周波の電磁波で、そちらについても2001年にすでに発がんの可能性ありという評価が下されている。
IH調理器の電磁波は、周波数としてはちょうどその間に挟まれるため「中間周波数」という呼び方をされているのだが、これまでほとんど使用されておらず、そのため安全性の検証データもほとんどないのが現状だ。
しかし両端が発がんの可能性を指摘されているのに、その中間だけ安全ということは、あまり考えにくい。
◇電の電磁波ばく露ワースト1
家電製品からの電磁波被ばくを低減する一番の対策は、距離を離すことだ。家電製品はスイッチをオンにした状態で磁場が発生する。洗濯機や冷蔵庫、テレビなど使用中に離れておける家電製品はまだ対策が可能だ。
問題は離れることができない電気製品で、筆頭に挙げられるのは電気毛布やホットカーペット。1m以上離れてしまうと全然暖かくなく使う意味をなさない。しかしそれらの暖房商品のなかには、2本の電熱線をツイストさせることでそれぞれの電熱線から出る磁場を打ち消しあうようにデザインされた磁場低減商品がすでに販売されている。選択肢としてはそちらを選ぶということが可能だ。
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IH調理器の仕組み |
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IH調理器の場合、そうした低減商品は不可能だ。IH調理器のIHとは「インダクションヒーター」の略で、電磁誘導加熱という意味。セラミック製の天板(トッププレート)の下に設置してある渦巻き状のコイルに20~90kHzの周波数の電流を流して磁場(磁力線)を発生させる。その磁場が天板上の金属製のなべに渦電流を起こし、金属の抵抗によってジュール熱が発生し、鍋だけが加熱されるという仕組みだ。
他の家電製品の場合、電力を使用する結果として周辺に電磁波が発生しているのに対して、IH調理器の場合は鍋の加熱のために意図的にコンロの上面に電磁波(磁場)を発生させている。そしてちょうど妊娠中の母親のお腹や小さい子どもの頭を直撃することになる。
◇スイス政府勧告「近くで使うときは出力を下げて」
電磁波の健康影響に関して積極的に被害予防の対策をとるスイス政府の公衆衛生局では、IH調理器を使う際の注意点として以下のような勧告を出している.....この続きの文章、および全ての拡大画像は、会員のみに提供されております。
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IH調理器から5cmの距離での基準値超過率 |
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改定された国際基準値 |
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