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05/09 2012
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『21世紀のキャリア論』(高橋俊介著)

 

 

 最近、熟読した一冊。この分野の第一人者である高橋俊介氏のキャリア論は異論がなく、もっとも参考になるのでコンプリートしている。ここ数年は軽い本が連発されていたが、今回は内容が濃かった。

 アカデミックな世界から出ず、鉛筆一本売ったことがない人のキャリア論は想像の世界に過ぎず、地に足が付いていないが、第一線で稼いできた高橋氏は説得力が違う(外資エグジット組の1人)。

 面白いのは、キャリパーの調査結果だ。中国、インド、日本、アメリカの動機調査結果が比較されている(左下図参照)。

 ややもすると、「主張力」は弱いが「感応力」が強い日本人が中国に行って、「主張力」は強いが「感応力」が弱い中国人に指示命令をしなければいけないという場面がビジネスでは出てくるわけで、これは非常に厳しい状況になってしまう。中国人には何度もいわないと伝わらない。相手のことを理解するより、自分が主張したいのだから。
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 これは実際に中国・インドを旅したり現地の人と働いたりした人には納得の結果だと思う。歴史的背景から、日本人とは「動機」が違う人たちなのだ。
 日本人が中国人より圧倒的に強い動機要因は、「感謝欲」と「徹底性」である。人に感謝されたいという「感謝欲」はおもてなしに、手を抜かないという「徹底性」はものづくりに向いた特性である。これを海外でどう伝え、どう再現するのか。日本人とは違う動機要因の環境でうまく再現するには、派遣されるリーダーに十分な支援が必要だろう。
 僕は『10年後に食える仕事食えない仕事』のなかで、インド・中国の特徴として以下5点を挙げた。
・日本など全く話にならないほどの「超・格差社会」の容認。

・人材の流動性が異常なほど高く半年~数年で転職するのが当り前の「短視眼的キャリア」。

・男女の差なく向上心もハングリー精神も旺盛な「超キャリアアップ志向」。

・チームワークが苦手でチームワークに意義を見出さない「超・個人主義」。

・顧客サービスの概念がほぼ存在しない「身分&階層社会」(中国の共産党支配や戸籍制度、インドのカースト制度)。

 そのうえで、
 したがって、インド人・中国人に共通する「弱み」の部分で、かつ日本人にとっての「強み」の部分にフォーカスをあてて伸ばせば、それがすなわち、「日本人メリット」になる。上記のなかでそれを見出すと、最後の2つ、すなわち、「チームワーク力」と、「顧客サービス力」である。

としたが、それを裏付けるような調査結果と言える。チームワーク力=ものづくり(徹底性)、顧客サービス力=おもてなし(感謝欲)、である。

 このように、中国インドとは違うわけだが、本書によると、実は、日本と欧米とは、歴史的な背景や原因は違えど「仕事観」が似ているのだという。

 文明の生態史観からいうと、日本と欧米はむしろ「仕事観」は似通っていて、その間にある新興国が異質世界である。キャリパーの四か国比較のグラフを見ても、実は日本とアメリカは近く、中国やインドとの違いのほうが目立つ。日本と欧米という見方をよくするが、新興国に出ていくときに重要なのは、日本や欧米のいわゆる旧大陸の両側の価値観でできあがった社会と、新興国の社会は違うという認識である。
 この仕事観についての論考はかなり面白かった。原因の違いは、ヨーロッパではカルバニズム(死後の世界で神に救われるには、神から与えられた仕事を一生懸命やって勤勉と貯蓄に励め)であり、日本では儒教(儒教のなかの朱子学が江戸時代に政治主導で導入され、「孝」=家庭より「忠」=会社という本来の儒教とは逆転した価値観が根付いた)だったことだ。

 ヨーロッパと日本はこの仕事観において近く、インド中国の新興国の人たちは日本から遠い。この仕事観の違いは、今後の労働市場グローバル化の流れを考える際に、インド中国インパクトから我々日本人がどうやって参入障壁を築くか、「彼らの弱みで、かつ日本人の強みは何なのか」を考える際に参考になるので、私の本と併せて是非お読みいただきたい。

 
06:59 05/09 2012 | 固定リンク | アクセス数(3394) | ブログトップへ | <<前へ | 次へ>> 

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ココで働け! “企業ミシュラン”

渡邉正裕(WATANABE Masahiro)
(株)MyNewsJapan代表取締役社長/編集長/ジャーナリスト。ほぼすべての主要企業内ホワイトカラーに情報源を持つ。現役社員への取材に基づき企業の働く環境を一定基準で評価する「企業ミシュラン」を主宰。日経新聞記者、IBMのコンサルタントを経てインターネット新聞を創業、3年目に単年度黒字化。
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