ボーナスの係数はパナとほぼ同じ条件だが…
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2012年、年始の従業員向けスピーチで、三洋電機の伊藤正人社長が「パナソニックの成長戦略とは直接関係ありませんが、重要な仕事です」と人員整理や事業売却などのリストラについて言及する場面があった。「あれはマズかった。空気が読めてない。関係ない、と言われてしまった事業にいる三洋電機の人たちは、やる気をなくしたと思います」(中堅社員)。伊藤社長自身はパナソニックのエナジー社社長も兼務しているからよいのだが、三洋社員の多くは、まだパナ本体の組織図にすら入れていないのだ。
【Digest】
◇三洋本社、400人リストラの条件
◇ポツ、ポツとパナに出向
◇「ひたむき・がむしゃら」な三洋、「愚直で真面目」なパナ
◇給料は格差を放置、ポスト配分はフェア
◇「ゴパンは、パナでは出せなかった」
◇二重に走る人事評価、購買
◇三洋本社、400人リストラの条件
口を滑らせただけで、伊藤社長が言ったことに嘘はなかった。三洋電機という会社はいまだ存在し続けており、電池事業の人たちが丸ごとパナのエナジー社に出向になるなど、パナにとって必要な事業部門の人たちは出向という形でパナの分社組織内に入り、「パナソニック」の名刺を持って仕事をしている。だが、それ以外の人たちをパナが吸収するつもりは毛頭なく、「売却待ち」「リストラ待ち」の宙ぶらりんな状態なのだ。
現在、3年以内の売却または撤退が決まっている事業は、大東事業所(大阪府大東市)にあるデジカメ(「ザクティ」ブランド)や、TVなど。これらは日本では既に販売停止しているが、海外ではまだ売られており、クリントン州知事時代から現地工場で生産し、ウォルマート(本社・アーカンソー)という巨大な販路を持つ「SANYO」ブランドのTVなどは、それなりにいい値で買い手がつきそうだ、と言われている。
大型空調機などを製造する三洋の業務用機器部門は、事業縮小にともない、パナソニックブランドへの変更前の2011年秋、東京製作所(群馬県大泉町)などで1200人の早期退職を募集し、大規模なリストラを実施した。
白物家電事業は中国のハイアールに売却し、約2300人が転籍済みだ。当時を知る社員は言う。「しんどいけど、しゃーない、って感じでした」
これら事業部ではなく本社に所属していた約2000人については、2011年9月に400人を目標として希望退職を募集。退職までのスケジュールが説明され、上司と面談がセットされ、10月末に急きょ退職、となった。
「お渡しすることはできないんですが…」と三洋の中堅社員が、当時の資料を確認して教えてくれた。退職時の割増加算金は、5歳刻みでいうと、額面で、おおよそ以下のとおりだという。
20代=雀の涙程度。
30歳前後=半年分。
35歳=.....この続きの文章、および全ての拡大画像は、会員のみに提供されております。
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管理職クラスではない中堅社員(パナソニック40歳前後)の源泉徴収票。三洋はここからマイナス100万円くらいだという
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三洋社内報『You & I』でも両社の融合を強調
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パナと三洋の評価の違い。パナは、明確に分布の比率が予め決められた相対評価が特徴。 |
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