TBS『お笑いネタの大辞典』（11月12日放映）で波田陽区が斬ったぺ・ヨンジュンファンネタが気になった。以前もこの「冬のソナタ」ネタを見たが、まだやっているからヨン様ネタはウケがいいのだろう。

　「冬のソナタ、冬のソナタ。
　わたしヨン様と結婚したーいってゆうじゃなーい。
　でも、ヨン様と結婚したら苗字『ペ』ですから！
　残念！」といった内容。

　わかっていて、斬っているのかなあ。
　でも、これではヨン様に笑われてしまいます。斬られてしまいます。

　「ヨン様と結婚しても『ペ』にはなれませんから！　残念！」

　高校生のとき、文通していた韓国人に「両親とも同じ苗字だよ」（夫婦同姓）と伝えると、驚かれたことがある。なぜ、そんなに驚くのか当時はよくわからなかった。

　韓国では、結婚しても夫婦どちらも苗字は変わらない。夫婦で苗字が違うのは当たり前で、伝統的夫婦別姓だ。国際結婚の場合も同じ。韓国人男性と結婚しても女性の苗字はそのままで、夫側の姓を名乗ることはできない。男性の姓を名乗る手続きは法律的にあるが、正統的な事情＆理由が必要だ。おそらく男性一族の承諾が得られることはむずかしいから不可能だろう。

　だから、わたしがたとえヨン様と結婚できたとしても、ペ・トシコとなることはない。山中登志子のままなのだ。

　また、家父長制の韓国では子どもはほぼ父親の姓を名乗る。
　「冬のソナタ」でヨン様演じる高校生カン・ジュンサンの母親の名前はカン・ミヒ。たとえば金さんのような韓国で多い苗字では母親と同じ場合もあるが、それは同じ金さんでも「戸籍」をみるとどこどこの「金」とあるので実際は同じではない。同じ血族だと結婚は許されないのだ。つまり、母親と同じ名前であるカンという苗字であるジュンサンは、母親がシングルマザー、「私生児」だと同級生にもすぐにわかるのだ。ここが夫婦同姓の日本と違うところである。

　ただし、ヨン様が日本人女性と結婚し、日本の法律（民法、戸籍法）に則って日本で暮らすのであれば名乗れる可能性はなくはない。

　波田陽区所属のワタナベエンターテインメントに電話してみた。

－－波田陽区さんのネタのことなんですけど、こちらでよろしいですか？

　「はい。どういったことですか？」

－－波田陽区さんが斬っている「冬のソナタ」ネタですけど、ヨン様と結婚しても苗字「ペ」にはならないと思うんですけど・・・。

　「『ぺ』が苗字ではないんですか？」

－－ええ、韓国では夫婦別姓ですから。国際結婚もそうです。ヨン様が日本で暮らすことになったらなるかもしれないですけど、基本的には違うかなと。

　「そうなんですか？」

－－このネタ、何度か見てますけどそういった文句とか届いてないですか？

　「いえ。はじめてです。ありがとうございました」

－－ファンですし、斬りネタすごくおもしろいから、伝えておいていただけますか。

「はい、わかりました」