民主党の「日本焼け野原政策」とみんなの党のジレンマ
2010年参院選の政策マップ |
この競争政策の促進を横軸にとり、再配分の度合いを縦軸にとる(右図参照)。すると、あるべき争点も目指すべき方向も明確になる。
「大きな政府でも競争政策の促進は可能」という点が重要だ。スウェーデンがサーブを救済しなかったように、潰れるべき企業は潰す。JALは潰す。日本は少子高齢化で福祉にカネがかかるのは避けられないのだから、右上の競争政策促進で財源を生み出し「中福祉・中負担」を目指すしかない。竹中式に米国型にして今以上に福祉を削っていく(右下)のは、ここ数年の小泉改革への反発を考えると、現実的ではないからだ。
ところが、右上のエリアを目指すと明言する政党が一つもない。既存の政党はすべて、左上の「産業保護」「再分配強化」。つまり、国民を甘やかす政治だ。あらゆる規制で全産業を守ります、規制撤廃なんていけません、正社員も守ります、郵政も守ります…。
官公労や連合、全国郵便局長会など、あらゆる特定ロビー団体から推薦状を貰い、しがらみでがんじがらめなのだからどうしようもない。この政策を続けると国債のデフォルトが起こるまで財政赤字の拡大が続く。
唯一、「みんなの党」は、行革による小さな政府と経済成長を打ち出しているので、一番右上のエリアに近い。ということで政策的には、今回は「みんなの党」を一応、支持している。
だが実は、このまま民主党政権が続いて財政破綻させてしまったほうが本質的な改革が進む、というジレンマがある。1997年にIMF下に置かれた韓国が破綻から急成長に転じたように、自力で規制を撤廃していくのは無理なので、いったん焼け野原にしてしまったほうが立ち直りも速いということだ。
だから、みんなの党よりも民主党が勝って、3年以内に日本を破滅に追い込んでもらったほうが、10年後の日本は結果的によくなるのではないか、というのが本音である。幸い、菅首相は第3の道だとして、非効率な公共事業(介護、医療、福祉、教育…)を強化する、と明言している。競争以外の方法で経済が成長することはありえない(そんなことはバカでも分かる)から、日本は確実に破綻に近づく。
だから合理的に考えると、投票先は、事実上の「日本焼け野原政策」を打ち出している民主党になってしまう。だが、政治理念としては「みんなの党」が一番近い。投票行動が本当に悩ましい。
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明治維新のときの西郷隆盛みたいな事をおっしゃる→焼け野原/その代償(失業、犯罪、自殺者の増加など)はでかいと思うので止めて欲しいんだけど・・・。
どこまであってるか分からないが、この2軸は面白いな
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この2010年参院選の政策マップでの米国の位置は右下に寄りすぎ。アメリカに住んでるからここがそんなに右下にいるなんて有り得ない、国内産業ものすごい保護するし。日本の人は分かってないみたいですけど(ま、当然か。)(香港はそれに近いらしいけど。)
「官公労や連合、全国郵便局長会など、あらゆる特定ロビー団体から推薦状を貰い、しがらみでがんじがらめなのだからどうしようもない。この政策を続けると国債のデフォルトが起こるまで財政赤字の拡大が続く。」
「自力で規制を撤廃していくのは無理なので、いったん焼け野原にしてしまったほうが立ち直りも速いということだ。」
この2文非常に共感できます。
事業仕分けに賛成です。
結局自民党が日本をダメにしてきたわけで、自民党のやり方を壊していかないと日本はもっとダメな国になっていくでしょう。
既に日本は世代間格差が激しくなり過ぎてある意味焼け野原になっているようにも感じる。・・第二のロストジェネレーションも今、大量生産中ですし。
官僚はデフォルトでも構わないと考えてるとか。資産家は海外投資、土地や金などで資産防衛。官僚は給料が支給されるので生きてゆける。
そうでないものは、食料さえ確保できないかも。つまり、帝国海軍特攻の「みんな死ね死ね、俺は死なぬ」と考えてるんですな。1億3000万人は面倒みられんと!
GDP世界第2位の経済大国がIMFの管理下に置かれることなんてあるんでしょうか。実際に起こったら、かなり不名誉な事例として歴史に刻まれるでしょうね。
たぶん、そうなる前に諸外国からプレッシャーかけられると思うんですけどね。
このようにマトリクスで一目に比較できる分析を一番知りたかったです。
どのテレビを見ても、正直わかりにくいので…。
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