Aa 超優良企業 【よくばり型】
(仕事4.5、生活4.3、対価5.0)
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全日空のパイロット職は1,727人と、それだけで1つの大企業並みの社員数を誇る。その平均年収は、原油高や不況で会社が赤字転落した2009年3月期、前年比95万円下がってもなお2,104万円(2009年3月現在)と、一般ピープルとは別世界。医者、弁護士、会計士はピンキリだが、パイロットは所属企業がJALとANAの大手2グループに集中し労組も強いため、専門職のなかでも待遇面の水準はダントツだ。安定高収入に加え、空を飛ぶ夢を持ち、CA好きな人にとっては、まさに夢のような職場である。
【Digest】
◇助け合い、情報を共有する
◇「機種変」で数百万差がつく
◇職務手当で跳ね上がる給与
◇ヨーロッパ便ビジネスクラスが3万円で
◇アジア便を飛ぶパイロットの「気が抜けない」1日
◇フライト外でも訓練、毎年のライセンス更新
◇半分はCA、GHと社内結婚
◇自社養成と航空大で半々
◇役員にならない限り飛び続ける
◇グループ内格差・社内格差の頂点
◇テロ対策で「何があっても開けないから」
◇助け合い、情報を共有する
他の職業と異なる特徴は、社内で競争がないことだ。他産業では、たとえば同期入社組はライバルであり、競争に勝った者が昇進していく。ところが、ANAのパイロットは運航の安全が第一なので「競争は悪」の考え方をとる。「和を大事にする教育が訓練生時代から徹底されます。仲間を蹴落としてでも、という競争は弊害が多く、安全にかかわる。助け合い、情報を共有する、ということを訓練されます」(中堅パイロット)
具体的にはどういうことなのか。「1日のなかでも、飛行機とCA(キャビンアテンダント=客室乗務員)はそのままでパイロットだけ入れ替わることがあるのですが、引継ぎのときに、飛行機のクセ(右に曲がりやすい、とか)やCAのクセ(性格)を教える。もしパイロット間の競争が激しければ教えなくなるでしょう」(同)
では、パイロットは、何で評価されるのか。確かに、目的は安全運航ただ1つのみ、と言ってもよい。しかも、事故は起きなくて当り前の世界だから、まさか事故の数で評価するわけにもいかない。「安全」という成果に差はつかないので、成果主義にできない。競争が必要ない職種なのだ。
◇「機種変」で数百万差がつく
そこで、評価や人事は「どれだけ乗ったか、というキャリアが一番重要とされ、あとは担当する機種によって差がつきます」(同)。つまりは、年功序列・所属部署主義。上位の新聞社(朝日、日経)や講談社などと似た仕組みになっている。そもそもの水準が高いため不満を持つ人は少ない点も似ている。
パイロットの組織は、4つの機種別だ。つまり、ボーイング747、ボーイング777、ボーイング767、そしてエアバス。ロング(長距離)を飛ぶ777、747は乗務手当(割増残業代のようなもの)が増えて、給与が上がる。
乗った回数、距離、在籍年数で自動的に報酬が決まってくる仕組みだ。同期で差がつくのは、担当する機種の影響が大きい。通常、副操縦士の間に、機種変更をすると、大型機への機種変では突然、200万円くらい年収が上がるという。
もちろん基本給も上がっていくため、簡単に言うと「年齢が上のトリプル(777)のキャプテン(機長)」が一番高い。777はヨーロッパ便など12時間を超えるような長距離フライトが多く、ハードな勤務ではある。
◇職務手当で跳ね上がる給与
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ANAパイロットのキャリアパスと報酬水準 |
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より具体的には、パイロットのサラリーは、本給A+本給B+家族手当+住宅手当+職務手当+調整手当で構成され、圧倒的に巨額なのが、職務手当だ。副操縦士で毎月49万~52万円、機長で76万~85万円。機長になると、職務手当だけで年1千万円になるわけである。
本給Aというのは、標準年齢によって全社的に決まっている。つまり、年齢給である。30歳で.....この続きの文章、および全ての拡大画像は、会員のみに提供されております。
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ANAの職務手当 |
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