「新型うつ」や「入社3年以内で精神疾患で労災認定、過労自殺」などNHKが連日、若者の労働問題を特集している。僕は、なんでも社会(親や会社を含む)が悪いと考える派だ。自分自身を振り返っても、ずっとそう思ってきた。政治や政策を大学で学ぼうと思ったのも、社会が悪いから自分が変えたいと思ったのである。
<やめようと思ったことはない。(上司を)やめさせてやろうと思ったことは何度もある>
「会社をやめようと思ったことはあるか」という質問に対して、私は入社2年目に、こう答えている。そして、そのまま実名入りで『週刊朝日』に掲載された(左下)。朝日の市川裕一という記者が「匿名にしましょうか」と電話で弱気なことを言ってきたので、「実名で構わないですよ、何も後ろめたいことはないですから」と告げたためである。
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これは大学の講演で「SFC生はどう見られているのか」という事前リクエストがあったので作成した資料である |
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実際、何が悪いのだ。新聞記者が寄って立つところの言論の自由とは、堂々と皆の前で実名で意見を表明できることにある。そういう社会がよい社会だと今でも思っている。この記事では社名すら出ていないので会社に不利益は一切ない。
ところが、本社から連絡を受けた部長は、記事に出ていた私のHPの閉鎖を命じ、この問題の処理を誤った結果(私にウェブ利用の規定を作ると言っておきながら作らなかった)、2年後に再び発見して、裁判闘争になった。会社に僕の才能を活かそうという発想がないことが分かったので、活かすためにさっさと転職した。会社に残っていたら、ベストセラー作家どころか、本の一冊も出せなかっただろう。
僕は自分のサイトを閉鎖するつもりは当時から毛頭なかったので更新を続け、今ではこのMyNewsJapanで自由に書きたいことを書き、日経の役員よりもずっと稼いでいる。もし会社の言いなりになって社畜になっていたら、今の私はない。信念を曲げてはならず、会社の言うことを聞いてはいけない、というよい見本である。
ところが最近報道される新入社員は、精神的に参ってしまうらしい。NHKなどを見ていて思うのは、社会が、親が、会社が、正社員という型にはめこもうとし過ぎ、若者の側も、それをまに受けてしまっている、ということだ。
会社の言うことが正しい、上司が正しい、正社員として働き続けるのが正しい、それに従えない人、付いて来れない人は間違っている…。そんなわけが、ないのである。ワタミも、ユニクロも、労基法を守れない違法企業であることは考えればすぐわかる。
自分の頭で考える教育が日本の義務教育にはないので、優等生的な日本人は、答えは1つしかないと洗脳されている。だが、今でも僕は、会社(日経)は時代遅れで間違っていたと思っているし、上司の対応は間違っていたと思うし、それに盲目的に従おうとした親はバカそのものだと思っているし、正社員などというポジションに居座るのも間違っていると思っている。だからぜんぶ逆のことをやって、今の自分がある。
ぜんぶ、社会が悪いのだ。でも、だからと言って何もしなくていい理由にはならない。思考停止してはいけない。自分のほうが正しいのだから、間違ったことをしてる奴らより成功して当然だ、と考える。お天道様は必ず見ている。悪い奴らには天罰が下る。そう思って反対の道で頑張ればいい。
「自分が間違っている、会社についていけない自分が悪い」などと思うから鬱になるのである。まずは正しいのは自分だ、という信念を持とう。日本の教育も、親も、会社も、正社員の既得権を守る国も、間違いなくぜんぶ間違っているのだから、そんな間違ったものに自分を合わせようとしたら、まともな人間である限り、精神的におかしくなって当然なのだ。
自分の頭で考えて、自分のほうが正しい、社会が間違っている、と思えばラクになる。そして、正しいことを実践する。社会のせいにして、他人のせいにして、怠けろ、と言っているのではない。
若いうちは失敗してもやり直しが利くのだから、試行錯誤を続けるのだ。豊かな社会になって食うに困ることはない。若者はもっと、社会的洗脳から解き放たれて、「なんとなく正しいことだと思わされている嘘」とは反対の道を突き進んでほしい。