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スカイマーク 社長じきじきに安全無視の違法フライト命令、拒否した機長を解雇するハイリスク体質

情報提供
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スカイマーク社長の西久保愼一氏
 スカイマークで機長を務めていたラッセル・ラックラン氏(50代前半、男性、仮名)は2010年2月5日、羽田発福岡行きの便に向かうバスの中で「客室乗務員がカゼで体調を崩し声が枯れている」との報告を受けた。これでは緊急時に対応できないと判断した同氏は、客室乗務員の交代を本社に要請。すると、スカイマーク社長の西久保愼一氏が直々にバスに乗り込んできて「ゴーフライ」と命令され、井手隆司会長にも「我々は交代要員など有していない」と言われたが、従わなかった。ラックラン氏はその場で帰宅を命じられ、その1週間後、解雇された。同氏は地位確認などを求め東京地裁で現在、係争中だ。裁判資料をもとに、低価格の裏側に潜む、安全性を軽視したスカイマーク株式会社のハイリスク体質を詳報する。
Digest
  • 円高に振れた途端、契約をドル建てに変更
  • スカイマーク機長の給与明細 直近レートで年収1200万円台
  • 「ゴー フライ」西久保社長
  • 「緊急事態など起こらないよ」スカイマーク井出会長
  • リスク指摘の一週間後に解雇通告
  • 国交省から厳重注意
  • 地位確認と計2944万円分の損害賠償請求
  • 「国交省の注意文書は誤った解釈」西久保社長
  • 「返答できかねる」スカイマーク社

円高に振れた途端、契約をドル建てに変更

訴状や証人尋問によると、原告のラックラン氏は、アメリカの州立大学を卒業後、アメリカ、オーストラリア、台湾、香港、日本の航空会社で機長をしてきた。通常、飛行時間1万時間以上はベテランといわれるというが、ラックラン氏の累積飛行時間は、1万5,500時間。(そのうち1万1,600時間は機長として飛行)。さらに同氏は上記の国々でATP(定期運送用操縦士)という最も高位のライセンスも保有している。れっきとしたベテラン・パイロットといえよう。

ラックラン氏がスカイマークに至る経緯はこうだ。同氏は07年から、香港に居住し、香港航空で勤務していた。しかし、香港の大気汚染が年々深刻化し、夫妻の健康にも悪影響を及ぼしてきた。そこで転職を検討するようになっていく。そうした中、「パーク・グループ」という紹介業者から航空会社を紹介された。

紹介先は、スカイマークとドバイの航空会社だった。ドバイの方が多くの給料が保証されたが、ラックラン氏は「日本が安定的な政治体制と秩序を有しており、かつ深刻な大気汚染の問題もない国」という理由で日本の就職を選択した。

パーク・グループを通じてスカイマーク側も2008年12月下旬に入社を了承。ラックラン氏は2009年1月中旬に日本に入国し、スカイマークで勤務を開始した。

基本給は、当初の契約では、パーク・グループから、次の二通りを提示された。

「1年間の雇用期間で、日本建てによる契約を締結するか、又は、3年間の雇用期間で米国ドル建てによる契約」

ラックラン氏は、日本円が為替市場で強い通貨であることから、日本円を選択。

賃金は、約半年間のトレーニング期間中は、月額78万4,000円。その後は、月額89万6,000円だった。契約期間は09年1月中旬から1年間で、その後は自動的に更新されることになっていた。

ちなみに、米国ドル建ての場合は、トレーニング期間中は、7,000ドル。その後は8,000ドルだった。

ラックラン氏が契約を交わした08年1月中旬時点の為替相場は、1ドル109円前後。このレートで換算した場合、トレーニング期間中は約76万3,000円、その後は、約87万2,000円。円建ての契約と比べて、約2万円低い。

しかも、契約を交わしてから2か月後には、1ドル100円にまで急騰。このレートで換算すると、円建て契約の方が、月額10万円近くも高くなる。ラックラン氏の選択は、賢明だったはずだった。

しかし、為替が円高に振れ出して、1ドル107円前後をいったり来たりするようになりだした2月下旬に、スカイマークは突然、パーク・グループを介して、こう言ってきた。

「賃金を円建てではなく、米国ドル建てを望む。この条件を受け入れない限り、当初の契約は破棄せざるを得ない」

転勤早々の事実上の給与カットだったが、いまさら契約解除されても困るので、ラックラン氏は、しぶしぶ受け入れた。

なお、同氏に支払われる給与は、これだけではない。

スカイマーク機長の給与明細 直近レートで年収1200万円台

裁判資料によると、ラックラン氏に対する給与体系は、上記の基本給が、仲介業者のパーク・グループから支払われている。それ以外に、スカイマークから、次の諸手当が出ている。

「生活手当」月額15万円。

「飛行機移動手当」月額500米国ドル。

「住宅手当」月額25万円

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2010年2月5日、ラックラン氏は、羽田発福岡行のスカイマーク017便の機長として、空港内にあるバスで飛行機まで向かった

スカイマーク代表取締役会長(同元社長)で安全統括管理者も兼ねている井手隆司氏

スカイマークに対する国交省の厳重注意書

当時の国交大臣・前原誠司氏

「サービス簡略化」をうたったスカイマーク「サービス・コンセプト」全文

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n2013/11/08 06:10
そらくん2013/05/27 16:21
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須藤博2012/06/24 11:30会員
村上誠史2012/06/20 21:44会員
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