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「田舎で働き隊!」で体験した徳島県上勝町の田舎暮らし

情報提供
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日本の棚田100選にも選ばれている上勝町の棚田。田舎の風景は優しく美しい
 田舎暮らしをしたいと思いつつも、なかなか実行出来ないでいる人は多いのではないだろうか。僕もそんな田舎暮らしに憧れる1人である。そんな折、農林水産省と財団法人日本システム開発研究所が田舎暮らしを支援する「田舎で働き隊!」という田舎体験企画を発見。四国徳島県の上勝町で、1週間の田舎暮らしを体験してきた。この“役人の天下り先財団”が手掛ける事業、どれだけの意味があるのか、参加してみて実際に感じたことを報告する。
Digest
  • 農林水産省が田舎暮らしを支援する「田舎で働き隊!」
  • 田舎町で知られる徳島県の上勝町へ
  • 元気な高齢者達
  • 過疎と高齢化や間伐材など、田舎がかかえる問題点とその美しさ
  • Iターンで町に住む若者が多い理由 家賃はなんと9千円!
  • 東京からのIターン女性にインタビュー
  • 他にもある田舎暮らしを体験するプロジェクト
  • 自分で考える田舎でのビジネス起業

農林水産省が田舎暮らしを支援する「田舎で働き隊!」

 農林水産省が都会に住む人と田舎を繋げようと支援する事業「田舎で働き隊!」をご存知だろうか。

 田舎暮らしに憧れる1人として調べてみると、僕のように田舎に憧れながらも、仕事はどうしよう?など不安を持つ都会人。そして地元の若い人は都会に出て行ってしまい過疎や高齢化に悩む田舎。その2つをマッチアップさせようと、農林水産省が幾つかの仲介機関を通して支援をしている。

神奈川県の鎌倉市に住む僕も、まさにその通り田舎暮らしに憧れながらも不安をかかえる1人である。たまたま財団法人日本システム開発研究所の募集を知り、3月22日から29日までの間、参加してみることにした。

 というのも、飛行機代など研修地域までの交通費を全額支給してくれる他、現地の活動費(食事代・宿泊代など)として1日7,000円を支給してもらえるのだ。

この財団は昭和45年設立。国からの補助金・委託費等交付額が2億円(平成19年度)で、理事には元建設事務次官、元自治事務次官、元文部事務次官、元農林水産事務次官、元通商産業省通商局長が名を連ねるという典型的な役人の天下り先で、日本の財政を蝕む元凶のような組織だ。

財団の目的も「我が国経済・社会が要求する国家的課題に対し、有効な方策を提供し、もって行財政の効率化に資する」と曖昧かつ意味不明。「田舎で働き隊!」の事業が行財政の効率化に資するとは考えにくいが、その点も、実際に参加してみたうえで検証したい。

 さて、この財団がコーデーィネイトするのは四国にある4つの町だ。その受け入れ先と研修内容は、以下の通りであった。

Aコース 徳島県勝浦郡上勝町
     NPO法人ゼロ・ウェイストアカデミー
   「農山村資源を活用した循環型「ゼロ・ウェイスト」商品の開発」

Bコース 香川県高松市
    NPO法人どんぐりネットワーク
   「里山地域の生活体験と里山の保全活動プログラム企画
    運営実践」

Cコース 香川県東かがわ市
     NPO法人東かわが市ニューツーリズム協会
   「地域名産大豆“フクユタカ”ほか販売促進プロジェクト
    の企画提案」

Dコース 愛媛県今治市
しまなみスローサイクリグ協議会
   「一味違うしまなみスローサイクリング
         広報メディア制作・営業支援」


 それぞれ興味深い内容と場所ではあるが、友人が以前、取材して絶賛していた徳島県の上勝町を研修先として選ぶ事にした。

田舎町で知られる徳島県の上勝町へ

 四国、徳島県の中部にある上勝町(かみかつちょう)。この上勝町という町は昭和30年代には人口が6500人だったのが、今は2000人になってしまい、尚かつ人口の半分が65歳以上のお年寄りという過疎と高齢化が進む典型的な日本の田舎町である。

 ただ、他の田舎町と違うのが、近年、ゴミゼロ運動や「いろどり」という葉っぱを料亭の「つま」として利用するビジネスなどが、日本全国から取材にくるほど有名になっている町である。

 移動日の翌日、まず上勝町を知るべく、我々、研修生6名を受け入れてくれた NPO法人 ゼロ・ウェイストアカデミー にて、その活動現場を見せてもらった。

まず「ゼロ・ウェイスト」という言葉は、「無駄」「浪費」「ごみ」がゼロであるという意味で、その概念は、イギリスの経済学者であるRobin Murray(ロビンマレー)氏の著書『Zero Waste』(翻訳書『ゴミポリシー』)によるものだそうです。

 実際にゴミをどのように扱うかをこの「ゼロ・ウェイスト」に基づいて考えると、燃えるゴミ、燃えないゴミ(=埋め立てるゴミ)として処理されているゴミを、リサイクル、リユース、堆肥化の徹底によってゼロに近づけるという実践になるのです。

 その実践として上勝町ではゼロ・ウェイストアカデミー(以下ZWA)が中心となって、ゴミを34分別している。それも都会のようにゴミ収集車がゴミ捨て場に集められたゴミを回収するのではなく、住民各自がNPOセンターと隣接する日比ヶ谷ゴミステーションにゴミを持って来て、各自で分別して行くという方法をとっている。(お年寄りや車での持参が出来ない家庭には収集もおこなっている)

 ゴミステーションには素材によってゴミを三十四分別できるようにな箱が用意してあり、住民はその箱の中にゴミを入れていく。母親に連れられて来た子供が一生懸命に「これはここ、これはあっち」と分別する姿は微笑ましい姿であると、ZWAの事務局長である藤井さんが言っていたのが印象的であった。

 実際にゴミの分別を手伝ってみたが、紙ゴミを新聞紙とその他の紙に分けるのは勿論、アルミ缶とスチール缶を分けたり、色の違うビンの分別、また割り箸やペットボトルの蓋の箱などもある。

 上勝町の34分別

 ただ、収集されて来た他人が出した多くのゴミを分別するのはしんどいが、自分の出したゴミをステーションで分別して行くのは面倒くさい作業ではなく、ものの10分もあれば終わってしまう作業だ。

 また、上勝町では生ゴミの堆肥化に町をあげて取り組んでいる。焼却するには最も効率の悪い生ゴミ対策として、6万円する生ゴミ処理機を各家庭の負担1万円にして購入してもらい、あとは町の補助とする生ゴミ処理機の購入費補助制度をいち早く導入し、各家庭で生ゴミの処理をしてもらっている。その普及率は98%に及び、現在、生ゴミの回収は行われていない

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鯉のぼりをリメイク中の清井さん。上勝町に住む元気なお年寄りの代表的な人である。

アーティスト日比野克彦氏が上勝町の杉の間伐材を使って作った射手座造船所

研修生のビジネスプラン発表!町の人達も興味を持って聞きに来てくれた。また今回の研修ではNHK徳島から取材を受けていた。

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