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NECソフト、リストラ対象社員に2年超ハローワーク通いさせ訴訟に 50万円の支払いで和解

情報提供
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乾氏“リストラ事件”にかかわるNECソフト歴代社長。真ん中が池原憲二氏(在任期間04年6月~07年6月)、左が国嶋矩彦氏(同07年6月~09年6月)、右が古道義成氏(同09年6月以降)
 「内戦のシリアに飛ばす」などと強引な退職勧奨をした話が今年11月に国会で取り上げられたNEC。その3か月前、中核子会社NECソフトの“リストラ事件”がひっそりと終結していたことが分かった。同社では「戦力外」と判断された社員は、再就職支援会社やハローワーク等に通い再就職先を探すことが業務となる専門部署に飛ばされる。技術者出身の営業社員だった乾進二氏(仮名、当時50代)は、通算2年超に渡ってその部署に在籍となったことで「人格を否定され精神的苦痛を被った」などとして、定年退職後に提訴。今年8月、会社側が50万円を支払う形で和解した。再就職活動に専念する部署で2年超もサラリーを貰い続けられるNECの“ぬるま湯”体質をも浮き彫りにしたリストラアクションの内幕を、裁判資料にもとづき詳報する。
Digest
  • 再就職支援会社に出向で給与3分の1減
  • 狭い部屋で上司に囲まれ罵倒の嵐、証拠音源
  • 業務内容は月曜出社後ハローワーク、火~金出社せず就活
  • 700万円の損害賠償を求め提訴

再就職支援会社に出向で給与3分の1減

原告の乾氏は1975年にNECソフトに技術職の正社員として入社。98年からは営業職に転じた。そして2000年代に入り、乾氏は徐々にリストラの標的にされていった。

最初の会社からのアクションは、53歳になる02年、夏のことだった。上司のI氏から複数回にわたり、アウトプレースメント社(再就職会社)への出向を打診されたのだ。

もともとNECソフトでは、業務遂行能力に限界があると判断される社員に対し、社員との合意のもとで、会社に在籍させたまま再就職支援会社に出向させ、そこで本人の希望に沿った転職先を探す活動をさせることになっている。

だが乾氏は、出向の打診を断った。

翌03年夏には、I氏から「営業としての強みがない」「君のやることはない。家族と相談するように」などと言われるようになった。そして同年12月には、再就職支援会社である「関東雇用創出機構」に出向することを打診された。乾氏は拒絶したが、翌04年1月、2月と、何度もI氏から出向するよう迫られ、ついに出向に応じた。

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NECソフト本社(東京都江東区新木場)

関東雇用創出機構での業務は、ズバリ、再雇用先を探すことだった。Yマネージャーからは、「2年間で仕事を見つけろ」と命じられた。

出向前までの乾氏の賃金は、基本給約46万円だったが、04年4月1日からは、事業基幹職6級(エキスパート)から4級(リーダー)に降格となった。

さらに、営業職の時代には支給されていた裁量労働制による1日1時間のみなし残業が支給されなくなったことから、賃金は減額となり、

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再就職支援の出向会社NECプロサポート(旧NECバイタルスタッフ)もあるNEC本社ビル(東京都港区芝)

NECグループ企業行動憲章。「従業員一人ひとりの個性を尊重します。また、能力を十分に発揮でき、活き活きと働ける環境を実現します」とある

和解条項(※筆者が裁判資料をメモして作成したもの=コピーや撮影はできないため)

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