羽田管制トラブル、利用者に補償なし
先月、飛行機が60分遅れて1万円の補償金を貰った例を身近で聞いていたので、90分遅れた私の場合はどうなるのかと思い、さっそく羽田空港の代表電話に尋ねてみた。
「その件は、国土交通省のほうをご案内しております」何件もあったんだろうな、と思わせる対応だった。
国交省東京航空局の東京空港事務所(03-5757-3000)を案内される。
--私は90分遅れたせいで、タクシーを使わざるを得なかったのですが
「ホテルやタクシーを使われた方が多数いらっしゃったようですが、補償はしていません」
--人為的なミスだった訳ですよね
「新聞報道ではそうなっていますが、詳細は調査中でまだ確定していません」
--いずれにしても、管制塔のトラブルだから国の責任でしょう
「我々が管理しているところであることは間違いありません」
--なぜ補償しないのですか?JRも各航空会社も、必ず相応の補償はしますが
「航空会社は、利用者との間の約款のなかに規定があるが、我々は国の出先機関で、空港の維持管理を目的としており、制度のなかで、弁償や補償についての法律がないのです」
--勝手に国が想定していたことにしか対応しないのはおかしい。法律を知りたい。
「国家公務員法、財政法、会計法、空港整備特別会計法、航空法などで定められていますが、そのなかでは、利用者に弁償することはできない」
--6万人もの足に影響が出て、誰も責任をとらないのか。これでは、また同じことが起きる。
「数年前(2003年3月)、FDPというコンピュータシステムが止まったことがあったが、利用者には一切補償していない」
(注:朝日新聞によれば、当時、1日に計200便以上が欠航した)
--政治家を動かして法律を変えるしかないわけですね。でも、消費者の立場で動く政治家は、この国には残念ながらほとんどいないのだから、変わらないことになる。
「……」
--乗客から、同じような質問は来ていないのか
「同様の問いあわせが、何件も来ていますが、同じお答えをしています」
--何事もなかったかのように片付けられるのは納得できない
「……」
新幹線は、遅れると、文句を言った人にだけに特急料金が返却される。4年ほど前、長野新幹線が止まって足止めを食らった際、私はこれを知らずに、返却を受けなかったことがある。
海外諸国では、いわゆる途上国を中心に遅れるのが当り前の国も多いので、そんなものかと勝手に思い込んでいた。
しかし、日本は新幹線の料金は、たとえばフランスの2倍もする 訳だから、考えてみれば、それ相応のサービスを求めるのも当然なのだ。
当時、知識というのは重要なものだとつくづく感じた。
一方、航空会社は、約款にもとづいて補償を行う。原因が何であれ、被害を被った利用者としては知ったことではない。責任ある誰かに補償を求めるのは当然だ。私と契約関係にあった本丸のJAL(東京03-5460-0522)に聞いた。
--補償の件は、約款 のどこに書かれているのですかこの先は会員限定です。
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読者コメント
アメリカでも直接契約関係がない主体に対して損害の補填を求めるなら、裁判起こすしかないわな。別に日本人が我慢強い、仕方がないと思いこめる国民だから、ということではあるまい。
> 当時、知識というのは重要なものだとつくづく感じた。まったく同感です。無知ゆえに損をかぶらされることがなんと多いことか。(恐らくは本来の策定の趣旨を外れた)約款の誤った運用を押し通されることの多さに辟易させられます。契約関係にない人物が約款に定められた範囲以上の賠償を求めるような例も稀に目にしますが、そうした無知の行使者と正しく知識を持つ人々を同一視する姿勢には憤りを感じます。
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