セブンイレブン・ジャパン 上から鈴木会長、下から店舗オーナー、板挟みでストレス満載な社員たち
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Caa 不良企業 (仕事2.0、生活2.0、対価2.8) |
- Digest
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- 現場1人1人のブレなさ
- まずは直営店に3年間住み込み
- AタイプとCタイプのオーナー店
- 「ほぼ最低賃金」でないと利益が出ない
- 「冷やし中華入れませんか」という仕事
- 信頼関係を感じる時が「やりがい」
- 社内公募はセブン銀行など少数
- オーナー転身で500万貰える
- 中途比率は3割くらい
- FCの1週間、1日
- 買い取り制度が肝
- 「死ぬ気で売れ!」地区マネージャー
- 週一のゾーン会議で震える
- FC600万円、DM700万円
- 評価では「都度施策の達成」を重視
- FCはずっと続けられる仕事じゃない

現場1人1人のブレなさ
その指令の対象は、社員に留まらない。圧倒的なバイイングパワーを背景に、メーカーなど取引業者にも及ぶ。「震災の翌日、鈴木会長がメーカーの担当者を集めて、被災地向けに、水、パン、米と、それぞれこれだけ必要だ、言うこと聞かないなら出てってくれ、と指示して、みんな従うしかなかった、とのことです」(7&iグループ会社社員)
「ITベンダーに対しても、ミスしようものなら、失敗の原因と対策を書かせて、リンチをくらわせるくらいの勢いで徹底させます。1万4千店もあると1%の違いが大きくなるので、社員にも取引先にも、常に『ゼロコンマ』の世界を求める。『現場1人1人のブレなさ』が強みだと感じます」(同)
社員に対する指示と、その徹底ぶりについては、社内で有名な話がいくつもある。セブンイレブンジャパンの中堅社員によると、それは以下のようなものだった。
2005年ごろ、新商品として、キャベツの浅漬けが発売され、鈴木会長が「おいしい」と言った。ところが、1日平均で1店舗あたり2個ほどしか売れなくて、最大でも10個程度にとどまったため、鈴木会長は「全然売れてないのは、FCが仕事してないからだ」と言い出した。
FCとは「フィールドカウンセラー」のことで、正式名称をOFC(=オペレーションフィールドカウンセラー)という。セブンイレブンジャパンの中心的な職種であり、全国に2000人ほどいる。FC1人あたり6~8店舗のオーナー店を担当し、売上や利益を拡大すべく、コンサルティング、または商品の押し込み営業を行う。
このFCの押しが弱いからオーナーが仕入れず、商品は良いのに売れないのだ、というのが鈴木会長のお言葉だった。「会長直下の幹部の人たちは結果を求めるので、我々に無理やり売らせるんです。『1日で20個売れ!』と指示が来ました。オーナーのところに行って、『30個発注してください』などと、お願いしました」(中堅社員)
ところが実際には、POPをつけても売れ行きは芳しくなかった。鈴木会長は売れると言うが、オーナーは実際に売れていないから、仕入れたくない。板挟みになったFCは、最後には自分で買うしかなくなった。
「発注させておいて、売れ残って廃棄になるのは、オーナーに申し訳が立たない、ということで、自腹で買う人もいたんです。さらに、オーナーたちからは『これはFCのコンサルティングとして、まともなアドバイスになっていない』と問題にされました。我々としても『アホらしいな』という感じです」(同)
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7&iとセブンイレブンジャパンの組織図概要![]() |
2011年には、鈴木会長が「階層が多すぎる」と発言。これは、社員の職制についての問題意識だった。セブンイレブンの階層は現在、左記組織図のとおり、FC→DM(ディスクリクトマネージャ)→ZM(ゾーンマネージャ)となっている。
鈴木会長が問題視したのは「SOFC」(シニアオペレーションフィールドカウンセラー)というポストで、これはDMの補佐をしつつ直営店を1店持つのが仕事で、FC→DMに昇進する前段階として半年ほどの期間を受け持つものとして存在していた。
「このSOFCというポストが、鈴木会長の一言で、FCという名称のまま変わらないことになりました。でも、仕事は従来と同じなので、実質的に現場は何も変わっていないのですから、笑えますね」(中堅社員)。とにかく会長の指令は完遂が必須とされるのである。
一方、意思決定者が1人という事実上の独裁体制なので、当たった時は大きい。鈴木会長は2011年の春、『たっぷりあさりのボンゴレ』を売れ!と号令をかけた。そして実際に、売れ始めた。「少し売れて数が減ったら、もう翌週には工場に追加で手配して供給力を増強してるんです。出された指示への対応力が、とにかくスゴい」(同)
まずは直営店に3年間住み込み
オーナーとしては、なるべく売れる数だけしか発注したくない。一方、セブンイレブンの本部としては、ノーリスクなので、なるべく多めに発注させたい。このせめぎあいの中で、常に本部とオーナーの間で板ばさみ状態にあるのが、同社中核職種のFCである。
仕事のキツさは、学生の間でも漠然と知られていた。「自分も採用活動に関わっていましたが、
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セブンイレブンジャパンは、人手不足が深刻化する中、各店舗がアルバイトなどを確保する人件費に充ててもらうため、店舗のオーナーがブランドを使う対価などとして、コンビニ本部に支払う費用「ロイヤリティー」を2017年9月から一律1%引き下げる。例えば、オーナーが土地や建物を所有して営業している場合は売上総利益、つまり売り上げから商品の原価を差し引いた金額の43%を支払っているところを、42%にする。(NHK)
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