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楽天市場“ECコンサルタント”広告販売ノルマの葛藤 「楽天だけじゃダメ、と正直に伝えます」

情報提供
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「成功の5つのコンセプト 世界一のインターネットサービス企業へ」に加え、ブランドコンセプトが四文字熟語で5つ記されている。
「買いたくないお客さんにも、必要のない広告を、お願いして買って貰わなきゃいけない。ジレンマがありました」――。楽天市場のECコンサルは、大きく2つのノルマを課されている。1つは、自分が担当するお店に、楽天市場内の広告枠を買ってもらう額。もう1つは、担当するお店の売上額。ようするにノルマの半分を自社広告販売で占め、お店の売上増に全集中できない仕組みだ。広告効果は問われず、お店と利害相反も起きるが、担当者個人に毎月支払われるインセンティブボーナスや出世スピードに影響が大きい裏事情もある。数年前まで在籍していた楽天の元社員に、プロに徹しきれない立場に置かれる現場社員の苦悩と葛藤について、じっくり聞いた。
Digest
  • 半分は押し売り営業マン
  • 「効果があるのだ」根拠のない暗示をかけて売る
  • 100店で広告売上1千万円/月も
  • EC全体で年3.9兆円の売上規模
  • 広告を売るための営業トーク
  • 「楽天だけに出してもダメです!」
  • 楽天の賢い使い方
  • ビッグデータからPB開発するアマゾンとの違い
  • 担当ECコンサル個人のカラーが出やすい楽天
  • 効率&コストのアマゾン&ヤフー

半分は押し売り営業マン

ECコンサルタントのKPI(Key Performance Indicator=重要評価指標)は、担当する全店に対する、①広告出稿額(数と金額の昨対)と、②売上総額(流通額の昨対)、の、2つである。

コンサルタントといえば聞こえがよいが、広告販売のノルマを課されており、半分は普通の営業マン、それも押し売り系だ。本来は、「担当するお店の売上と利益を増やすこと」その1点に全集中するのがプロフェッショナルのコンサルタントであり、そのための1つの「手段」が楽天に出す広告でなければいけない。だが楽天では、その広告が「目的」になっている時点で、お店との利害相反は免れない。

「利益率の高い自社の広告枠を売るのが、楽天にとって一番儲かるんです。『楽天市場』上のバナー広告や特集企画の広告、楽天が配信するメルマガ内のテキスト広告等は、仕入れにコストがかかっていませんから。楽天は民間企業なので、企業の論理としては、広告を売らせようとするのも、広告を多く売るECコンサルタントを社内で一番のエリート扱いで昇進させるのも、理解はできます」

短期的にはその通りだが、中長期的には共倒れにつながりかねない戦略だ。ただ、社内の評価指標がそうなっている以上は、現場社員としては如何ともしがたい。会社のために働くサラリーマンの宿命であり、顧客のために働くプロフェッショナルとの明確な違いが、ここにある。常時、前年比2ケタ増の目標を課される広告販売額が未達だと、上から詰められるし、評価も下がるし、ボーナスも減るしで、居心地が悪い。

そのため、相談に乗るふりをして、言葉巧みに必要のない広告を、自身のノルマ達成のために売りつけることもある点には、お店側は最大限の注意が必要となる。これは、お店との共存共栄というよりも、楽天の短期的なカネ儲けを最優先に考えたビジネスモデル設計を行っている三木谷社長の経営方針の問題である。

「効果があるのだ」根拠のない暗示をかけて売る

現場は、しばしば悩むことになる。

「広告ノルマを達成するために、しょうもない広告枠を売らなきゃいけない、というジレンマはありました。トップページにあるような、効果を期待できる『いい広告枠』は、すぐに売り切れてしまう。そうなると、メルマガ型の広告など、あまり効果を見込めない広告も売らなきゃならない。それを、出店者さんには『これで商品が売れますよ』と、思ってもいないことを言って、売り切らなきゃいけない。違和感がありました」

いったい、どうやってこの葛藤を解決しているのか。

「楽天市場で『デキる』とされる営業マンは、『これは効果があるのだ』『お客さんのためになるんだ』と、根拠のない暗示を自分にかけて売っていました

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ケータイの料金プランと同様、複雑化してトータル費用をわかりにくくしている出店プラン。「原価6割の店で売上の25%を楽天が引いていくケースも、普通にあります」

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