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野村證券 内定辞退が相次ぎリクルーター補佐体制を強化

情報提供
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社員が携帯する野村證券の社章を机に置いてもらった。野村家の紋章であるツタ(蔦)の葉、屋号の 「ヤマト」、カタカナの「 ト 」 は創設者・野村徳七の名前からとられたという。
 野村證券で、総合職A(全国転勤アリ)の採用が本格化するのは、大学3年の冬以降。大学別に編成されたリクルーターのチームが動き出す。主要大学別に、7~10年目の社員1人がリクルーター(責任者)としてアサインされて、半年ほど通常業務から離れ、リクルーター業務に専念する。この専任リクルーターが役員に対し、「この学生を推薦します」という内容の推薦状を出すことで内定する仕組みなので、事実上の採用権限を握っている。内定日は、コロコロ変わる経団連ルールで「面接解禁日」とされる月の1日だ。ある年は解禁が4月だったので、4月1日に学生を呼び出し、形式的な役員面接が行われ、即内定となった。もちろんこのリクルーター経由の内定ルートについては、公式採用ページでは一切、触れられていない。
Digest
  • リクルーター制を強化、2千人超を面談し80人採用
  • 海外キャリアパスは3種類、同期の1割強が行ける
  • リクルーターが面談する学生は2千人超
  • 入社後は学歴関係ナシ、数字の勝負
  • アナログなノウハウ、「果たし状が来た」とさらされる巻紙
  • どれだけウェットな関係になるか、の勝負
  • 証券マンのジレンマ、ノルマ指標の変化
  • コンプラ強化で回転売買ストップ、高齢者ルールも
  • 顧客情報は支店の外とは共有されない
  • アラサーまでに4割辞める、フィンテック系創業も

リクルーター制を強化、2千人超を面談し80人採用

野村はコース別採用を行っており、例年の人数は以下の通りだ。

①総合職A=全国転勤アリのリテール総合職 200~400人
②総合職B=転勤ナシの旧一般職(地域別で募集)200~400人
③総合職C=ホールセール部門の契約社員(IB、マーケット、リサーチ)30~50人
④FA=フィナンシャルアドバイザー(原則、中途のみ)

全体で2015年605人、2016年662人、2017年652人を採用(詳しい内訳は非開示)。

総合職Bは旧一般職の女性であるが、野村はかつて女性の昇進差別で敗訴した歴史があり、建前上は「AとBの違いは転勤可能性の有無だけ」と公表する。現場の運用は昔のままと考えてよい。

 総合職C(ホールセール部門)については、大学3年の夏冬インターンで約半数が内定している。これは人材獲得で競合する外資証券がそうしているので、バカ正直に経団連ルールに従っていたらババをつかまされるだけだからだ。

総合職Aでリクルーター採用のターゲットとなっている大学は、早慶はじめ私大が多く、東大一橋、関関同立、MARCHまでの主要大学。リクルーターは、最大で各大学20~30人ずつに推薦状を書き、例年、最終的に計80人ほどがリクルーター採用で入社するという。

ところが、電通で新入社員の過労死問題が発生した2016年は、リクルーター経由で内定を出したものの、学生側からの内定辞退が相次ぎ、大学によっては結果的に8割がたが入社しなかった、というのだ。

そこで、内定辞退されないよう、2017年からは、リクルーターを補佐する「キャリアアドバイザー」(20代若手社員)を各大学別に3~5人ほどアサインし、体制を強化。より丁寧に選考するようになった。2018年も継続されている。

キャリアアドバイザーは専任ではなく、通常業務との掛け持ち。株式市場が終わる15時~18時の時間帯に、喫茶店で学生に会う。この学生は、特定大学で開催される会社説明会でエントリーした人や、大学の体育会経由で情報を得てエントリーした人などだ。

「リクルーターは、まずは体育会から攻めていく、と言っていました。コネがなくても部室を訪問していく。自分も体育会出身で、体育会経由でリクルーターに会い、3月に最初に会って、4月1日に内定。もともと野村を第一希望と考えていたので迷いませんでした」(中堅社員=30代)

飛び込み営業は普段の営業活動で鍛えている得意技なので、どんどん押しかけていく。新規顧客開拓に比べれば、大学の体育会を訪ねてチラシを配ってエントリーさせるのは、朝飯前だ。もちろんリクルーターは優秀な営業マンばかりである。

キャリアアドバイザーとリクルーターは、1か月あたり50人といったペースで、1:1で1時間ずつ話を聞いて、5段階評価をつけていく。ここで1と2がつけば、即落選となるため、事実上の入社一次面接である。ファーストコンタクトとして、計2,000人超に対し、喫茶店で1時間ずつ会っている計算だ。

この選考作業に関わった社員に、その選考基準や質問される内容を聞くことができた。近年の学生の志向性の変化を象徴するようで、興味深い。

「学生は、8割がたナメてる感じです。よく聞かれるのは『リテールやってるんですか?』という質問。国内でドブ板営業をするイメージを持って、聞いてくるんです。それが、最終的な内定辞退の原因にもなっていて、競合は商社か銀行が多い印象です。Aコースで入ると海外でキャリアを積める可能性は実際に低いので、海外志向の学生はCコースに応募すべきでしょう。この面談の評価基準は

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コールセンター1年の2020/10/05 20:53会員
対応策について2018/05/19 07:53
対応策間違ってない?2018/05/18 23:41
  2018/05/18 10:50
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