上海で起業して7年 「天家」島原社長に聞く、中国飲食店経営の実像
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島原慶将社長。新規オープンの国金中心(IFC)店にて。 |
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- 「一番いいものをくれ」という金持ち
- 「二百元の店で、金持ちが来たら1千元」
- 『そんな店の大トロなんて』とは思うけど
- トロに次ぐ商品開発
- 腐りかけたタイを平気で出してくる
- 「年5百万で誰が働くか」中国人の人事管理
- 「ローソン、楽天、ユニクロ…外国人採用はマイナス」
1973年高知県生まれ。日大理工学部海洋建築工学科卒業後、ABCマートの営業、香港の卸会社勤務を経て、2004年、31歳で上海にて創業。2005年、マグロ専門レストラン「天家」を上海にオープン。2011年秋現在、7店舗を展開中。現在は、畜養ミナミマグロ(インドマグロ)が主力の食材。
北京への出店は1年半で潰れて失敗しましたが、現在、上海と蘇州(上海の西50キロにある都市)で7店舗を展開しています。売上は月500万元(6千万円)ペース。1店舗あたりでいうと、月の売上が70万元(約840万円)平均で、平均70~80席、客単価が平均300元くらいですね。来期(2012年12月期)は11~12店に増やして、月1千万元ペースに乗せる計画です。
まずは年内にも、外灘(ワイタン)に高級な寿司屋を出すことになっています。南外灘でやります。カウンターとテーブル1個くらいの小さな店で、30席弱。「天家○○」という名前になるでしょう。これは客単価1千元の予定です。
「一番いいものをくれ」という金持ち
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書籍に描かれた島原社長はトロにこだわりが強かったが、実際にはかなり柔軟化し、現実路線にシフトしていた。その変化が、現在の成長著しい中国市場を象徴するかのようだった。![]() |
現状では、場所がらもあって「新天地店」の客単価が一番高いですね。店長がつけすぎなんです。羽振りのいい中国人客は「4人だから適当によろしく」という頼み方をします。酒も、自分たちでは選ばないんです。「一番いいものをくれ」というかんじで。
今、中国は景気がいいから、そういう客には、4人で4千元とかつけちゃう。そうすると、月あたり10万元(120万円)は違ってくる、というんです。年間で120万元ですから、大きいですよね。
特別メニューだといっても、1人1千元は、僕の感覚ではつけすぎ。4人で4千元、8人で8千元とか、ほんとにつけちゃう。で、時々、やりすぎたな、というかんじでトラブルにもなるんだけど、しばらくするとケロっとして、また来る。
「二百元の店で、金持ちが来たら1千元」
景気もいいので、高いものを食べたいと考えている人は多い。それでもやはり、ほとんどの客が中国人である以上、客単価を上げると成り立たない。1店舗だけならいいけど、ボリュームゾーンを攻めないと店を増やしていけないので。
「二百元の店で、金持ちが来たら1千元」という設定が重要です。最初から1千元の店にすると、客数が減り、雰囲気が盛り上がらない。「いつも入っている」という雰囲気が大事なんですね。中国では、「盛り上がり感」が重要です。だから、ランチでも夜でも、金持ちの中高年だけでなく、若い男女にも入ってもらいたい。
独身の20代前半の女性2人組が来れる。家族連れが、月に1回来れる。そういう店にしたい。そのためには、現在3百元の客単価を、2百元にまで下げたいと思っています。
金持ちが来たときに1千元にするために、「新天地店」では、天然の本マグロも入れています。築地ホクエイさん(ホクエイ食品株式会社)経由です。これは裏メニューとして、一皿500元くらいで出してる。メニューに入れると印象が悪くなるから、裏なんです。
オーストラリアの神戸牛(Wa-gyu)も、500キロを仕入れて、200グラム500元くらいで出しています。これも裏メニューで、実際には、マネージャーの気分で価格をつけます。あと、北海湾の巨大ガニとか、カラスがれいとかも仕入れることがありますね。
『そんな店の大トロなんて』とは思うけど
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ほぼ「居酒屋化」した天家のメニュー![]() |
客単価は、高級食材ではないものを増やすことで、下がってきました。うちは、もともとマグロとカニだけの高級食材のみの店としてオープンした。当初は、メニューの8割がマグロでした。それが今では、ランチでカレーも出してる。ココナッツカレーですよ?サイコロステーキとか、キムチ鍋まであります。もう、居酒屋の定食屋みたいになってる。
「そんな店の大トロなんて…」と僕らは思うんだけど
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鮨メニューは16元が中心。
「月1回だった日本食を、どうやって週1にしてもらうか、なんです。こちらの人が毎日食べている大部分は、中華料理なんですから。」
IFC店の入り口
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「二百元の店で、金持ちが来たら1千元」という設定が重要。天然本マグロは裏メニュー RT@
この社長30代かあ。すごいな~
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