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セブン-イレブン・ジャパン、新卒社員を試用期間中に解雇 うつの原因DV父の元へ強制送還し心身悪化させた末に

情報提供
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セブン-イレブン・ジャパンの新入社員・植杉小夏(仮名、現20代前半)は試用期間中に解雇され現在、地位確認や慰謝料等求め会社を提訴し係争中。原告の意向により原告本人の撮影はしていない。写真は原告代理人の弁護士。左が十枝内康仁氏(十枝内総合法律事務所)、右が小暮典子氏(並木通り法律事務所)
 セブン-イレブン・ジャパンに新卒で入社した植杉小夏氏(仮名、現20代前半)は、4月の研修中に突然、数分間の意識喪失に陥った。病院は、てんかんの疑いがあるので検査が必要だが就業可能、と診断。その後、植杉氏は、父親のDVにより内定後にうつ病を発症したことを会社に打ち明けた。すると会社は、本社勤務とし、上司が、うつの種である父親に連絡するよう仕向けたり、てんかんなら解雇だ、と何度も言ったという。そうしたプレッシャーから植杉氏は二度意識喪失し、自殺未遂もした。その数日後、上司5人が植杉氏を取り囲み、車に乗せて実家の父親のもとに強制送還。その結果、父親から連日暴力を受け、植杉氏の心身は悪化の一途を辿った。その後、精密検査でてんかんは確認されなかったが、試用期間の終了間際に解雇された。植杉氏は地位確認等を求め提訴し、係争中だ。原告側への取材と裁判資料に基づき事件を詳報する。
Digest
  • セブン正社員の内々定を得て入社
  • ディスカッション中に意識を失いイスから転げ落ちる
  • 内定後に家庭内暴力でうつ病発症
  • 解雇をチラつかされた挙句DV父と引き合わされて自殺未遂
  • うつ病発症の原因であるDV父のもとに車で強制的送還
  • 実家で父に連日暴力を受け心身悪化
  • 試用期間中に解雇宣告
  • 「本社勤務は追い出し部屋だった」原告代理人
  • 地位確認等を求め提訴
  • セブン側の主張「職務に耐えられないから解雇した」

セブン正社員の内々定を得て入社

原告と原告代理人への取材と、訴状、原告、被告の準備書面などの裁判資料によると、事件の概要は以下の通り。原告の植杉小夏氏(仮名、現20代前半)は、大学在籍中(2010年~12年のいずれかの年)の4月6日、株式会社セブン-イレブン・ジャパン(以下「セブン」)の翌年度の正社員採用の内々定を得、同年10月1日に内定を得た上で、翌年4月1日にセブンに入社した。

セブンイレブンのキャリア

雇用契約の内容は、契約期間の定めのない無期雇用の正社員(入社から3か月間は試用期間)で、就業場所は本部、全国の各地区事務所、全国の「トレーニングストア」。業務内容は、「OFC(オペレーション・フィールド・カウンセラー)」だった。

「OFC」とは、フランチャイズの加盟店オーナーに対し、発注や品揃え、従業員の教育などの経営アドバイスをする職種で、ローソンやファミリーマートなどではスーパーバイザーと呼ばれる仕事である。

同年度のセブンのOFC採用の新卒者は約500人。試用期間は約15グループに別れて研修を行った。スケジュールは、はじめの1か月半が、座学や店頭での研修。その後、副店長としてトレーニングストアに配属される。「トレーニングストア」とは、全国に約450か所あるセブンの直営店舗を指す。これは実践型の、セブン社員の研修施設であり、OFCになるために、新人の従業員たちはここで副店長や店長を勤め、基礎トレーニングを受講した上で、入社から大体2、3年後にOFCとなる。

原則、OFCになると、OFC1人につき7、8人の加盟店を担当し、1週間に2回、担当店を訪問する。この訪問は必ず車での移動となるという。また、月2回は、全OFCが本社に集合し、全体会議を行う。

契約書によると、植杉氏の待遇面は、勤務時間が9時から17時半(休憩45分)。割増賃金率は、法定時間外労働は月60時間以内が125%、月60時間超が150%。深夜は125%。定休日は125~135%。

休日は土、日や会社が定めた特別休日。有給休暇は、入社から6か月継続勤務した場合に10日。その他、結婚、忌引、配偶者出産、看護、ボランティア、赴任、災害、慰労、交通遮断、裁判員休暇などが有給。無給休暇は、出産、生理休暇など。

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都内のセブンイレブン店舗

基本給は、

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左は代表取締役会長・最高経営責任者(CEO)の鈴木敏文氏。右は代表取締役社長・最高執行責任者(COO)の井坂隆一氏(同社HPより)

原告の本社勤務の席表(取材に基づき筆者が作成)。三席だけ不自然に空いている。辞めさせたい社員をここに送り込み、辞職に追い込む目的の席だった、と原告代理人は主張する

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