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『トヨタの闇』文庫版(増補)発売

情報提供
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トヨタの闇
 『トヨタの闇』文庫版(増補)が5月10日、ちくま書房から発売された(317ページ、735円)。第6章が、単行本発売以降に起こった話をまとめ、その解説をした追記分となっている。トヨタ=日本の戦後経済の象徴ととらえ、米国のトヨタ車問題から日本社会の行き詰まりや閉塞感の原因、戦後日本型統治システムの限界を示した。民主国家ならば本来備えているべき、労組、消費者団体、ジャーナリズム、行政、政治といったあらゆる機能がすべて大企業1社=トヨタの前では働かず、問題を米国に輸出してしまったのである。


レクサス、プリウス、カムリ・・・トヨタを代表する車が、2009年秋より次々と世界中でリコールされ、驚きとともに報じられた。しかし我々は、まったく驚かなかった。既にその相似形が、明確に国内において2007年までに発生していたからだ。

その警告の意味を込めて『トヨタの闇』は発売された。従って、やはりそうなってしまったか、という残念な気持ちはある。

単行本発売後、内野さんが過労死認定されたのはせめてもの救いだったが、2008年6月には『カムリ』開発責任者の過労死認定があり、2010年3月12日には、製造ライン上の『プリウス』車内で40代とみられる男性期間工が遺書を残して硫化水素自殺するという、何かを訴えかけるようなニュースが飛び込んできた。場所は、トヨタ車体富士松工場(愛知県)である。

『プリウス』は言うまでもなく、トヨタを代表する車だ。過労死した内野さんはトヨタの中核工場である堤工場で車体の品質検査を担当していた。

『カムリ』といえば、世界100以上の国・地域で販売される人気車で、北米ではドル箱商品である。そして、カリフォルニアで暴走して4人の命を同時に奪ったリコール車は、高級車『レクサス』だった。事件は、いずれも「トヨタの顔」といえる中心部分で起こっている。

開発者は過労死し、製造ラインでは期間工が自殺、品質管理の社員も過労死。そうやって無理して製造した車を販売するから欠陥車が増えて暴走し、ユーザも亡くなる。

国内でストップをかけるべき各セクターはそれぞれ機能不全に陥り、チェック&バランスも働かない。国交省はリコール隠し容疑による重傷事故でもトヨタの社長を呼び出すことすらせず、政治家は甘いリコール制度を放置し、マスコミは広告宣伝費で懐柔され、消費者は情報公開を求めず、労組は経営側と一体化して雇用と賃金のみに固執し品質や労働環境は後回し。

これが、直視すべきトヨタ自動車および日本の現実の姿である。インターネット新聞『MyNewsJapan』で「マスコミが書けない本当のトヨタ」と題する連載企画を始めたのは2006年7月だった。今後も続けるので、現場からの善意の情報提供をお願いする。

      2010年4月 MyNewsJapan編集長 渡邉正裕
      info@mynewsjapan.com

     FAX:050-3488-3175

マスコミが書けない本当のトヨタ

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読者コメント

山下宣一2010/08/09 15:53
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