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サラ金化する銀行 西京銀行、武富士の過払い客に保証会社ロプロで「おまとめ融資」を勧誘 

情報提供
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武富士を分割吸収した「ロプロ」から送られてきた西京銀行の「おまとめ融資」の勧誘パンフレット。Lopro武富士のロゴがついている。Aさんは武富士の顧客だったが、西京銀行ともロプロとも縁はなかった。
 武富士を分割吸収した、元の名を日栄という商工ローン「ロプロ」(Jトラストグループ・2012年9月から「株式会社日本保証」に改名)と、同じJトラグループ傘下の西京銀行(山口県周南市・平岡英雄頭取)をめぐり、胡散臭い営業が発覚した。倒産した武富士に45万円の過払い金を踏み倒され、他のサラ金4社もすべて過払い、つまり本来は返済する必要が全くない埼玉県内の女性に対し、西京銀行が、「返済が楽になる」などと言って借りかえ融資を勧めていたのだ。保証会社は、武富士が名前を変えたロプロ。武富士の顧客情報を使って、過払いを知りながら不要な金を貸して再び稼ごう、と目論んだ可能性が高い。西京銀は行員が詐欺で逮捕されたばかり。サラ金が退場した今、銀行のサラ金化が始まっている。
Digest
  • 過払いなのに勧誘された「おまとめ融資」
  • サラ金「リボルビング」の罠
  • 金利のからくり
  • 武富士に踏み倒された過払い金45万円
  • 武富士を吸収した「ロプロ」と西京銀行の関係
  • 百害あって一利なしの融資を寸手で回避
  • 「過払い客におまとめ勧誘していない」と西京銀行

過払いなのに勧誘された「おまとめ融資」

「『銀行』だからまさかサラ金のようなひどいことはしないだろう、そう思って信用していたんです」

不安な表情で話すのは埼玉県に住むパートの女性・Aさん(48歳)だ。現在、多重債務問題に詳しい井口鈴子司法書士の支援でサラ金4社から総額225万円の過払い金を回収する作業を進めている。

過払いとはサラ金に返しすぎた状態をいう。Aさんはこのカラクリをよく理解していなかった。そしてサラ金に請求されるままにカネを払ってきた。

今年夏、依然としてサラ金に返済を続けている彼女に融資を持ちかけたのが、西京銀行だった。

サラ金から銀行に借りかえろというのだ。「借りかえれば楽になる」という説明をAさんは真に受けた。そしてもう少しで65万円の借金をするところだった。

じつはサラ金4社のほかにAさんは武富士にも約45万円の過払いがあった。だが同社が経営破綻して会社更生法を申し立てたために回収不能となった。武富士による過払い金の踏み倒しである。

さらにAさんが後に知ることになるのだが、借りかえを勧めた西京銀行とは、じつは武富士と資本面でつながりを持つ銀行だった。詳しくは詳述するが、どちらも藤澤信義氏率いるJトラストグループが支配下に置いた会社だった。

もしAさんが西京銀行の勧めるとおりに65万円を借りてサラ金の借りかえをしていたら、状況は今よりはるかに悪くなっているだろう。

つまり、西京銀行に対して毎月3万円~4万円の返済をする必要がある。そのうち、運良くサラ金の過払い気づいて回収に取り掛かったとしても、実際に入金されるのは早くて半年後、長ければ1年以上かかる。すくなくともそれまでは西京銀行の借金がのしかかる。金利も取られる。

それでも、過払い金が入ってきて西京銀行の借金を完済できればまだよい。もしも資金繰りがうまくいかずに借金を残してしまえば、それがきっかけで将来より大きな借金に膨らむ恐れは高い。最悪なのは過払い金を請求することに気がつかず、延々と返済を続けるという展開だ。サラ金は完済しているから容易に貸してくれる。間違いなく借金は大きくなり、解決も困難になる。

幸いにもAさんは西京銀行の融資を断った。その代わり、井口鈴子司法書士に相談して過払い金の回収に着手した。結果、事態は劇的に好転する。サラ金への支払いがないからパートの収入をすべて生活費に回すことができる。過払い金回収に必要な訴訟経費も出せる。あとは過払い金が戻るのを待つばかりだ。なにより理性的に物事を考えるだけの精神的余裕ができた。

西京銀行の「おまとめ融資」は百害あって一理なし。Aさんはあわや騙されるところだった。

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多重債務問題に詳しい井口鈴子司法書士(奥)に経緯を説明するAさん(手前)。サラ金5社に月10万円もの返済をしてきたが、すべて過払いだったことが判明。武富士を除く4社から200万円以上を回収する手続きを行っている。

サラ金「リボルビング」の罠

そもそも西京銀行などAさんは聞いたこともなかった

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武富士にも月2万円以上を払っていたが、同社が2010年9月の会社更生を申し立でたことで、じつは約45万円の過払いだったことがわかった。しかし、実際に返ってきたのは1万4000円ほどに過ぎない。武富士管財人から送られてき「更生債権届出書」。

ロプロからAさんのもとに送られてきた西京銀行のパンフレット。サラ金の「借金」を借りかえる「おまとめ融資」をうたっている。Aさんは過払いだったが、それを知らなかったため、あわや借りるところだった。

ダメだと思っていた西京銀行の融資審査は、意外にも合格だった。借りたいと伝えるとすぐに契約書や代位弁済の委任状が送られてきた。保証会社に「日本保証」(ロプロ)がなっているのだが、Aさんは気がつかなかった。

Aさんに借りかえのローンを勧誘した西京銀行東京ローンセンター(東京都中央区日本橋)。午後7時ごろでも職員がいた。過払いの人に「おまとめ融資」を勧誘したいきさつを尋ねたところ回答はなく。名刺も受け取ろうとしなかった。

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b2013/08/24 12:18
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本文冒頭部分「◇過払いなのに勧誘された『おまとめ融資』」の項、「昨年夏、依然としてサラ金に返済を続けている…」は「今年夏…」の誤りでした。お詫びの上訂正します。(筆者)※本文修正済み
本文:全約7400字のうち約6100字が
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