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みずほ証券 旧新光証券の契約社員に過剰ノルマかけ退職強要、雇止めのうえ口封じ図る

情報提供
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みずほ証券の本山博史社長
 04年、新光証券に「実質的には正社員」と説明を受け契約社員扱いで入社した新井瑞穂氏(仮名、40代後半)は、年収800万円超で順調にキャリアを積んでいたが、リーマンショック後の09年5月、新光がみずほ証券に吸収合併され暗転。旧新光の人たちは、収益が格段に低い中小型リテールのM&Aがメインの部署に集められ、達成困難なノルマを課せられた。新井氏は、ノルマ未達を理由に退職を強要され、踏み止まると、雇い止めされ放逐、口外禁止の誓約書まで送り付けられた。現在、会社を相手取り地位確認を求め係争中だ。吸収合併後の出身による身分主義、“宗主国と植民地”の二重賃金、ドライに斬られる非正規の哀しみ…日本の労働法制の理不尽が凝縮した事件を詳報する。
Digest
  • みずほ証券との合併を機に暗転
  • 旧新光社員に過剰ノルマを課しリストラの嵐
  • 「希望退職募集に応募しなくても次回の契約更新はない」
  • 地位確認を求め提訴
  • 吸収合併の哀しみ

みずほ証券との合併を機に暗転

訴状や準備書面によると、原告の新井瑞穂氏(仮名、40代後半)は、アメリカの州立大学でMBA(経営学修士)の資格を持つキャリアの持ち主。大学院卒業後は、外資系の大手証券などを経て、04年12月に日本の新光証券に入社した。

新井氏によると、入社当初、会社側は、正社員のオファーを出したという。しかし、外資系の職歴の長い新井氏は、外資金融では勤務地が東京と限定され、職務も労使の合意で決まることを理由に、「期間の定めはないが、勤務地は東京、職務は労使の合意で決定する契約書」にするよう求めた。

すると人事部のY副部長は、「そのためには、契約期間を1年間とする契約しかないが、実質的には正社員と同じだから、安心して勤務してほしい」と述べたという。

こうして採用時の年収660万円、月45時間の残業込み、退職金なし、その他ベネフィットなし、という条件で新井氏は入社した。

その後、新井氏は、M&A(企業の合併と買収)業務などを担当した。

年俸は、06年768万円、07年804万円、08年852万円と年々増加して順調だった。

しかし転機はやってきた。08年秋のリーマンショックを経て、09年5月、新光証券が、みずほ証券に吸収合併されたのである。そこから新井氏の人生は暗転していく。

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「みずほフィナンシャル・グループの職系」の概要。(※筆者が裁判資料をメモして作成したもの=コピーや撮影はできないため)

新井氏は、みずほフィナンシャル・グループの職系でいうと、左図のように、G職、A職、S職、E職、FA職、嘱託のなかで、E職に当たる。

G、A、S職が正社員職で、勤務地の変更、新卒採用の有無で分類しているのに対し、E職以下は、契約社員。そのなかでE職(エキスパート職)は、キャリア採用のみ(新卒なし)で、勤務地は個別の労働契約で決めることになっている。

また、新井氏の職階は、図のように、エグゼクティブ・ディレクター(ED)、ディレクター(D)、ヴァイスプレジデント(VP)、アソシエイト(As)、アナリスト(An)のなかで、VPだった。VPの期待される役割は、「部室店の統率・運営或いは高度な専門領域における業務推進」とあり、契約社員でありながら、中間管理職のような役目も担っている。

旧新光社員に過剰ノルマを課しリストラの嵐

合併後に新井氏が配属されたのは、アドバイザリー業務を担当する部署だった。

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「みずほ証券 職階」概要

みずほ証券のアドバイザリー業務は、大きく二つに分かれる。一つは「ガバレッジ・マーケティング業務」。もう一つは「エグゼキューション業務」。

ガバレッジ・マーケティング業務とは、業種、地域など特性に応じて、顧客のニーズを適切に捉え(マーケティング)、買収や売却、合併、持ち株会社の設立といったM&A、事業再生、事業継承について、アドバイスを提供する「FA契約(フィナンシャル・アドバイザリー契約)」締結を目指す営業業務を指す。

エグゼキューション業務とは

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みずほ証券本社(東京都千代田区大手町1丁目5番1号大手町ファーストスクエア)

会社がサインさせようとした「誓約書」の概要。一方的に新井氏の首を切っておきながら、「私は退職後、会社を誹謗、中傷その他会社の名誉を毀損し、信用を損なうおそれのある一切の言動を行わない」ことを誓約します、などと書いてある

「労働契約期間満了通知」概要

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こう2013/03/31 18:03
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