ヨーロッパでダメ出しされたトクホ、その3『かつお節ペプチドで血圧降下』却下のワケ
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2010年1月14日朝日新聞での全面広告。ほぼ毎月のように掲載されている。 |
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- 新聞一面広告商品もEUでは却下
- 広告のグラフは信用できるか?
- 社員ボランティアが一生懸命効果を出そうとすると…
- EUでの審査の今後の行方
新聞一面広告商品もEUでは却下
1月14日の朝日新聞の36面。でかでかと全面広告を出しているのは日本サプリの「ペプチドエースつぶタイプ」という健康食品だ。
「血圧が高めの方へ」と大々的な表示があり、「日本サプリメントのペプチドエースつぶタイプは血圧が高めの方に適した特定保健用食品です」「約9割の方が継続的にご愛用」とある。
かつお節ペプチドは、かつお節を加工してできるかつお節オリゴペプチドという成分に血圧降下作用があるということで2000年7月に特定保健用食品(トクホ)として許可された。生活習慣病への予防効果を示したトクホとしては最初期のものの一つだ。
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図1 EUの欧州食品安全機関による評価書のサマリーの一部翻訳![]() |
しかし残念なことに、ヨーロッパでEUが進めている食品の健康強調表示(ヘルスクレーム)の審査において、昨年10月「証拠不十分」として却下されてしまった(図1)。
つまりヨーロッパでは朝日新聞の広告のように「血圧が高めの方へ」といった表示をつけて販売できないのだ。
これまでもカルピスの『アミール』や花王の『ヘルシア』などがEUではその効能表示が却下されている例を報告してきたが、日本のマスコミ、特に新聞では、一切情報が出ない。
新聞を開いてみると一目瞭然だが、いまや健康食品関係の広告を見ない日は無い。
トクホも含めた健康食品の市場規模は、ほぼ2兆円。近年落ちこみが続いている出版市場が2兆円割れを起こしているので、ほぼ同規模ということになる。
たまたま手元にあった2011年2月9日の朝日新聞の朝刊を例に取ると、全40ページの中で広告が占めるページは21ページ(53%)。その内訳は朝日新聞広告局が独自作成している『ボン・マルシェ』4ページ分を除くと、1位は書籍・雑誌3.2ページ、2位が健康食品で3ページ、3位が旅行関係2.8ページ 通販2ページ、住宅1ページと続く。
広告全体にそこまでウエートを占めている健康食品だから、効能に疑惑ありという情報は、記事としてなかなか取り上げにくいだろう。
また、テレビでも昼間や深夜帯に放送される健康食品の通販番組を見る限り、影響を受けていることは明らかだ。
ましてやトクホは、一応国が認めたということなので、外国で却下されたとしても国内で販売する限り問題はない。しかし消費者にとっては、外国でどのように評価されたのかという情報は貴重であろう。
では、なぜEUでは却下されているのか
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図2新聞広告やHPで示されている血圧を下げる効果のグラフ。一見効果があるように見える
図3トクホの対象となるのは130~139/85~89以下の正常高値の人たちだが、被験者30名のデータ。収縮期血圧では30名中25名、拡張期血圧では28名が高血圧症
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読者コメント
私もペプチドは何にも聞かない。いつまで宣伝するのか?????
健康食品のセミナー販売は開業したと思えば半年から1年で店じまいというパターン。
薬事法と医師法違反の常習なのか?
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