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楽天 TOEICが変えた企業カラー「英語公用語化の前後で断絶がある」

情報提供
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楽天の内定通知書。しっかりした紙で、デカい。やはり英語がメイン。
 英語公用語化、すなわち「TOEIC800点以上の強制」前後と、「電通事件」前後、という2つの大きな断絶がみられるという楽天の労働環境。海外経験者の激増によって社員の国際化が進み、「ザ・営業」だった企業カルチャーに顕著な変化が起きた一方、楽天が海外展開で挫折したこともあり、「英語を使うのは上司の社内向け発表資料を代わりに作成してあげるくらい」というコントのような状況も発生。2010年代に新卒入社し、同社の王道キャリアである「楽天市場」地方支社に初期配属後、複数拠点でECコンサルを務めた元社員(数年前まで在籍)に、近年の変化や期待値とのギャップについて聞いた。
Digest
  • カード20枚、ペイ7店、出店3件…泣きながら達成する研修
  • 受話器が飛んできた「TOEIC前」と、「TOEIC後」の断絶
  • 「メンツ違うね」TOEICが企業カラーを変えた
  • スピーキングはVersant(バーサント)50点以上
  • 電通事件の前後で変化「PC閉じろ!20時過ぎるぞ!」
  • 「辞めることがネガティブに思われない」採用
  • 内定者『ガンガンいこうぜ!』『助け合い大事だろ!』
  • 志望順位5位でも「楽天市場」配属
  • 広告出稿額と売上総額を追いかける日々
  • モチベーターとしての役割「あの店から広告出たの?」
  • 新卒がビジネス英語を伸ばす機会はほとんどない
  • 3年待てればオープンポジション制度
  • 転職先は3つの方向性
  • 計画的な月1の有休消化
  • 地方活性化「二人三脚で」の理念で地方勤務は多い
  • トップダウン体質で現場と温度差「明日から電話するから」
  • 「同期で連帯して上に言える」カルチャー
  • 広告をたくさん売っている人が一番のエリート
  • 「チームで達成」を重視、27歳管理職も
  • 会社都合の転勤なのに家賃は完全自腹

カード20枚、ペイ7店、出店3件…泣きながら達成する研修

社員1人あたり平均で年68.8時間受講(2019年12月期)と公表されている、楽天の研修。この数値を引き上げているのが、新入社員が最初の3~4か月ほどで集中的に受ける初期研修である。研修といっても、会社の利益に直結する実践的な営業・勧誘活動が多く組み込まれているのが、営業中心の楽天らしいところだ。

「新入社員全体の共通研修が4~6月にあって、楽天カードの新規申し込み獲得ノルマが、私の代で1人20枚。これは、同期で2割程度を占めるエンジニア職採用の人も含め、全員でした。SNSの使用は禁止で、カードの申し込みをSNSで募集した人は、辞めさせられていました。同期で2割ほどを占める外国人社員は、ノルマ5件。母国に住む親戚や友人らは国籍の問題でカードを作れないハンディが考慮されていました」(元社員、以下同)

つまり、親兄弟・親戚・地元・友人など、地縁血縁を刈り取る形での勧誘をさせることを意味している。保険会社の営業と同じだ。4月入社の新卒社員だけで約300人×1人20枚以上なので、6千枚超もの新規カードが毎年この研修で、確実に申し込まれる仕組みだ。

「楽天スマートペイ」導入研修のノルマは7店。登録だけで利用されなくてもOK。Square(スクエア)の競合商品。

「次に、ビジネス総合職とエンジニア職に分かれた研修があり、エンジニア職のほうは、データ管理などを学びます。ビジネス総合職のほうは、『楽天スマートペイ』というキャッシュレス決済(スマホやタブレット端末とつないで利用するタイプ)をお店に導入してもらう営業研修で、ノルマは1人7店。お店側の初期費用がタダなので、利用しない限り料金は発生しませんから、これはそれほどキツくないです」

さらに、その次に待っている第3弾の営業ノルマが、難敵だった。

「一番キツいのが、楽天市場に新規出店して貰う『出店営業3店』のノルマです。帝国データバンクの電話先リストをわたされて、1か月半くらいの間に3店の成約をとれ、というもの。新規に出店すると、最低でも初期費用15万円くらいがお客さん側の出費としてかかりますから、年会費無料で入会ポイントも貰える『楽天カード』や、初期費用無料の『楽天スマートペイ』とは、お客さん側の負担と本気度が違います。なかなか決められず、詰められて泣いちゃう人もいる研修です」

『楽天市場』現在の月額費用(ランニングコスト+固定費)。やはり最低でも15万円弱のキャッシュアウトが発生する

《世界一のインターネットサービス企業》を目指して国際化を急ぐ楽天は、外国人社員が全体の24%(1778人/7288人、2019年12月)を占めるまでになった。顧客とのコミュニケーションが少ないエンジニア職に多く在籍するが、新入社員のビジネス総合職でも、1割ほどを外国籍が占める。

体育会系の営業カルチャーはそのままに、英語公用語化や外国人採用増といったグローバル化と両立させるのが、三木谷社長の方針だ。よって、この出店営業研修では、外国人社員を特別扱いしない。

「新卒の外国人は、みんな日本語を話せますが、大学から日本に留学したパターンが多いので、そこまで流暢ではありません。リアルに泣きながら、やらされていました

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楽天はESG(環境・社会・ガバナンス)情報の発信に努めると宣言し、ESGデータブックを開示。世界一のインターネット企業を目指しているだけあって、他のローカル企業とは一線を画す情報開示姿勢を示している

楽天の末端組織体制

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