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10年後に食える仕事-2 「日本人メリット」で食える仕事の条件

情報提供
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グローバル化時代の職業マップ概念図
 このように(前記事を参照)波にのまれて去っていく者もいれば、グローバル化の波と無縁の者もたくさんいる。現状では公務員(教師、消防、警察、各役所の職員…)がそうだし、民間でもJR各社など主要な鉄道系の正社員、また個別企業でいえば、東京ディズニーランドを運営するオリエンタルランドのような、サービス業の分野で、競合がおらず圧倒的なブランドを築いている企業の正社員は、IT化もグローバル化もどんと来い、という感じである。
Digest
  • 巨大な国内市場としての日本
  • 「日本人メリット」とは何か
  • 血みどろの戦いを避けよ
  • 「日本人メリット」の条件
  • チームワーク力
  • サービス力
  • ヒトの流入規制

さらに、無縁どころか、むしろグローバル化の恩恵を受け、活躍の場が広がって、高い給与を貰える仕事に就いている人もいる。今だったら、一時的なものではあるが、世界的な資源バブルの恩恵でボロ儲けしている商社マンや、世界的に市場拡大中という期待感から国内の賃金相場がバブル気味に跳ね上がっているスマートフォン向けのゲーム開発者などだ。

それでは、「グローバル耐性」が強い仕事、つまり経済のグローバル化が進み、フラット化した世界においても食べていける仕事とは、どのような条件を兼ね備えた仕事なのか。本章では、「10年後も食える仕事」の条件について説明しよう。

巨大な国内市場としての日本

大前提として重要なことは、1997年のアジア通貨危機(IMFショック)を境に小さな国内市場に見切りをつけて人材が海外流出した韓国とは大きく異なり、日本には、国内市場が巨大で、1400兆円もの個人金融資産を持った1億2千万人超の人口がいるということだ。しかも、移民を受け入れなくても今後30年以上は人口1億人を維持すると推計されている。つまり、日本市場で日本人を相手にするビジネスニーズが、我々が生きている間は十分に高水準のまま推移するのである。

現在20歳の人が70歳で労働市場からほぼ引退するのは、50年後である。厚生労働省の推計によると、50年後の2061年の日本の人口は約8300万人である(『国立社会保障・人口問題研究所』※出生率、死亡率が変動しない場合)。1億人を割るのは2046年とされ、2012年現在25歳の人なら、59歳になるまで1億人の国内市場があるわけだ。

つまり、日本語圏での日本市場向けの仕事に就けて、かつ外国人よりも優位に立つことができれば、十分に食べていけるわけだ。この前提をもとにグローバル化したなかでも食える仕事の条件を考えると、おのずと答えは出てくる。

「日本人メリット」とは何か

分かりやすいように、究極的に経済のグローバル化が完了した「国境なき世界」を想定してみよう。そこでは人類70億人が、日本を含むあらゆる国の労働市場に、当たり前のようにアクセスできる。ハングリー精神旺盛な中国人やインド人は、豊かさを求めて、賃金水準がアジア一高い豊かな国・日本へと、雪崩を打って押し寄せてくる。

中国人もインド人も10億人単位で存在し、高等教育を受けた優秀な層が上位1割だけとしても、その2国の優秀層だけで、日本人全体の人口を上回る。生まれたときから豊かでハングリー精神を失っている平均的な日本人が、これらの新興国人とハンデなし、横一線でまともに競争したら、残念ながら勝ち目はない。超優秀な一部を除いて、多くの日本人は失業してしまうだろう。

ところが神も心得たもので、『バベルの塔』の話ではないが、そのようなことにはなっていない。現実世界では、各国で言語も文化も異なり、各国政府が国益を追求して、労働者の参入規制を行っている。たとえば外国人が中央政府の官僚の職に就くのは不可能だ。どんなにグローバル化が進もうが、言語や文化、そして国による規制が参入障壁となって活躍できない職業は存在し続ける。

たとえば超優秀な中国人が3年で日本語をマスターして朝日新聞の記者になったとして、日本でスクープをとれるだろうか。日本の政治家や官僚はもちろん日本人である。警戒して、あえて中国人記者に重要な情報を一番最初に話すとは、到底考えられない。ましてや日本語ネイティブでない以上、名文家として『天声人語』を書けるようにもなれない。

また、たとえば超優秀なインド人が3年で日本語をマスターし、住宅メーカーの営業マンになったとして、日本市場で活躍できるだろうか。顧客は同じ積水ハウスの1億円の家を買うのにも、複数の住宅展示場を回って、信頼できる営業マンを慎重に選ぶ。「この人は日本にいつまでいるのか。買ってから5年後に問題が発生したら、ちゃんと対応してくれるだろうか」と思われて、一生に一度の買い物を、肌の色が違う外国人に託すことには躊躇するだろう。同じカルチャーを共有する日本人のなかから担当者を選ぶほうが安心だからだ。

一方で、たとえば航空会社のパイロットが日本人かインド人かを気にする乗客はいない。顧客が求めるのは、安全運行と機内サービスに対する適正料金だ。もっとも重要なことは、その会社の飛行機に事故が起きないことである。日本で羽田から大阪に飛ぶ飛行機を選ぶ際に、パイロットの国籍などはどうでもよろしい。

つまり、ある特定の職業においてのみ、生え抜きの日本人というだけで、仕事上で絶対的な優位に立てるメリットが生じる。このような、「日本で生まれ育った日本人でないと身につけづらい特殊性」を、本書では「日本人メリット」と呼ぶ。それは、日本人として日本に生まれ、小中高の教育と家庭生活で身につけたカルチャー、「日本人DNA」とも言うべき能力を意味する。

これは特段の訓練はなくとも知らず知らずのうちに身についているというオトクなもので、だからこそ認識していない人が多いのであるが、仕事に必要となるスキルの一種であることは疑いがない。

血みどろの戦いを避けよ

今後、グローバル化が進めば進むほど、この「日本人メリット」の価値が再認識されるようになるのは確実だ。なぜなら、日本人メリットを活かせない仕事では、世界70億人のなかでの激烈な競争になっていくが、日本人メリットが活かせる仕事ならば、マックス1億人と、いきなり70倍も競争率が下がるからだ

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日本人メリットが大きい職業

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hkcha2012/07/19 03:11
うちだ2011/12/30 15:16
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